田舎者の映画的生活

田舎町に住んでいるナースが
何とか文化的生活を送ろうと
悪あがきしながら見た映画の感想の数々です。

映画「ハドソン川の奇跡」

2016年10月18日 | 映画・本
パイロット歴40年のベテラン、サレンバーガーが機長を務める旅客機が、
離陸後すぐにバードストライクにて、両方のエンジンが停止。
機長の冷静かつ絶妙な判断で、
ニューヨークのハドソン川への不時着水という選択となるが、
乗客と乗務員155人全員が助かるという結果に。
サレンバーガー機長は、英雄として讃えられるが、
事故後から飛行機が墜落する悪夢を見るようになり、
さらには調査委員会からは、
事故の際の過失の有無を厳しく追求されることになり、
葛藤の日々を過ごすことになる。
2009年1月15日に起きた、ニューヨークのハドソン川への、
旅客機不時着水事故を映画化した作品。
監督はクリント・イーストウッド、主演はトム・ハンクス。

これは予想以上に素晴らしかった。実話の重みを備えつつ、
エンターテイメントに仕上がっていて、ミステリーとしての謎解きの趣もある。
また、サレンバーガー機長だけではなく、乗客それぞれにドラマがあり、
そこを垣間見せることにより、生還の感動的な人間ドラマを生み出している。
圧倒的なリアリティは、事故の際に実際に関わった
管制官や救助員をキャストに使い、飛行機1機を買いとって撮影したという、
監督のこだわりの賜物。
イーストウッド監督作品は、いつも研ぎ澄まされた空気感があり、
無駄のない、それでいて緻密な演出という印象。
今回も、冒頭から静かな緊張感が漂い、
作品の中盤で改めて再現される事故の様子にそれが最高潮になる。
機長を始めとする乗務員と、管制官や救助にあたった人の連携があってこそ
起こり得た奇跡なのだが、彼らに対する敬意もきちんと感じられる。
そして多くの情報と出来事を詰め込みながらも、
コンパクトに96分の作品に仕上げたその手腕。
もうすぐ90歳になろうかというイーストウッド監督だけど、
さすがの一言しかない。
傷ついた人々を癒すかのような、静かで美しい音楽もとても良かった。

映画の原題は「サリー」。サレンバーガー機長のニックネームなのだが、
事故のことだけをメインにするのだけではなく、
サレンバーガー機長の素晴らしい人となり、歩んで来た人生、
事故後の苦悩の日々をしっかり描いていて、
彼だからこそ起こせた奇跡だったということをきちんと描いている。

サリーを演じたのはトム・ハンクス。昔から大好きな俳優だけど、
タイトルロールを演じるにふさわしい抜群の安定感と存在感。
妻役を演じたローラ・リニーは、再会の感動場面がなく、
最後までサリーと電話で話すだけなんだけど、
サリーと同じく英雄の妻としての葛藤を、
電話での会話という限られたシチュエーションの中でうまく表現していたと思う。
副操縦士を演じたアーロン・エッカートも好演。
彼が演じたジェフの、気の利いたユーモアで、
サラリと物語を終えるその余韻が何とも言えず印象的だった。

エンディングでは、サレンバーガー機長を始め、
実際に飛行機に乗っていた乗客が登場し、
また事故後の救助の様子の映像も映し出される。
乗客の方々も、実際には生死の境を彷徨ったわけであり、
事故後PTSDに悩まされた人もいたのではないかと思うけど、
彼らの笑顔は純粋にサレンバーガー機長への感謝と生還できた喜びに満ちていて、
この一連の出来事が、
9.11の事件で傷ついたアメリカの人達の心を癒したのだなと感じた。

しかし、これを見たら飛行機に乗るのがちょっと怖くなる(笑)
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 映画「オーバー・フェンス」 | トップ | 映画「ハッピーログイン」 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。