田舎者の映画的生活

田舎町に住んでいるナースが
何とか文化的生活を送ろうと
悪あがきしながら見た映画の感想の数々です。

映画「オーバー・フェンス」

2016年10月18日 | 映画・本
妻子と別れ、実家のある函館に戻り、
失業手当をもらいながら職業訓練校に通う白岩。
そんな彼がちょっと風変わりで、精神的に不安定な面を持ち合わせている
キャバクラ嬢の聡と出会い、恋に落ちる。

原作は「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」の佐藤泰志。監督は山下敦弘。
佐藤泰志三部作の最終章ともいうべきこの作品は、
前2作と同じく、社会の底辺にいる人の生活を描きながら、
前2作より、人々への眼差しが暖かく、希望を感じさせる仕上がりになっている。
静かなタッチだけど、芸達者な俳優達の演技は説得力があり、
それぞれのキャラクターが丁寧に描かれている。
北海道の初夏の空気感も、リアルに映し出されていた。

蒼井優演じる聡は、はっきり言ってすごく面倒くさい女。
精神を病んでるのは明らかだし、誰かれ構わず男と寝たりする。
しかし、それは愛情を渇望するが故の行動だとわかるし、
聡が抱く不安やジレンマに共感出来る部分もあるので、
なんとも切ない気持ちになる。
また、オダギリジョー演じる白岩の境遇には、
個人的に通じる部分もあり、胸が痛くなった。
白岩が別れた妻と再会し、泣く場面には、かなりグッときた。
ぶっ壊れていると自分のことを話す聡に対し、
自分はぶっ壊す方だったんだと語る白岩の気持ちがよく伝わった。

蒼井優は、あまり好きな女優ではないが、元バレリーナだけあって、
鳥の求愛ダンスを表現する時の身のこなしが美しかったし、
エキセントリックな演技から、ほんの少しの気持ちの変化や動きなど
微妙な部分の演技まで、見事な演技だった。
ヤサグレていても色気があってかっこいいオダギリジョーは、
まさに作品の華だったとも言えると思う。
脇では白岩の訓練校での同級生で、
元ヤクザの原を演じた北村有起哉が印象に残った。

白岩が本当の意味で、聡と心を通わせ始めた、
ダンスを踊る聡を白岩が抱きしめる場面からラストまでの展開が
心に響き印象的だった。
この作品は、人生の中で多くの経験をしてきた人とそうでない人では、
感じるものが違うと思う。派手でなないけど、心に染みる作品。
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