○ さみしさをさみしさでなぐりあふやうな冬の電話の先の風音 浅野大輝
昨今はほとんどがケータイですから、「風音」などももろに入って来るのでありましょうか。
「さみしさをさみしさでなぐりあふやうな」との比喩的な叙述は、直接的には「冬の電話の先の風音」に係って行き、通話相手の居る場所が冬風が吹き荒れる屋外であることを示しているのであるが、間接的には、電話の内容が決して穏やかで親しい友人同士のそれでは無かったことをも証しているものと思われる。
[反歌] 金持ちは金持ち相手に喧嘩せず殴り合ふのは貧乏人のみ 鳥羽省三
悲しいことにこれが浮世の現実なのである。
○ 山に山重ねて青き野の果てにさらなる果てのあることかなし 千種創一
「青き野の果てにさらなる果てのある」とは、正しくも果てしなく物悲しい光景である。
[反歌] 育さんが越え去り行かば寂しさの極みにならむ限界集落 鳥羽省三
「育さん」は我が限界集落唯一の若い女人、彼女が独身の弟と同居するために、埼玉県蕨市に転居してしまえば、私の話し相手は谷向こうの一軒家のお爺さんだけになるのである。
○ 「自死だろう」魚屋の大将年末に自分でつくりしフグたべて死ぬ 石飛誠一
思わず笑っちゃいましたが、こうした形の「自死」もあるんですね。
[反歌] 「自死ならむ!」五十歳下の嫁貰ひ遣り捲くりし挙句の腹上死とは 鳥羽省三
今どき「腹上死」するとは、呆れてものが言えませんが、なにしろ当年とって八十七歳の彼が四十歳を前にして盛のついた嫁さん相手の相撲を一日三番も取るのですからね。
それって魚屋の大将と同様にある種の〈自死行為〉ではありませんか?
でも、生命保険は二千万円も下りたって話は聞きましたけど?
○ 寂しさは失せゆくにあらず知らぬ間に体の底に透明に残る 中村蓉子
「体の底に透明に残る」とは、まさに実感を伴った表現でありましょう。
[反歌] 貧乏人とは持たざる人のことならず借金しこたま持つてる人だ 鳥羽省三
とすると、金が無い代わりに借財も無い僕はお金持ちということになるのでしょうか?
だとしても、まるでその実感はありませんけど?
○ 少女の日縊死の姿と思わざりきてるてるぼうずてるてるぼうず 小川 玲
「てるてるぼうずてるてるぼうず」との下の句の素晴らしさよ!
[反歌] 軒先にてるてる坊主吊されてフォークシンガー彼は縊死せり 鳥羽省三
「フォークシンガー彼」とは、例の名曲「プカプカ」をヒットさせた御仁です。
○ 嘘をつくたび枝毛が増えてゆくそんな嘘さへ信じてしまふ 香西柚茉
「嘘をつく度に顔の皺が増えていく」といったケースなら、まるきりの嘘でもありませんね。
[反歌] たすけてぇー枝毛姉さん!助けてぇー嘘をつく人助けらんない 鳥羽省三
「枝毛姉さん」も今ではアラフォーとか?
○ 子が言った「何でもないよ」それならば沢山泣いて傷つきなさい 安倍光恵
流した涙の数が多い程、早く大きく成長して行きます。
[反歌] 「何でもない!何でもないよ!」が口癖で狼少年紛ひの男 鳥羽省三
昨今の都会の小学生のほとんどが「何でもない!何でもないよ!」が口癖の狼少年だとか?
○ キレイゴトと謗らるる夜の月明りきつと綺麗に生き抜いてやる 北川 迪
「きつと綺麗に生き抜いてやる」との必死の覚悟が多くの人の涙を呼び、かつ感動を与えるのである。
[反歌] 仮にもしトイレ掃除を遣つたとてもきつと綺麗になるまで野郎 鳥羽省三
かく申す私もまた、「きつと綺麗に生き抜いてやる」の口である。
○ 三無主義国滅ぼすと言はれたる女子大生でありし青春 黒瀬圭子
今ならば、「家無し金無し職も無し」といったところでありましょうか?
