柳誌をいただいても、読んでも、こうしてブログに書くことはなかった。
勝手に鑑賞して楽しむのはいいが、外に向けたとき、失礼な鑑賞をしていたら申し訳ないと思ったから。
でも、せっかくいただき、読んだのだから、感想を載せてもいいかなと。
心境の変化。
先日いただいた、水脈より。
まず表紙の絵と短い文が可愛い。今回のは
舞っている蝶を見ているウサギ
の絵に
じまんの耳をすませても 聞こえてくるのは蝶がはばたく音だけ。「春の足音」とはどんな音?
という一文。
ウサギと一緒に考えてしまった。
柳誌をいただいている方の一句。ちょっと甘えて、鑑賞を書いてみました。
鑑賞。
一日はわりと長いし手強いし 一戸涼子
カレンダーを見る朝は、なぜか一日が長くなる。気のせいだとはわかっているけれど、統計と取ってみればより鮮明にデータがでそうなほど、この感覚は当たっていると思う。
さて、今朝もこうしてカレンダーを見てしまった。
流れで窓の外を見てしまった。
ああ、草が伸びている。
今日は午後友人がお茶を飲みに来る予定になっている。それだけでもマフィンを焼いたり、サラダを作ったりと忙しいのに、見てしまった草はけっこう伸びている。これも体裁を整えるほどには取っておかなくちゃ。
ああ、スケジュールが一つ入ってしまった。
こんな風にのんびりとお茶を飲んではいられないわ。草を取る前に布団を干さなくちゃ。
さあ、上げなくちゃ、お尻。
ふう。
ああ、楽しかった友人とのお茶。
少し休んでから片付けね。
それでも今日の予定は済んだわね、午前中はちょっと忙しかったけれど
終わりよければ、よね。
あら、電話。娘?
「お母さーん、今駅に着いたんだけど、これから友だちとお茶していくから、終わったらまた電話するね。だから迎えにきてねー」
ガチャ・・・って言うだけ言って切っちゃった。
あら、今度はお父さんからメール。
「会社が終わったら飲み会だから、終わったら電話する。迎えに来てくれ」
夜まで予定が入っちゃった。
あたしの今日はいつ終わるのかしら。
句を見た時、こんな物語が勝手に頭の中を通り過ぎた。
本当に勝手な鑑賞で、すみません。
他の方の句。存じ上げないので鑑賞は控えました。
プリプリのブリいっぴきと日が暮れて 平井詔子
室内は真冬それから渦になりました 中島かよ
それも引力で山羊の強情 佐々木久枝
床の間のスルメ「あらお父様」 岩淵比呂子
中流の意識くずれる猛吹雪 斎藤はる香
冬枯れの蘭と桜の化かし合い 落合魯忠
朝焼け
盗まれた
体温 松原ゆきえ
魚の目にいさぎ良さを描き足して 城村美都枝
神の名も言わずに頼る宝クジ 田村あすか
古惚けたオルガンになったのは誰ーれ 春口倭文子
春の音ほら亡霊となる氷柱 岡崎 守
三月のリズムは道化師のリズム 大橋百合子
水漏れが激しくなった舞台裏 酒井麗水
地獄まで後方四回ひねりかな 浪越靖政
読んでいるだけより、こうしてブログにすると一句一句更に緊張が走るとこを実感。
これもひとつの大切な読み方かなと思った。