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古今亭今輔の噺、「ねぎまの殿様」

2014年11月14日 | 落語・民話

古今亭今輔の噺、「ねぎまの殿様」によると。
 

  三太夫を連れて向島の雪見にお忍びで出掛けた。本郷三丁目から筑波おろしの北風の中、馬に乗って湯島切り通しを下って上野広小路に出てきた。ここにはバラック建ての煮売り屋が軒を連ねていた。冬の寒い最中でどの店も、”はま鍋”、”ねぎま”、”深川鍋”などの小鍋仕立ての料理がいい匂いを発していた。殿様 、その匂いにつられて、下々の料理屋だからと止めるのも聞かず、一軒の煮売り屋に入った。

 大神宮様の下に醤油樽を床几(しょうぎ)がわりに座ったが、何を注文して良いのか分からない。小僧の早口が殿様には分からず、隣の客が食べているものを見て聞くと”ねぎま”だと言うが、殿様には「にゃ~」としか聞こえなかった。ねぎまが運ばれ見てみると、マグロ は骨や血合いが混ざってぶつ切りで、ネギも青いところも入った小鍋であった。三色で三毛猫の様に殿様には見えた。食べるとネギの芯が鉄砲のように口の中で飛んだ。酒を注文すると、並は36文、ダリは40文で、ダリは灘の生一本だからというので、ダリを頼んだ。
 向島には行かず、2本呑んで気持ちよく屋敷に戻ってしまった。
 その様な食べ物を食べたと分かると問題になるので、ご内聞にと言う事になったが、この味が忘れられなかった。

 昼の料理の一品だけは殿様の食べたいものを所望できた。役目の留太夫が聞きに行くと「にゃ~」だと言う。聞き返す事も出来ず悩んでいると、三太夫に「ねぎまの事である」と教えられた。料理番も驚いたが気を遣って、マグロは賽の目に切って蒸かして脂ぬきし、ネギは茹でてしまった。それで作った”ねぎま”だから美味い訳はなかった。「灰色のこれは『にゃ~』ではない」の一言で、ブツのマグロとネギの青いところと白いところの入った 本格的な三毛(ミケ)の”ねぎま”が出来てきた。満足ついでにダリを所望。三太夫に聞いて燗を持参。大変ご満足の殿様、
 「留太夫、座っていては面白くない。醤油樽をもて」。

 

 

 

 

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