[反歌] 恋をする気無し婚活する気無しまして誰かの子を産む気無し 鳥羽省三
吾輩の連れ合いの「三無主義」は、「選挙に行く気無し、通院する気無し、便通よく無し」の三個である。
○ 歌を作るわれを訝しがる母は自分の知らない娘が怖い 佐藤浩子
[反歌] 猜疑心すこぶる強くかつブスで執念深い女が歌人 鳥羽省三
「ブス」とまで言われてしまったら、歌人ちゃんとてたまんないとは思われますが。
○ すすきほを秋のしつぽと思ふとき数千の秋ひるがへりたり 千種創一
[反歌] すすき穂が秋の尻尾であるならば秋の頭は柿の実ならむ 鳥羽省三
事の序でに申し上げますと「秋の手足」は、烏瓜と実を烏に盗まれてしまった我が家の葡萄棚の葡萄である。
○ やや胸をずらし抱きあふ年齢となりしよ銀婚式祝はれて 遠田有里子
事ほど左様に「中年太り」は恐ろしいのである。
[反歌] やや胸をずらし抱き合えど君の胸なら充分温い 鳥羽省三
娘が受験する某女子中学で父娘面接があるとかの理由で以て、一時期、体重が八十キロを切っていた愚息が、こないだ逢ったら、リバウンドしてて百キロ近くになっていました。
尤も、彼の場合は、身長が二メートル近くもあるんですから、それほどのデブには見えませんけど。
○ この町は平らだ歩いているうちに足の裏ハムになってくようだ 上澄 眠
「平ら」なのは、埼玉県の蕨市・川口市・さいたま市界隈の地形である。
だから、彼の地方には自転車通勤の女性が多いのである。
[反歌] この町に「平」という地名あるも平と言っても坂の上なり 鳥羽省三
「川崎市宮前区平」を皆さんご存じですか?
○ 熱がでる前ぶれのやうにふるき曲が頭のなかをめぐりてやまず 加茂直樹
そんなことって確かにありますね!
因みに、私の場合は昭和前期の懐メロですが。
[反歌] 「国境の町」を聞いたら眠くなるジャズを聞いても眠くはならず 鳥羽省三
でも、あのロックてう奴には、いつもいつも泣かせられてますが。
○ 安西水丸(みずまる)が青いインクでサッと描く下手うまのような歌並べたし 今井由美子
「下手うま」を「下手うま」と評価する事ができる評者は、現代歌壇にはほとんどいませんからね。
だから、そんな考えは頗る危険ですよ!
[反歌] 「下手うま」の「うま」は駄馬にて稼ぎが薄く暮らしに追い着く馬ではあらぬ 鳥羽省三
○ 長い髪が真っ赤な口にくっついているのが気になるドラマの死体 太田 愛
髪の毛が、長く長く長く延びて、君の首に巻き付いて来るのが怖くて怖くて怖いのでありましょうか?
[反歌] 〈毛綱〉とふ綱もありなむ何処かにはきつと居るらむ阪神ファン 鳥羽省三
○ 眠りながら布団ひっぱる不機嫌が素の中の素の君なんだろう 太田愛
数字に「素数」って奴がありますから、人間にも「素人」って奴が居ても不可思議ではありませんしね?
でも、「素人」は「しろうと」と読むんでした。
これは失敗でした!
[反歌] 歌詠みの素人の鳥羽が他人様の歌を評することの不可思議 鳥羽省三
○ 青空に今日も生きてゐると手を擧げて九十才の一日始まる 北村美代子
お年寄りは信号を渡る時に元気いっぱいに「手を擧げて」渡りますからね!
信号を渡る時ならまだしも、自動車専用の道路を渡る時だって、彼らは手を擧げさえすれば渡ることができるって信じてますから困ったもんです。
かく申す、私・鳥羽省三も亦、当年取って七十六歳,即ち、ご立派なお年寄りなのかも知れませんね!
[反歌] 寝たままでラジオ体操元気よくイチ、ニ、サンで起き上がりたり 鳥羽省三
○ みどり児とカラスの鳴き声混じる夕 晩夏は耳のうしろを過ぎる 黒沢 梓
「みどり児とカラスの鳴き声」がミキサーで以て攪拌されたら、その結果は如何に相成るのでありましょうか?
[反歌] おそ夏をみどり児ジュースを飲みにけり烏の鳴き声混ぢりのジュース 鳥羽省三
○ 教室はいたみやすくてそれぞれが角度ひとしく頭を垂れる 坂井ユリ
「教室」の何処が「いたみやす」いのでありましょうか?
[反歌] 教室に西日射すころ頭を垂れて眠りこけてた僕にしありき 鳥羽省三
○ 月光が浜辺に麻酔をかけてゆき百合の香のみが満ちにけるかも 石松 佳
すんばらしい出来栄えの一首である。
いちんちにただの一首でもいいから、こんなにもすんばらしい短歌に出会えたら、鑑賞者冥利に尽きると言っても過言ではありませんよ!
