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三遊亭円生の噺、「後家殺し」

2014年12月09日 | 落語・民話

三遊亭円生の噺、「後家殺し」(ごけごろし)
 

 おかみさんが居ないのが好都合だと言い、男が聞き始めた。
 表の伊勢屋の後家と常吉は、3年越しのいい仲になっていた。出会いは、伊勢屋で浄瑠璃の会があって、助演として「三十三間堂棟由来、平太郎住家の段」を語った。
後家さんは年のころ二十七、八で、色白の上品ないい女。
後家さんは「嬉しいじゃないの。亡くなった亭主が良くやっていた『柳』だなんて」、それを聞いた常さん、急に心配になって、出だしから巧くいかなかったが、途中で後家さんを観ると首を振り振り聞いているので、気を持ち直して語り尽くした。汗を拭き着替えていると、酒とお食事が用意されていて太棹の吉蔵達と一緒にご馳走になった。

 翌日も二人が呼ばれて、忠臣蔵を語り、歓待されて帰ってきた。
 またその翌日にも、今度は一人でと招待され、酒肴で歓待された。あまり飲めないので気分が悪くなり、横にならしてもらうと、長襦袢の上に黒の羽織をかけた後家が入ってきて、「亭主が亡くなって3年、みだらな心を起こした事は無いが『柳』を聞いて心が変わった。私を、面倒見て欲しい」と。
 家に帰って家内と相談したら、「打ち明けてくれたので、貴方の良いようにしてもイイ」と。それ以来の3年越しの付き合いなんだ。

 男が、常さんは想っているが、女とはそんなものでは無い。俺は見たんだが、いい男と後家が話をしているのを聞いてしまった。「常さんとは、時期の良いときに話をして別れ、その後にお前と生涯連れ添うよ」と。常の耳に入れると大変な事になるからと友人からも注意されていると告げ口して、逃げるように帰って行った。
 火の無い所には煙は立たない、と疑い始まるとキリが無い。飲めない酒を飲んで、酔うどころか頭が冴えて、出刃包丁を研ぎ上げ、手ぬぐいに巻いて懐に。
 伊勢屋に酔っ払って入ったが、聞く耳を持たず出刃包丁を突きつけ、逃げる後家が転ぶのを背後から、滅多差しにして殺害してしまった。

 役人が出てきて取り押さえられ、調べてみると根も葉もない話で、あまりにもうらやましいので作り話で煽っただけだと解った。人を殺せば死刑と決まっていた。
 白州に引き出された常吉は、痩せ細り消沈してうな垂れていた。
 「江戸無宿、常吉面(おもて)を上げィ」、無宿というのは人別帳からはずされているので、家族に累が及ばない。御上の御慈悲です。「御上の御慈悲により『打ち首』申しつくる。ありがたくお受けいたせ」。
「最後に一つ、奉行聞き叶えてあげるが、なにか有るか」、と問われて常さん、 「後家も殺しましたし、もう一人殺したい者が居ましたが、それも叶わぬ事。(浄瑠璃口調で)後に残りし女房子が、打ち首とォ聞くゥなァらばァ、さこそ、なげかァん~、ふびん~やァーとォー」と語ると、
奉行、ポンと膝をたたいて 「後家殺しッ!」。

 

 

 

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