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一寸法師

2014年12月18日 | 落語・民話

『一寸法師(いっすんぼうし)』

―新潟県―

一寸法師のお話は知っていますね。

小さな法師が打ち出の小槌で大きくなって、のちに立派な侍になるお話。

このお話のもとは、今から約六00年前、室町時代の『お伽草子(とぎぞうし)』という本に載っています。

古い話しなんですね。

民話の方では、すこしその筋を変えて、素朴なままの姿で全国の各地に伝わって来ました。

今週は、そんな一寸法師を。

昔、あるところに、子供のいないお爺さんとお婆さんがあった。

あるとき、 「どうか、指の腹のような子供でもいいから、授けて下さい」 と、村の鎮守様(ちんじゅさま)にお願いしたそうな。

するとしばらくして、お婆さんのお腹(なか)が、吹きでものみたいに、ちょことふくらんで、親指ほどの小っちゃい男の子が生まれたそうな。

そこで一寸法師と名付けて大事に育てたと。

が、いっくら食べさせても、その子はおおきくならない。

お爺さんとお婆さんは心配になった。

「いづれ、わしらが死んでおらんようになったら、お前は暮らしがたたんじゃろ。今のうちにどこかへでも行って来いや」 と言うて、ひまをくれたと。

すると一寸法師は、 「箸(はし)を一本、あみ笠を一枚、麦わらと針(はり)を一本おくれ」 と言って、あみ笠を舟にして、箸を櫂(かい)にし、麦わらの鞘(さや)に針の刀(かたな)を差して川を流れて行った。

ちゃっぷり、ちゃっぷり流れて、ようやくある岸辺(きしべ)にただよい着いたと。

そのあたりの庄屋の家へ行き、 「ごめん・・・」 と、声をかけた。 家の者が出て来たが誰もおらん。

「ここじゃ、ここじゃ」 家の者が、いぶかいながら足駄(あしだ)を取ってみて驚ろいた。

「お―や、こんなこんまいのが出たがの」 奥へ走っていって旦那につげると。

「それは、まあ、庭掃(にわは)きにでもしておけ」 と言う。

一寸法師は、庄屋の庭掃きになったそうな。

小んまいホ―キを作ってもらって庭掃きするのだが、掃いても掃いても掃ききれんて。

それでも、くる日もくる日も庭掃いとったって。

ある時、庄屋の娘が浅草の観音様へ、おまいりに出かけることになった。

その時のお供(とも)に一寸法師をつけてやったと。

道中の途中で、大きな鬼が出て来て、娘と一寸法師をひと呑みにしょうとした。


娘はびっくりして木の蔭(かげ)から蔭へ逃げたと。

小んまい一寸法師は鬼に呑まれて、鬼の腹ん中へ入って終ったと。

腹ん中に入った一寸法師は、 「どりゃ、こんだ、俺(お)らが仕返しをしてやろ」 と、針の刀で鬼の腹ん中のそこいらぢゅうをシクシク、チクチク突きまわったと。

「あいてて、あいてて」 鬼は、痛いやら苦しいやら、一寸法師を吐き出すと、あわててどこかへどこかへ逃げて行ったと。

鬼の腹から出た一寸法師が、あたりを見まわすと、そこに打出の小槌(こずち)が落ちていた。

「おや、これはなんだ」 と、小槌のまわりを回っていると、逃げた娘がおそるおそる戻って来た。

「あれよかった。生きとったか」

「これは打出の小槌でねか、鬼があわてて落としていったものだな。」

「どんなもんだ」

「何でも欲しい物を言って振れば、望みのものが叶うちゅう宝物でねか」

「そんなら、俺ら、金も米もいらん。俺らの背ぇ出ろ、背ぇ出ろって振ってくんねぇか」

娘は 「小法師(こぼうし)の背ぇ出ろ、小法師の背ぇ出ろ」 と言って振ると、一寸法師の背丈が、ずん、ずん、と伸びて、娘の好みの大きさでとまったと。

普通の人より少し大きい男になってみたれば一寸法師は顔がととのうて、いい男だったと。

一寸法師は、その庄屋の聟どのになって、一生安楽に暮らしたそうな。 いちご さかえもうした。


 

 

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