選者の黒田さん、ありがとうございます。
また、作者の方にも御礼申し上げます。
[反歌] 麻酔医が部分麻酔を掛け損ない耐え難かった手術なりにき 鳥羽省三
○ 友達の定義は我に友達の定義を考えさせぬ人なり 鈴木四季
然り。
全く同感であります。
[反歌] 政治屋の定義は「自分による自分のための自分の政治やる奴」 鳥羽省三
○ 図書館の歌集の歌に○(まる)見つけ同意できねば消しゴムで消す みぎて左手
昨今の図書館には著名な歌人の著名な歌集なら収蔵されてますよ!
私のよく行く麻生図書館には、馬場あき子先生と山本かね子先生の歌集なら全部収蔵されとります。
なにしろ、両先生の地元の公設図書館ですからね!
[反歌] 今野寿美センセの歌集はありません需要がなければ収蔵しない 鳥羽省三
○ この夏に抜いた前歯を生ゴミに出していろいろあったなと思う 石橋泰奈
いくら田舎のお役所でもそこまでは分別しませんから、ご心配なさる必要はありませんよ!
[反歌] 一夏を履いて汚したパンティーを渋谷で売つて儲けた娘 鳥羽省三
○ 眠い眠い子を身籠ったあの頃のように眠るよ月昇るまで 龍田裕子
「眠い眠い子を身籠った」としたならば、その子は学校や幼稚園でも居眠りの常習者として逮捕されるおそれ無しとせず。
[反歌] 眠いのは我が子で無くて母でした昼食抜きで眠つちやつてます 鳥羽省三
○ 名を呼ばれ立ちたる妻は我の前に鞄を起きて長き息吐く 森本忠治
総合病院の産婦人科の待合室風景に取材した一首かも?
[反歌] 名を呼ばれ立つとき妻は僕の金的ぎゆつと握り絞めたり 鳥羽省三
以上、「『塔』1月号・陽の当たらない名歌選2」より抜粋。
選者・黒田氏の選歌眼の素晴らしさには脱帽!禿丸出し!
[反歌臭い]
「何がゆへ此処まで遣るか鳥羽さんは?」「短歌に出逢へば読むしかないさ!」 鳥羽省三
昨今はほとんどがケータイですから、「風音」などももろに入って来るのでありましょうか。
「さみしさをさみしさでなぐりあふやうな」との比喩的な叙述は、直接的には「冬の電話の先の風音」に係って行き、通話相手の居る場所が冬風が吹き荒れる屋外であることを示しているのであるが、間接的には、電話の内容が決して穏やかで親しい友人同士のそれでは無かったことをも証しているものと思われる。
[反歌] 金持ちは金持ち相手に喧嘩せず殴り合ふのは貧乏人のみ 鳥羽省三
悲しいことにこれが浮世の現実なのである。
○ 山に山重ねて青き野の果てにさらなる果てのあることかなし 千種創一
「青き野の果てにさらなる果てのある」とは、正しくも果てしなく物悲しい光景である。
[反歌] 育さんが越え去り行かば寂しさの極みにならむ限界集落 鳥羽省三
「育さん」は我が限界集落唯一の若い女人、彼女が独身の弟と同居するために、埼玉県蕨市に転居してしまえば、私の話し相手は谷向こうの一軒家のお爺さんだけになるのである。
○ 「自死だろう」魚屋の大将年末に自分でつくりしフグたべて死ぬ 石飛誠一
思わず笑っちゃいましたが、こうした形の「自死」もあるんですね。
[反歌] 「自死ならむ!」五十歳下の嫁貰ひ遣り捲くりし挙句の腹上死とは 鳥羽省三
今どき「腹上死」するとは、呆れてものが言えませんが、なにしろ当年とって八十七歳の彼が四十歳を前にして盛のついた嫁さん相手の相撲を一日三番も取るのですからね。
それって魚屋の大将と同様にある種の〈自死行為〉ではありませんか?
でも、生命保険は二千万円も下りたって話は聞きましたけど?
○ 寂しさは失せゆくにあらず知らぬ間に体の底に透明に残る 中村蓉子
「体の底に透明に残る」とは、まさに実感を伴った表現でありましょう。
[反歌] 貧乏人とは持たざる人のことならず借金しこたま持つてる人だ 鳥羽省三
とすると、金が無い代わりに借財も無い僕はお金持ちということになるのでしょうか?
