親子酒、20年。

小田急線沿線の有名な串焼きの店がある。

成城山の、坐禅の後、
10年以上振りに、その店に行った。
日本シリーズのクライマックス、キープボトルを脇の常連客で、
テレビの野球に、店内は、静かに盛り上がっていた。

当時、テレビが、店内にあったかどうかも、記憶にない。

先ずは、とりあえず、ビールで始めたが、
寒い夜だったので、ぬる燗で、日本酒を頼んだら、
だったら、常温で良いじゃないかと、親父に、言われた。

面倒くさいのかな、と思って、
じゃ、常温で良いですよと、応えると、
冗談、冗談、と言って、上燗で、だしてくれた。

隣の若い店員が、
寒いから、温ったまりたいんですよね、と介添えしてくれた。

打ち解けたいわけじゃなく
10年以上振りですかねぇ、と、声を掛けた。

若い店員が、じゃ、俺いたでしょ、
もう、20年になるからって。

そうですか、すみません、記憶にないです。
串焼きも、オール130円も、100円だった気がする。

旨かった。

最初に、生ピーマンを頼んだら、
ごろっと、まるまる1個、皿の上に、ピーマンが乗っかて来た。

どうやって、食べるんですか、って、聞いてしまった。
塩をかけても良いし、肉が焼けるのを待っても良いし。

なんだか、調子に乗って、
10本くらい食べて、次を悩んでいたら、
若い店員が、メニューに書いてない部位もあるんだよ、
こまかく説明はしないけど、ね、
なぜなら、もう、酔っ払ってるから。

そんな店だっけ、と思ったが、
土曜日の夜、もう10時近く、常連さんだけ、
僕が入って、看板で、暖簾をしまって、
新しいお客さんを、入れないだけだから、
まだ、注文は良いよって、状況だったから、かな。

じゃ、もう一杯、熱燗と、
とっておきの部位、タレで、2本、塩で、1本、と頼んだ。
さっぱり系、こってり系と言われたので、
最後は、肉肉しい、お肉を感じるので、締めたい、と伝えた。

そんな話をやり取りしてる最中に、
親父が、カウンターの中から客席に回って、
常連さんの隣で、若い店員に、注文してる。

そして、カウンターから、自分で、焼きを裏返したりして、
焼き台の野菜の焼き加減を、指導し始めたが、
若い店員が、俺が食べる分だから、良いんだよ、って。

その様子を見て、ふたりを、見比べ、
親子ですか?って聞いたら、似てるかねぇって、照れてるふたり。

仲がすごく良さそうだが、20年の間には、
そりゃ、いろいろ、あっただろうなぁ、と、想いながら、
最後の、塩の味付けの肉肉しい、のを、
頬張り、口の中で、噛んだ肉から肉汁が、じゅわっと、
旨いっ、って、声が出た。

ふたりを想像していた歴史が、吹っ飛んでしまい、
酒で、腹の中に、流し込んだ。


坐禅のあとだったが、ふたつに切ったミミズの仏性なんて、
どうでも良くなっていた。

彼ら、坊さんは、本気で、そんなこと、
毎日、坐禅して、答えを探しているのかね。

般若湯(お酒)に、草履(牛肉)、裸足(鶏肉)、赤豆腐(鮪)、山の芋(鰻)、
普通に、食していらっしゃるでしょうね。

じゃないと、あの立派な建物と釣り合いが取れない。


そんなことより、
旨いつまみと、旨い酒、
できれば、旨い雰囲気、これで、上出来。






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