マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『人生スイッチ』

2015年07月10日 | 映画

オムニバス映画には、各章に作る側の何らかの共通した思想や主張が込められている。

しかし、この『人生スイッチ』の6本の物語には、一貫した共通点が全くない。

バラバラなのである。

1話「おかえし」 2話「おもてなし」 3話「エンスト」 4話「ヒーローになるために」

5話「愚息」 6話「HAPPY WEDDING」

が、各章のタイトルである。

最近、ぶっちゃけると、どの試写を見ても、まったく印象に残らない作品ばかりだった。心をぐっと鷲づかみにしてくれる作品は皆無だった。内容すらも忘れている作品もあった。

しかし、今回の『人生スイッチ』を見た時には、ぶっ飛んだのである。

この6話はほんの些細なきっかけで、ある日、不運の連鎖に巻き込まれていくという主人公ばかりを描いていた。それが唯一の共通点と言えば共通点なのだが。

1話から6話まで、全ての内容とシーンが未だに鮮明に頭に浮かぶ。忘れようとしても忘れられない強烈なインパクトがあり過ぎたからだ。

この映画はアルゼンチンから生まれた点にも興味深い。

久しぶりに手垢のついてない斬新な演出と驚くべきブラックユーモア。どの章も甲乙つけがたいが、私はラストの6話の「HAPPY WEDDING」が一番面白かった。

 7月25日から公開

【監督】ダミアン・ジフロン

【出演】リカルド・ダリン  ダリオ・グランディネッティ  エリカ・リバス  他


「マリリン・モンローとオードリー・ヘップバーン」

2015年07月08日 | 講演

船橋市南福祉センターの教養講座で「マリリン・モンローとオードリー・ヘップバーン  映画女優物語」というテーマで、講演した。

モンローとオードリーの生い立ちから作品論を吐きそうなくらい、熱く語った。

私の持論は「マリリンは愛されたかった女優で、オードリーは愛したかった女優」。

幼少期の生い立ちから、私はこの二大女優をこう表現した。

モンローは36歳で自殺とも他殺ともわからないような謎めいた死で、人生の幕を閉じた。そして、その死は未だに波紋を呼んでいる。まるで、マリリンの人生そのものが、映画そのものだったような気がする。

オードリーは64歳で死去。決して長生きではなかったが、晩年はユニセフの大使として、社会貢献をし晩節を美しく飾った。

あまりにも相違点のある二人の女優の人生に、

「皆さんは、マリリンとオードリーの人生のどちらに共感できますか?」

と、観客に聞いた。

みんな、黙っていた。当たり前である。そんな大それた質問をした私がアホだった。

しかし、私ははっきりと言い切った。

「私はマリリン・モンローの人生に共感します。マリリンは切なくて悲しくて、抱きしめてあげたいくらいかわいい存在だったから」と。

そしたら、奇跡が起こった。マリリンが降臨して、私の体に乗り移ったのだ。

その姿を見て、観客は大爆笑。ま、こんなパフォーマンスも、ライブのようで、ある種の講演会のやり方の一つなのかもしれないと、実感した。

 それにしても、私はいい年して「アホ」だな。