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ずっと気になっていた。 道造のパステルという詩。
パステルの鮮やかな色、やわらかく優しく哀しいまでに色褪せない絵に惹かれる。
パステル画を描いたことはない、しかし描くところを見たことがある。
まず用紙がちがう。凹凸があり、紙の表面が強くなっている。クレヨンみたいな顔料の粉を固めたもので描く。チョークのようにもろく、粉っぽく崩れる。それを指でていねいに紙の目に押しつけ、刷り込むように伸ばしていた。混色はできないので濃淡や色調など微妙にちがう色が、何十色も必要になる。それで、緑だけでも200種類も持っていたのだ。
パステルは摩擦によって剥離しやすいので、フィクサチーフという定着スプレーを掛ける。用紙には一枚づつパラフィン紙がセットされ、絵を保護するようになっている。
作品は 淡くやわらかな風合いで光沢があり魅力的である。
道造はとくにパステルを好んだらしい。そのほとんどが中学時代の絵。色合いも、こころもやわらかく美しい。
パステルは やはらかし/うれしかり ほのかなる 手ざはりは/うれしかり パステルの 色あひは。
パステルを手のなかに遊ばせ、かおったり、なぞったり巻紙の色名をたしかめている、しあわせなひとを思った。
写真は 立原道造記念館パンフレットを撮影
無題 「飛行船」 1929-31年頃
現存する作品は13歳から17歳頃に制作とありました。天才の絵も詩も文章にも惹かれます。そして卓抜な才能を悼む三好達治の暮春嘆息
「人が詩人として 生涯ををはるためには
君のやうに聡明に 清純に
純潔に生きなければ ならなかった
さうして 君のやうに また
早く死ななければ!」
を思いました。お返事おそくなりました。