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彼の庭

2014年10月13日 | 面白画像

【彼の庭(Bloom!)】
男の庭は、石の壁に囲まれた、ささやかな池と木々と花々と、やってくる蝶と小鳥と、切り取られた空と降り注ぐ陽光で出来ていた。
どこからも入れず、どこからも出られない。ただ眺めるだけの庭。それでも美しいから、庭は庭だった。
男は窓から薔薇を一輪摘んだ。朝露を花弁に含ませた麗しい薔薇は、男の手の中できらきらと光っていた。
男はその花を、彼の居室に飾った。
翌朝目覚めると、薔薇は灰になっていた。灰にはもはや光も朝露もなく、薔薇ではなかった。
男は黙って灰を見つめ、僅かの後に灰を掻き集めて庭へ向かった。
庭は今日も明るく美しい。男は、灰を窓からばらまいた。
灰は陽光にきらきらと光って??薔薇になった。
男は暫くその様を眺め、庭に背を向けた。

その庭は、どこからも入れず、どこからも出られなかった。
ただ眺めるだけの庭。それでも緑は陽光に輝き、穏やかで美しいから、庭は庭だ。
彼女は廃墟の中、ぽつんと取り残された庭を眺めた。
庭を取り巻く館は、もう百年も取り残されて無惨だったが、庭だけが今も人の手が入っているようだった。下生えの草々は柔らかそうで、艶やかな薔薇の花には蝶が飛び、池の睡蓮は曇りなく花盛りだ。
その他ささやかな雑草の花々でさえ、控えめな若い娘のように恥じらいながら咲いている。梢の風に揺れる音が、何か囁きのようだ。
女たちの庭だ、ここは。
彼女は不意に思った。赤い薔薇、青い薔薇、黄色い薔薇、桃色の睡蓮、白色の睡蓮、柔らかな芝、若い緑の梢の囁き、永遠に穏やかな陽光。やってくる蝶も小鳥も愛らしく媚びを売る。
館の主はすでにない。それでもこの、恋の魔法のかかった庭だけが、永遠に美しいままだ。
彼女は黙って朽ちかけの窓から輝く庭を眺め、やがて背を向けた。
最後に、庭を掠め見ながら彼女は小さく呟いた。
「Hallelujah!」

 

  

 

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