臆病なビーズ刺繍

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 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の「朝日歌壇」から(10月31日掲載分・其のⅠ)北方四島以南、本日大公開!乞う、ご一読賛嘆!

2016年11月01日 | 今週の朝日歌壇から
 昨夜、短歌関係の知人の方から鳥羽省三宛てに、本ブロクの記載内容に就いての懇切丁寧な一通のメールが寄せられましたが、なにぶん私信でありますので、その詳細を示すことは出来ません。
 しかしながら、その概略は「昨今の鳥羽省三のブログのタイトルには『北方四島以南、本日大公開!乞う、ご一読賛嘆!』などという注釈が添えられているが、そうした下品な文言は、右翼紛いの虚仮脅かしの文言であり、かつ、ストリップ小屋の客引き紛いの文言であるが故に、鳥羽省三に寄せられた世の歌人の信頼感を損ねること大であるから注意されたし」といった内容なのである。
 また、「鳥羽省三のブログの記載内容には、殊更なる過激な発言や無用な冗漫かつ饒舌な傾向が見られる」とのご指摘も為されているのでありました。
 思うに、「〈北方四島以南、本日大公開!〉という文言は、〈右翼紛いの虚仮脅かしの文言〉と言うよりも、〈ストリップ小屋の客引き紛いの文言〉であり、発言者の私・鳥羽省三の意図するところも、当初からその点にあったのでありますから、件の短歌関係の知人の方から私どもに寄せられた懇切丁寧なるメールの内容は、私・鳥羽省三の立場から見れば、半ば外れ、半ば当たっているような内容であり、その裡の〈半ば当たっている〉点に就きましては、真に嬉しく頂戴致したく、これからも潔斎・精進致したく存じ上げます。
 また、本ブログの管理者たる私は、常々、「饒舌なる事を恐れる莫れ!冗漫と謗られることはを以て、物書きの誉れと思え」とばかりに、「我が書く文よ!只管に冗漫かつ饒舌であれ!」と祈念している次第でありますから、お暇の無い方は、何卒、本ブログにお立ち寄りになられなうように一言ご案内かたがたご注意申し上げます。


[馬場あき子選]
○  痛々しい美しさなり大切にくるまれてくるふくしまの桃  (調布市)鈴木美江子

 「ふくしまの桃」ならずとも、「生産農家から涙の出るような低価格で買い上げた桃に付加価値を付けて、消費者が涙を流すような高価格で売ろうとする農協や集荷業者や一部の商人の商魂の逞しさ」が、「桃」を発泡スチロール製の擦過疵防止袋や薄葉紙で包んで出荷するような悪習を齎したのであり、その元凶は今や〈街金〉以下の貸金業者に成り果ててしまった農協である、とするのが偽らざる私の本音である。
 国内産の青果物は、生産費の関係等からどうしても高価格になりがちであり、その分だけ国際競争力が弱くなりますから、「桃」や「メロン」などに擦過疵防止策を施して付加価値を付けて出荷する事には、確かに推奨される側面も無しとはしません。
 しかしながら、擦り傷の付き易い「桃」や「メロン」だけならばまだしも、最近に於いては、比較的に疵付き難いふじ林檎や幸水梨にまで、しかも、下町の八百屋やスーパーなどに並べられ、エンゲル係数の高い私たち庶民の消費する果物にまで、そのような手間が掛かり、消費者価格の上昇に結び付く過剰包装を施すようになってしまったのは、我が国の農業の未来を考える時、私にはとてもとても心配で残念なことに思われる。
 そうした事実を知って居てか、知らないで居てかは存じ上げませんが、本作の作者・鈴木美江子さんは、そうした過剰包装が為された「ふくしまの桃」を、「痛々しい美しさなり」などと惚けたようなことをおっしゃいますが、東京都下調布市にお住まいの鈴木美江子のこうした脳天気な言が、国内産のしかも国内で消費される果物の、殊更なる過剰包装を巡る諸事情を「知らないで居て」為された言ならば、それはあまりにも無知と言うべきでありましょうし、「知って居て」為された言ならば、本作の作者・鈴木美江子さんは「女天一坊」とでも称えるべき策士と断じざるを得ません。
 何故ならば、掲出の一首が、目出度くも選者・馬場あき子氏のハートを得て、首席入選作品に選出されたのは、ひとえに、「痛々しい美しさなり」という、文学的な修辞で以て詠まれた歌い出しの二句の存在が在っての事であると判断されるからである。
 こうした文学的修辞に偏った作品を評する言葉として、巷間には「作者の人並み優れた感受性と優しさとがもたらした佳作である」などという出来合いの言葉が在りますが、本稿の起草者・鳥羽省三は、掲出の鈴木美江子作をそんな優しい言葉で以て褒める事は出来ません。
 [反歌]  昨今は福島産と言ふだけで高値で売れる果物が在る  鳥羽省三