だとしても、まるでその実感はありませんけど?
○ 少女の日縊死の姿と思わざりきてるてるぼうずてるてるぼうず 小川 玲
「てるてるぼうずてるてるぼうず」との下の句の素晴らしさよ!
[反歌] 軒先にてるてる坊主吊されてフォークシンガー彼は縊死せり 鳥羽省三
「フォークシンガー彼」とは、例の名曲「プカプカ」をヒットさせた御仁です。
○ 嘘をつくたび枝毛が増えてゆくそんな嘘さへ信じてしまふ 香西柚茉
「嘘をつく度に顔の皺が増えていく」といったケースなら、まるきりの嘘でもありませんね。
[反歌] たすけてぇー枝毛姉さん!助けてぇー嘘をつく人助けらんない 鳥羽省三
「枝毛姉さん」も今ではアラフォーとか?
○ 子が言った「何でもないよ」それならば沢山泣いて傷つきなさい 安倍光恵
流した涙の数が多い程、早く大きく成長して行きます。
[反歌] 「何でもない!何でもないよ!」が口癖で狼少年紛ひの男 鳥羽省三
昨今の都会の小学生のほとんどが「何でもない!何でもないよ!」が口癖の狼少年だとか?
○ キレイゴトと謗らるる夜の月明りきつと綺麗に生き抜いてやる 北川 迪
「きつと綺麗に生き抜いてやる」との必死の覚悟が多くの人の涙を呼び、かつ感動を与えるのである。
[反歌] 仮にもしトイレ掃除を遣つたとてもきつと綺麗になるまで野郎 鳥羽省三
かく申す私もまた、「きつと綺麗に生き抜いてやる」の口である。
○ 三無主義国滅ぼすと言はれたる女子大生でありし青春 黒瀬圭子
今ならば、「家無し金無し職も無し」といったところでありましょうか?
[反歌] 恋をする気無し婚活する気無しまして誰かの子を産む気無し 鳥羽省三
吾輩の連れ合いの「三無主義」は、「選挙に行く気無し、通院する気無し、便通よく無し」の三個である。
○ 歌を作るわれを訝しがる母は自分の知らない娘が怖い 佐藤浩子
[反歌] 猜疑心すこぶる強くかつブスで執念深い女が歌人 鳥羽省三
「ブス」とまで言われてしまったら、歌人ちゃんとてたまんないとは思われますが。
○ すすきほを秋のしつぽと思ふとき数千の秋ひるがへりたり 千種創一
[反歌] すすき穂が秋の尻尾であるならば秋の頭は柿の実ならむ 鳥羽省三
事の序でに申し上げますと「秋の手足」は、烏瓜と実を烏に盗まれてしまった我が家の葡萄棚の葡萄である。
○ やや胸をずらし抱きあふ年齢となりしよ銀婚式祝はれて 遠田有里子
事ほど左様に「中年太り」は恐ろしいのである。
[反歌] やや胸をずらし抱き合えど君の胸なら充分温い 鳥羽省三
娘が受験する某女子中学で父娘面接があるとかの理由で以て、一時期、体重が八十キロを切っていた愚息が、こないだ逢ったら、リバウンドしてて百キロ近くになっていました。
尤も、彼の場合は、身長が二メートル近くもあるんですから、それほどのデブには見えませんけど。
○ この町は平らだ歩いているうちに足の裏ハムになってくようだ 上澄 眠
「平ら」なのは、埼玉県の蕨市・川口市・さいたま市界隈の地形である。
だから、彼の地方には自転車通勤の女性が多いのである。
[反歌] この町に「平」という地名あるも平と言っても坂の上なり 鳥羽省三
「川崎市宮前区平」を皆さんご存じですか?
○ 熱がでる前ぶれのやうにふるき曲が頭のなかをめぐりてやまず 加茂直樹
そんなことって確かにありますね!
因みに、私の場合は昭和前期の懐メロですが。
[反歌] 「国境の町」を聞いたら眠くなるジャズを聞いても眠くはならず 鳥羽省三
でも、あのロックてう奴には、いつもいつも泣かせられてますが。
○ 安西水丸(みずまる)が青いインクでサッと描く下手うまのような歌並べたし 今井由美子
「下手うま」を「下手うま」と評価する事ができる評者は、現代歌壇にはほとんどいませんからね。
だから、そんな考えは頗る危険ですよ!
