サマルカンドの若い学生が、自分の運を切り開こうと旅に出ようとした。
すると彼の師匠がロバを餞別にくれたので、一緒に連れて旅に出た。
しかし、旅の途中ロバが死んでしまった。
若い学生はロバの墓を作ってやり嘆き悲しんだ。
それを見た付近の住民が「あれだけ悲しむと言うことは、
さぞ偉い聖者が死んだに違いない。」
とロバの墓の上に立派なモスクを立てた。
若いウラマーは、そのモスクのウラマーとして迎えられた。
「ありがたい聖者のモスク」として評判が評判を呼び、
多くの寄付が集まりモスクはどんどん立派になった。
若い学生は大モスクのウラマーとして、尊敬を集めることとなった…
ある日、一人の旅の老ウラマーが、評判の大モスクを見ようとやってきた。
かつての若い学生だったウラマーが、
モスクから出て旅の老ウラマーを見るとそれは自分にロバを餞別にくれた、
かつての彼の師匠だった。
師匠が弟子の成功をほめると、学生だったウラマーは、
大モスクが実はロバの墓であることを告白し
「本当のことがいつかばれるのじゃないかと、不安で夜も眠れません!
もうここを逃げ出そうかと…」
と言った。
師匠の老ウラマーが答えていった。
「おまえもか…。実はお前が学んだわしのモスク、
あれはわしが若いころ師匠にもらったロバの墓じゃ。
それで逃げ出してきたのじゃ…」
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