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初詣は少し前までは存在しなかったのです。ほんの150年くらい前までは

2014年12月19日 | ニュース

(日本古来の「年籠り」の伝統)

実は存在しなかった「初詣」 ― 誰も知らない本当のお正月

  今年もあと少し。「正月は何をしようか? 初詣はどこに行こうか?」などと考え始めている方も多いのではないでしょうか? さて今回は、とんでもないことを明らかにします。なんと、


 初詣は存在しなかった!

 ええっ! 初詣は存在しなかった? どういうことなのでしょうか?

 除夜の鐘を鳴らし、元旦の朝には人でごった返す境内でお参りする。初詣こそ、「最も伝統的な日本の習わし」だと思っている方が多いのではないでしょうか? しかし、そんな初詣は少し前までは存在しなかったのです。ほんの150年くらい前までは、「初詣のために家の近くを離れる」ということは非常に特殊なことでした。しかし明治以後、蒸気機関車などをはじめとして交通機関が発達し、「新年や季節の折々に、汽車に乗って神社仏閣へ参拝するのがオシャレな事である」という宣伝もされ、現在の「初詣の神社仏閣の賑わい」が浸透してきたという背景があるのです。伊勢神宮への参詣路線として建設された路線「参宮線」などといった名前の路線が全国各地に見られますが、これらは新しい形の初詣のために作られた路線であることがほとんどです。つまり、初詣は完全に近代になってから定着した習慣なんですね。では、本来はどのようなスタイルだったのでしょうか?

 初詣は「年籠り(としごもり)」という形式で行われていたのです。

 年籠り...、これこそが日本でどんなに短くとも1,000年以上は続いた初詣の形式です。平安時代にの文献には年籠りについて言及されており、もっともっと信じられないほど長く続いている伝統だったと考えられています。

■年籠りとは?

 年籠りは、神社にこもって祈り続けることです。大晦日やそれより前から、神社にこもって祈り続け、死霊を迎え、弔い、過ぎ去った年を思い、新しく来る年を迎えるのです。そして自分自身が新しく生まれ変わり、過去の全てを清らかにした状態で新しい年を迎えるのです。ほとんどの場合、年籠りはその世帯の家長のみが行ったようですが、地域によっては差がありました。

■本当のお正月 まとめ

 この「年籠り」という初詣の行い方や、これまでトカナの記事で紹介した正月の意味を探っていくと、今まで自分が考えてきた正月と初詣のイメージが変わってきませんか? 

 では、正月の知識をまとめてみましょう。

【本当のお正月】

 年末になると、日本全国で死霊の祭りとしての正月のために、人々はいっせいに家に籠り、神社に籠り、祈り続けます。その家に関わる死霊を迎えるため、正装をし、一族が集まって、葬式と同じような弔いを行います。そして、村や町の道には死霊が徘徊します。死霊が満ちる時であるため、なるべく外には出ません。良い死霊を迎え、悪い死霊を追い返するために、家の門には武器を立てます(門松)。そして、家の中では死霊を宿らせる特殊な餅(鏡餅)に祈り続けます。そして、正月が明けたところで、死霊を宿らせた特殊な餅を全員で食べ、死霊との一体化を成し遂げ、新しく「生まれ変わった者」として新年を過ごしていくわけです。

 なんとオカルトな雰囲気でしょうか。

 現代ではこうした正月と初詣の意味合いは意識されなくなってはいます。

■現代の初詣に必要なこと

 しかし、本来の初詣を忘れてしまった我々の心の中にも、「正月と初詣は、何か特別なものである」という、不思議な意識はまだ残っていますよね。心理学的には、「死霊」など死者のイメージというものは、我々が自分を振り返る時に立ち現われてくる、自分を導いてくれるもののイメージだと言われています。たとえば、新年を迎え、過去1年間がどのような年だったかを振り返る時に、自分だけの力で正しく振り返ることは非常に難しい。過去にあったことを書き出してみれば「ああ、こんなこともあったな」とわかるとおり、自分が持っている過去のイメージは、事実からズレていることが多々あるんです。けれども、心を静かにして過去を辿って行くと、これまで見えてこなかった自分の行いが見えてきます。そして、こうした時には、何かしら神聖なものに導かれたり、守って頂いている感覚を感じるものです。これが「霊・死霊」を感じる感覚と近いのではないでしょうか。

 悩みの多い現代社会、「死霊の祭り」としての正月・初詣、というイメージこそが、実は最も大事なものなのかもしれません。過去を振り返り、心を鎮め、良い新年を迎えたいものですね。
(文=北澤礼詞/神々の森神社)

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