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殿、利息でござる! 【感想】

2016-10-14 09:00:30 | 映画


新作DVDレンタルにて。
江戸時代末期、生活に困窮する宿場町を救うために奔走する人たちを描く。
良い意味でパッケージ詐欺。ドタバタコメディ時代劇と思いきや、まさかまさかの胸アツ歴史ドラマ。時の流れを感じさせるラストに余韻が残る。

現在の宮城県にあたる仙台藩の宿場町「吉岡宿」で起きた史実の映画化とのこと。当時、吉岡宿では藩から宿場間の輸送業務(「伝馬役」)を無償で課せられていて、町民たちの生活を疲弊させていた。宿場町として商売も振るわなかったため、新たな収益を生む政策が必要とされた。そこで出たアイデアが、仙台藩に金を貸し付け、その利子によって収益を得るというものだ。しかし、その貸付金として必要な額は今の換算で3億円という大金。その大金を用意するまでの様子が描かれるが、それが本作の9割を占めていた。貸付金の捻出方法はシンプルで、町民のなかでも金持ちの人間が有志で身銭を切る形で、見返りを求めない寄付によって実行される。恵まれぬ町民のため、そして未来の子孫のための復興資金として捉えられる。しかも彼らのルールとして「慎みの掟」が掲げられ、末代まで彼らの善行が語られることを禁じることとした。大金が大金だけに、その工面は何年もの月日を要し、有志たちも家財を売り払うなど自らの生活を切り崩していく。町を救いたいと誠実に願う者もいれば、自らの利益や誉れを捨てきることができない者もいて、彼らの小競り合いと団結の過程が笑いあり感動ありで描かれる。資金が溜まっていく過程を、その都度現在の価値に置き換えた金額で提示する演出も効いている。
本作の主人公であり、計画のリーダーである穀田屋十三郎は、真っ直ぐな善人だ。時代劇初挑戦となる阿部サダヲが演じるが、その実直さゆえのユーモアを巧みに表現している。計画メンバーの1人で両替屋を演じた西村雅彦の悪あがきっぷりが最高で、とても貴重な存在だ。
描かれるのは自己犠牲と良心の伝播だ。人間ドラマなのに悪意がほとんど見えないストーリーに、甘過ぎる印象を受けなくはないが、大変な苦難の末に彼らの良心が身を結ぶ結末に感動せざるを得ない。彼らのゴールを2段構えにした脚本もいい。
そして本作を特別なものにしたのは、場面が変わりラストに映し出される現代の風景だ。どこにでもありそうな変哲のない町と小さな商店は、当時の舞台となった場所だ。まさか、こんなドラマがあった場所とは到底思えない。人々が懸命に生きた時代があって、その歴史が現代に繋がっているということ。グッときた。

【70点】
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