別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

やわらかな美しさ

2005-04-29 | 別所沼だより

 ずっと気になっていた。 道造のパステルという詩。 
パステルの鮮やかな色、やわらかく優しく哀しいまでに色褪せない絵に惹かれる。
 
 パステル画を描いたことはない、しかし描くところを見たことがある。
 まず用紙がちがう。凹凸があり、紙の表面が強くなっている。クレヨンみたいな顔料の粉を固めたもので描く。チョークのようにもろく、粉っぽく崩れる。それを指でていねいに紙の目に押しつけ、刷り込むように伸ばしていた。混色はできないので濃淡や色調など微妙にちがう色が、何十色も必要になる。それで、緑だけでも200種類も持っていたのだ。

 パステルは摩擦によって剥離しやすいので、フィクサチーフという定着スプレーを掛ける。用紙には一枚づつパラフィン紙がセットされ、絵を保護するようになっている。
 作品は 淡くやわらかな風合いで光沢があり魅力的である。
 道造はとくにパステルを好んだらしい。そのほとんどが中学時代の絵。色合いも、こころもやわらかく美しい。

 パステルは やはらかし/うれしかり ほのかなる 手ざはりは/うれしかり パステルの 色あひは。

 パステルを手のなかに遊ばせ、かおったり、なぞったり巻紙の色名をたしかめている、しあわせなひとを思った。

 写真は 立原道造記念館パンフレットを撮影
  無題 「飛行船」 1929-31年頃 
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2 コメント

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立原道造 (うしろの正面)
2005-05-12 12:39:48
「立原道造」からたどってやってまいりました。絵も写真も文章も素敵ですね。私もブログをUPしたいのですが実力が伴いませんので、こうやって訪ねているのみです。立原道造が中学生の頃から好きでしたが、自分に文章力がないので詩の雰囲気を味わう事くらいしか出来ません。絵は自分でも描きますので文章よりはわかるような気がします。立原道造のパステル画を見たときは「このひとは本当に天才だ!」とおもいました。そして、ますます好きになりました。もう、遠い眼をするのはとっくに似つかわしくない年齢になってしまいましたが、彼を思い出すと一瞬で青春の日の戻ってしまいます。また寄らせていただきます。
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うれしいことば (ラグタイム)
2005-05-12 23:28:05
 優しさのこもるメッセージありがとうございます。元気が出ます。うしろの正面さん、おもわず「だ~れ?」といいかけました。99%が初めてお会いする方なので、ぴったりの愉しいネーミングでした。パステルを描いていらしゃるのでしょうか?。



 現存する作品は13歳から17歳頃に制作とありました。天才の絵も詩も文章にも惹かれます。そして卓抜な才能を悼む三好達治の暮春嘆息

 

 「人が詩人として 生涯ををはるためには 

  君のやうに聡明に 清純に 

  純潔に生きなければ ならなかった 

  さうして 君のやうに また 

  早く死ななければ!」



 を思いました。お返事おそくなりました。

 
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