ノボトニーは疲れた。革命家のはしくれとして、これまで人民を欺いてきたことを申し訳なく思った。
そこで、人民にリンチされて死にたいと思った。
ノボトニーは信頼する副官と相談し、プラハの全党活動家を召集して、ことさら挑発的な 演説をぶって、
人民を怒らせることにした。
「同志諸君!私はあらゆる食料の価格を100%値上げ することにした!」
眼を閉じるノボトニー。
激怒した聴衆が、演壇に押し掛けてくるに違いない。
しかし、巻き起こったのは、割れるような拍手と歓声だった。
「党万歳!我が敬愛する指導者、同志ノボトニー万歳!!」
気を取り直して、ノボトニーは続けた。
「同志諸君!われわれは賃金を50%引き下げることにした!!」
眼を閉じるノボトニー。今度こそ活動家たちは演壇に殺到し、 自分を引き裂くであろう。
そして再び、熱狂的な大歓声。
「党万歳!!ノボトニー万歳!!」
「万歳!!万歳!!」
遂にノボトニーは我慢できなくなり、大声で聴衆に怒鳴った。
「きさまら、俺のケツでも舐めやがれ!!!!」
さあ、今度こそ、彼らは自分をリンチするに違いない。
ノボトニーは眼を閉じて待つ。あたふたと駆け寄る副官の 足音。
うろたえた声。
さあ、きたぞ!
「同志ノボトニー、ご用意を!全地区の活動家が押し掛けて きました!!早くズボンを脱いで下さい!!」