[反歌] 「下手うま」の「うま」は駄馬にて稼ぎが薄く暮らしに追い着く馬ではあらぬ 鳥羽省三
○ 長い髪が真っ赤な口にくっついているのが気になるドラマの死体 太田 愛
髪の毛が、長く長く長く延びて、君の首に巻き付いて来るのが怖くて怖くて怖いのでありましょうか?
[反歌] 〈毛綱〉とふ綱もありなむ何処かにはきつと居るらむ阪神ファン 鳥羽省三
○ 眠りながら布団ひっぱる不機嫌が素の中の素の君なんだろう 太田愛
数字に「素数」って奴がありますから、人間にも「素人」って奴が居ても不可思議ではありませんしね?
でも、「素人」は「しろうと」と読むんでした。
これは失敗でした!
[反歌] 歌詠みの素人の鳥羽が他人様の歌を評することの不可思議 鳥羽省三
○ 青空に今日も生きてゐると手を擧げて九十才の一日始まる 北村美代子
お年寄りは信号を渡る時に元気いっぱいに「手を擧げて」渡りますからね!
信号を渡る時ならまだしも、自動車専用の道路を渡る時だって、彼らは手を擧げさえすれば渡ることができるって信じてますから困ったもんです。
かく申す、私・鳥羽省三も亦、当年取って七十六歳,即ち、ご立派なお年寄りなのかも知れませんね!
[反歌] 寝たままでラジオ体操元気よくイチ、ニ、サンで起き上がりたり 鳥羽省三
○ みどり児とカラスの鳴き声混じる夕 晩夏は耳のうしろを過ぎる 黒沢 梓
「みどり児とカラスの鳴き声」がミキサーで以て攪拌されたら、その結果は如何に相成るのでありましょうか?
[反歌] おそ夏をみどり児ジュースを飲みにけり烏の鳴き声混ぢりのジュース 鳥羽省三
○ 教室はいたみやすくてそれぞれが角度ひとしく頭を垂れる 坂井ユリ
「教室」の何処が「いたみやす」いのでありましょうか?
[反歌] 教室に西日射すころ頭を垂れて眠りこけてた僕にしありき 鳥羽省三
○ 月光が浜辺に麻酔をかけてゆき百合の香のみが満ちにけるかも 石松 佳
すんばらしい出来栄えの一首である。
いちんちにただの一首でもいいから、こんなにもすんばらしい短歌に出会えたら、鑑賞者冥利に尽きると言っても過言ではありませんよ!
選者の黒田さん、ありがとうございます。
また、作者の方にも御礼申し上げます。
[反歌] 麻酔医が部分麻酔を掛け損ない耐え難かった手術なりにき 鳥羽省三
○ 友達の定義は我に友達の定義を考えさせぬ人なり 鈴木四季
然り。
全く同感であります。
[反歌] 政治屋の定義は「自分による自分のための自分の政治やる奴」 鳥羽省三
○ 図書館の歌集の歌に○(まる)見つけ同意できねば消しゴムで消す みぎて左手
昨今の図書館には著名な歌人の著名な歌集なら収蔵されてますよ!
私のよく行く麻生図書館には、馬場あき子先生と山本かね子先生の歌集なら全部収蔵されとります。
なにしろ、両先生の地元の公設図書館ですからね!
[反歌] 今野寿美センセの歌集はありません需要がなければ収蔵しない 鳥羽省三
○ この夏に抜いた前歯を生ゴミに出していろいろあったなと思う 石橋泰奈
いくら田舎のお役所でもそこまでは分別しませんから、ご心配なさる必要はありませんよ!
[反歌] 一夏を履いて汚したパンティーを渋谷で売つて儲けた娘 鳥羽省三
○ 眠い眠い子を身籠ったあの頃のように眠るよ月昇るまで 龍田裕子
「眠い眠い子を身籠った」としたならば、その子は学校や幼稚園でも居眠りの常習者として逮捕されるおそれ無しとせず。
[反歌] 眠いのは我が子で無くて母でした昼食抜きで眠つちやつてます 鳥羽省三
○ 名を呼ばれ立ちたる妻は我の前に鞄を起きて長き息吐く 森本忠治
総合病院の産婦人科の待合室風景に取材した一首かも?
[反歌] 名を呼ばれ立つとき妻は僕の金的ぎゆつと握り絞めたり 鳥羽省三
以上、「『塔』1月号・陽の当たらない名歌選2」より抜粋。
選者・黒田氏の選歌眼の素晴らしさには脱帽!禿丸出し!
[反歌臭い]
「何がゆへ此処まで遣るか鳥羽さんは?」「短歌に出逢へば読むしかないさ!」 鳥羽省三