○  約束の時間より早く帰ります心配性のママの子として  (富山市)松田わこ

 「約束の時間より早く帰ります」は宜しいとしても、「心配性のママの子として」という下の句には困っちゃいます。
 松田短歌一家の可愛い末娘の〈わこちゃん〉とて、来週には高校の制服を着用しなければなりません。
 その〈わこちゃん〉の可愛いお口から、滅多矢鱈に「心配性のうちのママだから、部活などしないで帰宅しなければなりません」などという言葉が飛び出しでもしたならば、出来る彼氏だって出来なくなってしまいましょう。
 それに、彼の彼氏が、まかり間違って、そんな「ママ」が君臨する、そんな家庭の愛娘と結婚してしまったら、彼の結婚生活は真っ暗ではありませんか? 
 [反歌]  たまさかに帰宅時間に遅れたら心配性のママはどうする!  鳥羽省三
      ナンパする男にだつてあるはずだ顔の好みや選択権は


○  七人の侍集う良き夜なり大隅さんを祝いて酒汲む  (名古屋市)諏訪兼位

 「七人の侍」とは良くぞ言ったり!
 でかした!でかした!諏訪兼位博士!
 でも、諏訪兼位博士ご自身が「七人の侍」の一員でないのは、私たち読者にとっても、諏訪兼位博士ご自身にとっても、極めて残念なことである!
 [反歌]  七人の侍集ふ宴席の端なる人こそ永田和宏氏  鳥羽省三
 

○  獄廊を初秋の風吹き抜けて手紙書く人読書する人  (ひたちなか市)十亀弘史
 
 「初秋の風吹き抜け」る「獄廊」にて「手紙書く人」や「読書する人」がいらっしゃるのは、大変結構な事と思われます。
 ところで、そんな環境に居て、懺悔の涙を流したり、気持ちが鬱いで頭を抱えていたりする人はいらっしゃらないのでありましょうか!
 [反歌]  獄廊にアリンコ一匹這ひはせぬ囚人たちの日課の清掃  鳥羽省三  


○  「命より大事な仕事なんてない」過労死社員の母の言重し  (名古屋市)長尾幹也

 長尾幹也さんの仰る通り「命より大事な仕事なんて」ありません。
 本作の作者・長尾幹也さんの現在のご境遇を考えた場合、「命より大事な仕事なんてない」という言葉の重量感は倍増するのである。
 [反歌]  「命より大事な広告なんて無い!」電通幹部よ反省しなさい!  鳥羽省三


○  炎天下に車の誘導なし終えて木の股に置きし冷水を飲む  (秩父市)高橋秀文

 私の少年時代に於いては、「木の股」とは、私のような悪ガキが生まれて来る場所でありましたが、昨今に於いての「木の股」は、「炎天下」の「車の誘導」員の方がお飲みになられる「冷水」の置き場所に格上げされてしまったのでありましょうか?
 [反歌]  吾はもや老樹の股より生まれ来て山の煙と消え行くならむ  鳥羽省三 


