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王の運命-歴史を変えた八日間- 【感想】

2016-10-18 09:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。
今年の米国アカデミー賞の韓国映画選出作とのこと。なるほど素晴らしい。監督は前作「ソウォン 願い」で自分の体内の水分を絞り取ったイ・ジュニク。

日本でも韓国ドラマで知られるようになった、朝鮮王朝史上最高の名君といわれた「イ・サン」。彼が幼少であった頃、父親の「世子」が、祖父の「英祖」によって死罪にされた「米櫃事件」を描く。朝鮮王朝の歴史については全く疎く、少し身構えていたのだが、歴史知識なしでも十分に理解できるドラマだった。ストーリーラインはシンプルで英祖と世子の親子の確執が描かれている。舞台が王宮内で閉じているのでホームドラマっぽい印象もある。王朝政治において親から子供へ王位が継承されるのが常だが、第21代国王の英祖は、実の息子世子に継がせず、その息子(孫)にあたるイ・サンに継がせた。理由は世子の反逆によるものだ。動機はクーデターといった政治的な理由ではなく、個人的な父への恨みというもの。父も息子を忌み嫌い、2人がすれ違い、父が子どもを米櫃に閉じ込めて餓死させるという悲劇に至った経緯が明かされていく。父は王として生きることを選び息子にもその生き方を望むが、息子は父の息子として生きようとした。普通の親子として生きられない宿命は王としての権力を持つがゆえのことであり、常人ではとうてい理解ができない感覚だ。息子を「仇」とするのは、親族間での覇権争いを繰り返した歴史から学んだ教訓と、一国を担う王としての能力や品格を養わせるためだ。しかし、厳格な子育てをする王が立派な人間とは限らない。息子の才覚に嫉妬し、色情に溺れる。英祖の複雑な人間性は、見る側の共感に媚びない。一方の王子である世子は、自分を受け入れない父親に理解を示すことができない。2派に分かれる王宮内の派閥争いも手伝い、2人の溝は埋められないものになっていく。感じるのは権力を持つことの重責と、生まれながらに繋がってしまった親子のサガ。出来損ないのレッテルを張られ、王家の汚点として歴史からも抹消されようとした世子。そんな男から天才的な子ども(イ・サン)が生まれるという運命の悪戯が切ない。

英祖を演じたソン・ガンホがため息が出るほどの名演を見せる。まさに韓国の至宝。現在と過去と時間軸が複雑に行き交う構成ながら、振り回されることなく本作を注視できるのは、彼の功績によるところが大きい。また、前作「ベテラン」で振り切った悪童を演じていたユ・アインは本作では打って変わって繊細なキャラクターを熱演する。幼少期のイ・サンを演じた子役もめちゃくちゃ演技が巧く、父を庇うシーンでもらい泣きさせる。その他、脇役たちの抑えた名演も光る。

成長したイ・サンが父の魂を乗せて舞うラストシーンが素晴らしい。演出、脚本のみならず、撮影や照明などの技術面の高さも特筆すべき点だ。久々に見応えのある時代劇を堪能した。

【75点】
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