無理しないでボチボチ

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女性には何も感じなくて

2014年10月19日 | 面白画像

僕は高校生の時、
親元を離れて家賃2万の風呂無しアパートを借りて住んでいた。
その部屋には何故か黒いソファーが備え付けてあった。
6畳の部屋には似合わない本皮のどっしりとした大きなソファーで、
大家のおじいさんが言うには、前の前の前くらいの住人が
「いらないので」と置いていったとのこと。
住人が引っ越す度に「持って行けよ」と言うのだが、
「いや、いらないです」と断られるらしい。

それを聞いた自分は、
「うわお! オカルト話でよくあるやつ!」なんて思ったものの、
貧乏でテーブルしか持っていなかったので、
ありがたくベッド代わりに使わせてもらうことに。
ソファーは左側の壁にピタリと寄せて置いてあり、
動かそうにも1人ではビクともしなかった。

住み始めて数日経った夜、
ソファーで寝ていると突然背中に痛みを感じた。
チクチクと尖った何かで刺されてる様な痛み。
何か虫? と思いながら体を起こし電気をつけて
ソファーやシャツを確認してみたものの、
何も見当たらず、そのうち痛みもなくなった。

その日から不思議なことが起こる様になった。
背中のチクチクが下半身までに及び、
金縛り、気味の悪い息づかいとうめき声、
あとヌメヌメとした黒い影が部屋に入って覆い被さるとか、
誰かが背中に顔をベタリと付けてくるとか、
包丁で刺されてから黒い影に抱かれる夢を見るとか、
起きると必ず夢精してるとか……
全てソファーで寝ている時に起こる。
「やっぱりこのソファー……」と思い、
引越しや処分することを考えたものの、
ひとりじゃ運べないし、そんな金があるわけもなく、
仕方なくソファーに布をかけ、
なるべくソファーに近づかない様に生活をしていた。

ある朝、便所に行こうと廊下へ出ると、大家さんと彼の孫と出くわした。
「あ、おはようございます。あれ? どうしたんですか?」
「おお、前原さん(僕)、おはようございます。
 いやあ、隣の加藤さんから急に電話がきてね。
 もうアパートに戻らないから片付けてくれだっていうのよ」
自分はそれを聞いて思わずガッツポーズをしそうになった。
何故ならこの隣の加藤さん、かなりアレな人だったからだ。
40歳後半くらいの眼鏡で、"定子" みたいな長髪ストレートでずんぐりした感じで、
もう10年以上住んでいるらしいんだけど、
挨拶も無し、少し物音をたてただけで壁をドン!、
あげくの果てにはドアに「うるさい!」「掃除!」と
書かれた張り紙をしてくるなど酷かったからだ。

1番鮮明に覚えているのが、廊下ですれ違った加藤さんが突然ひっくり返った。
偶然近くにいた自分が「大丈夫ですか?!」と駆け寄り、
手を差し伸べるとバチーンとすごい勢いで弾かれた。
「なんだ?!」とビックリしながら見守っていると、
近くにコンビニの袋が落ちているのに気付いた。
何の気なしに拾ってみるとエロ漫画とコンドームが入っていた。
すると凄い勢いで奪い取ると、加藤さんはドシドシと部屋に戻っていった。
そんな人だったので「引っ越してくれてありがとう!」と心から感謝していた。
鼻歌交りに部屋に戻りダラダラしていると、隣が何やら騒がしい。
何かあったのかな? なんて思っていると、
「前原さん! ちょっと見に来てって!」と大家さんの孫が呼ぶ声が聞こえた。
「どうしたんですか?」と隣の部屋に行くと、
大家さんの孫が血相を変えてどこかを指差している。
パッと指差した方を見て、めちゃくちゃビックリした。
壁に釘が何十本も刺してあった。

呆然と見ていると大家さんが「よく見てみろ。色々書いてある」と言うので、
近寄って見てみると、釘が刺してあるところを中心にして、
壁中に殴り書きにされた細かい文字と汚い絵がたくさんあった。
絵は小学生が描いた様な女と男の裸のHな絵で、
上から爪か何かで引っ掻いた跡が。
細かい字の方は「死」とか「呪」とか「殺」とか……
いかにもな字が並んでいた。
「○○死ね」というが沢山あって、もちろん僕の名前もあったのだが
大家さんが言うには「君の前の住人たちの名前があるな」と。
それを見て僕は何となく気付いた。
この壁の向こうって、ちょうどソファーがあるあたりじゃないの……と。

 

「うわお! 今思えばずいぶんとエグい話だな。
 やっぱり、あの現象ってソファーが原因だったんじゃなくて、
 病的なまでなモヤモヤのせいだったりするのかな」
「きっと、そう。恐らく、前の住人たちはそんな事実を知らないで、
 ソファーに原因があるとみて置いていったんだろうなってね。
 その夜、そのソファーで寝たけど何もなかったから、そう確信したよ。
 まあ、それがきっかけかな。彼女のドス黒い情念というか、衝動というか、
 それに当てられた僕のセクシャリティーが確定したのは。
 元々、まわりの男子と違って女性には何も感じなくて、
 普通じゃないと思い悩んでた時期だったんだけど、はっきりしちゃったんだよ。
 僕はこっちが好いってね」
「……きっかけね。そして、今日に至るってか。 
 しかしな、さっきから隣人を女だって勝手に思い込んでるみたいだけど、
 それ、俺だから」

