ねこぱんち

絵日記のようなもの。
本や映画、生活のこと、思うことなどを気ままに書き連ねています。

千年旅人

2006年02月18日 08時50分58秒 | 映画
かっこいい俳優さんが出演しているなぁ、と前々から気になっていた映画でした。
豊川悦司さん、大沢たかおさん、かっこいいですよ。

監督は芥川賞作家として有名な、辻仁成さん。
1999年の作品で3、第56回ヴェネチア国際映画祭招待作品だそうです。

全体の印象から言うと、監督が小説家だから、小説っぽいかんじです。
余白が多いというか・・・観客に想像させるための構成というか。
能登半島の美しい海辺で3人の若者が「生と死」を見つめる話です。

新人女優のyumaちゃん、なかなか可愛らしい演技で、好感を持ちました。
美声だし、おかっぱ(ボブ?)が爽やかです。

残念なのは、小説ではツルギさんはピアニストという設定だったらしい
のですが、映画では登場人物の背景が、ほとんどカットされています。
かろうじて、ピアノを弾き狂うシーンがあるから、「そうなのかな?」と
想像させられるだけ。
たぶん、辻さんは「小説を見た人間が、この映画を見に来る」と思ったのかな。
私みたいに、見ていない人間もいるのに。

大沢たかおさんの役が、自殺願望のある青年の役なんだけど、
それも、なぜ自殺したいのか分からないんですよね。
だから、とても子供っぽく責任感の薄い人間に見えるわけで。
まぁ、それも演技が上手いっていうの?
とにかく、大沢さんが好きなんで、だらしなくても子供っぽくても、
もっと同情出来るような役柄にしておいて欲しかった・・・。

豊川悦司さんは、余命1ヶ月の病人の役なんだけど、
役のために減量したらしく、頬もゲッソリしていて
とても痛々しかった。とても上手です。
倒れる時も、痛くないように自己防衛で思わず手を出してしまうけれど、
(ドラマとかでよく、そういう役者を見る・・・。)
豊川さんの倒れ方は、なんかリアルです。
yumaちゃんと、自転車に乗るシーンがとても爽やかでした。

諸行無常という感じがする映画で、考え方によっては物語に広がりを感じます。
死んだ人間はどこに行くのだろうとか、人は死んでもこの世に影響を与えるとか。
『白仏』を思い出すのは私だけでしょうか?
全然違うけど、根本のところは、とっても似ていると思います。

映画監督としては、まだ上手さが足りないようにも思いますが、
映像もキレイだし、思想やテーマも好きな部類でした。
原作を読めば、もっと面白くなることだろうと思います。



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