○  蟬の声しみ入りしとふ大岩を雨滴のうがつ秋の山寺  (東京都)夏目たかし

 東京都にお住まいの夏目たかしさんは、折からの篠突く雨の中を、山形県の「山寺」にご参拝なさったのでありましょう。
 それにしても、この作品のスケール感の大きさには驚かされていまいます。
 なにしろ、彼の「山寺」の「大岩」に「蟬の声」が「しみ」入るまでには、数十世紀にも及ぶ長い歳月を要したのであり、その「大岩」を「雨滴」が「うがつ」には、僅かに一昼夜に降る雨の圧力しか要しないのでありますから!
 [反歌]  一夜降る豪雨が穿つ磐のあな秋の山寺落ち蟬鳴かず  鳥羽省三


○  水害の玉葱を鋤くトラクター無念の爆音天にとどろく  (北海道)大戸秀夫

 つい数週間前のことでありますが、我が家の最寄りのスーパーで野菜の特価販売が行なわれるという情報が朝日新聞の折込チラシという形で入りましたので、早速、家内同伴の上、件のスーパーまで足を運んだ次第でありましたが、当日販売されていた「玉葱」は、一玉二十八円という低価格でありましたが、本来的には茶色でなければならない皮全体が黒ずんでいて、いかにも不味そうにも思われました。
 思うに、件の「玉葱」こそは、過日の「水害」に遭われた、北海道の農家の方の畑で育てられた品物と判断されるのである。
 [反歌]  水害の被害に遭つた玉葱の大玉一個二十八円  鳥羽省三


○  どす黒く火山灰(よな)ふり積る藷の葉に遥かな阿蘇の噴火みえくる  (大分市)岩永知子

 「藷の葉」とありますから、件の「いも」は、〈じゃが芋〉では無くて〈甘藷〉なのでありましょう。
 ところで、本作は、他ならぬ馬場あき子先生がご選定なさった一首でありますから、傑作ではありましょうが、不肖・私にはどうしても解らない点がありますから、何方かご教授賜りたくお願い申し上げます。
 というのは、本作の前半部「どす黒く火山灰ふり積る藷の葉に」と、後半部「遥かな阿蘇の噴火みえくる」との関わりに就いてでありますが、飯田蛇笏作の一句「芋の露連山影を正しうす」の場合は、「芋の露」が真珠の結晶の如く透き通っていますから、「連山」の正しい姿(影)が、その「芋の露」に映って見えることがありますが、本作の場合は、「藷の葉」が「どす黒く」「ふり積る」「火山灰」に因って真っ黒くなっているはずですから、それに因って「遥かな阿蘇の噴火」か「みえくる」はずはありません。
 こうした点に就いて熟慮してみると、私には、本作の言葉の斡旋には、短歌特有の誤魔化しがあるように思われますが、その点に就いての、作者及び選者のお考えをお聞きしたいと思います。
 [反歌]  どす黯くヨナ降り積る薯の葉に遠く離れた阿蘇は映らず  鳥羽省三


○  アレッポの瓦礫の中で生きている人々映る夜寒のテレビ  (石川県)瀧上裕幸

 「アレッポの瓦礫の中で生きている人々」の姿が、我が家に於いては「汗だくの夜のテレビ」に映りました。
 本作の作者がお住まいの石川県などの日本海側の諸県は、かつては「裏日本」なる蔑称を奉られて居りましたが、思うに、同じ日本と言えども、かつての「裏日本」と「表日本」との間には、こんなにも甚だしい寒暖差が存在するのでありましょうか?
 こんな質(たち)の悪い冗談を以て本作を評するのも、一重に、私が本作の作者・瀧上裕幸さんの逞しい想像力と卓抜した詠歌力に嫉妬しているからなのかも知れません。
 因みに申し添えますと、本作の作者・石川県の郡部にお住まいの瀧上裕幸さんは、前回、十月十七日の朝日歌壇に「空爆で傷を負いたる少年の目はシリアより我等を見つむ」という傑作をご投稿なさって居られて、目出度くも、馬場あき子選の首席入選という金的を獲得なさって居られました。
 [反歌]  アレッポの少年の目が抉り出す渋谷クロスのハロウィン騒動  鳥羽省三 
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