僕は高校生の時、
親元を離れて家賃2万の風呂無しアパートを借りて住んでいた。
その部屋には何故か黒いソファーが備え付けてあった。
6畳の部屋には似合わない本皮のどっしりとした大きなソファーで、
大家のおじいさんが言うには、前の前の前くらいの住人が
「いらないので」と置いていったとのこと。
住人が引っ越す度に「持って行けよ」と言うのだが、
「いや、いらないです」と断られるらしい。

それを聞いた自分は、
「うわお! オカルト話でよくあるやつ!」なんて思ったものの、
貧乏でテーブルしか持っていなかったので、
ありがたくベッド代わりに使わせてもらうことに。
ソファーは左側の壁にピタリと寄せて置いてあり、
動かそうにも1人ではビクともしなかった。

住み始めて数日経った夜、
ソファーで寝ていると突然背中に痛みを感じた。
チクチクと尖った何かで刺されてる様な痛み。
何か虫? と思いながら体を起こし電気をつけて
ソファーやシャツを確認してみたものの、
何も見当たらず、そのうち痛みもなくなった。

その日から不思議なことが起こる様になった。
背中のチクチクが下半身までに及び、
金縛り、気味の悪い息づかいとうめき声、
あとヌメヌメとした黒い影が部屋に入って覆い被さるとか、
誰かが背中に顔をベタリと付けてくるとか、
包丁で刺されてから黒い影に抱かれる夢を見るとか、
起きると必ず夢精してるとか……
全てソファーで寝ている時に起こる。
「やっぱりこのソファー……」と思い、
引越しや処分することを考えたものの、
ひとりじゃ運べないし、そんな金があるわけもなく、
仕方なくソファーに布をかけ、
なるべくソファーに近づかない様に生活をしていた。

ある朝、便所に行こうと廊下へ出ると、大家さんと彼の孫と出くわした。
「あ、おはようございます。あれ? どうしたんですか?」
「おお、前原さん(僕)、おはようございます。
 いやあ、隣の加藤さんから急に電話がきてね。
 もうアパートに戻らないから片付けてくれだっていうのよ」
自分はそれを聞いて思わずガッツポーズをしそうになった。
何故ならこの隣の加藤さん、かなりアレな人だったからだ。
40歳後半くらいの眼鏡で、"定子" みたいな長髪ストレートでずんぐりした感じで、
もう10年以上住んでいるらしいんだけど、
挨拶も無し、少し物音をたてただけで壁をドン!、
あげくの果てにはドアに「うるさい!」「掃除!」と
書かれた張り紙をしてくるなど酷かったからだ。

1番鮮明に覚えているのが、廊下ですれ違った加藤さんが突然ひっくり返った。
偶然近くにいた自分が「大丈夫ですか?!」と駆け寄り、
手を差し伸べるとバチーンとすごい勢いで弾かれた。
「なんだ?!」とビックリしながら見守っていると、
近くにコンビニの袋が落ちているのに気付いた。
何の気なしに拾ってみるとエロ漫画とコンドームが入っていた。
すると凄い勢いで奪い取ると、加藤さんはドシドシと部屋に戻っていった。
そんな人だったので「引っ越してくれてありがとう!」と心から感謝していた。
鼻歌交りに部屋に戻りダラダラしていると、隣が何やら騒がしい。
何かあったのかな? なんて思っていると、
「前原さん! ちょっと見に来てって!」と大家さんの孫が呼ぶ声が聞こえた。
「どうしたんですか?」と隣の部屋に行くと、
大家さんの孫が血相を変えてどこかを指差している。
パッと指差した方を見て、めちゃくちゃビックリした。
壁に釘が何十本も刺してあった。

呆然と見ていると大家さんが「よく見てみろ。色々書いてある」と言うので、
近寄って見てみると、釘が刺してあるところを中心にして、
壁中に殴り書きにされた細かい文字と汚い絵がたくさんあった。
絵は小学生が描いた様な女と男の裸のHな絵で、
上から爪か何かで引っ掻いた跡が。
細かい字の方は「死」とか「呪」とか「殺」とか……
いかにもな字が並んでいた。
「○○死ね」というが沢山あって、もちろん僕の名前もあったのだが
大家さんが言うには「君の前の住人たちの名前があるな」と。
それを見て僕は何となく気付いた。
この壁の向こうって、ちょうどソファーがあるあたりじゃないの……と。

 

「うわお! 今思えばずいぶんとエグい話だな。
 やっぱり、あの現象ってソファーが原因だったんじゃなくて、
 病的なまでなモヤモヤのせいだったりするのかな」
「きっと、そう。恐らく、前の住人たちはそんな事実を知らないで、
 ソファーに原因があるとみて置いていったんだろうなってね。
 その夜、そのソファーで寝たけど何もなかったから、そう確信したよ。
 まあ、それがきっかけかな。彼女のドス黒い情念というか、衝動というか、
 それに当てられた僕のセクシャリティーが確定したのは。
 元々、まわりの男子と違って女性には何も感じなくて、
 普通じゃないと思い悩んでた時期だったんだけど、はっきりしちゃったんだよ。
 僕はこっちが好いってね」
「……きっかけね。そして、今日に至るってか。 
 しかしな、さっきから隣人を女だって勝手に思い込んでるみたいだけど、
 それ、俺だから」

  

 

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