昨日届いた「構想日本 JIメールニュースno.540」を読んでいたら、
以前NHKプロフェッショナルを見て、その左官の技術に感動した
挾土 秀平さんのエッセーが掲載されてて、面白い内容だった。

これは、挾土さんの本の表紙↑
そういえば、今度3月4日にお招きする小沼さんのことも
構想日本のメルマガのコラムを読んで感動して、
「ぜひお招きしよう!」と思ったんだった。
気になった方はぜひ登録してみてください〜。
(別に、回しものというわけではありませんが)
〜〜〜〜以下、転載させてもらいます〜〜〜〜〜
職人リレーエッセー(17)
職人の能力を引き出す「目利き」が求められている
左官 挾土 秀平
時折、気の利いた骨董屋をぶらっとのぞくことがある。数年前、8枚セ
ットの漆塗りの皿に出会い、とても手技とは思えないほど緻密な銀の象
眼と、クドすぎず程よいデザインに惚れ込んで買い入れてしまった。家
に持ち帰ってまじまじ眺めてみると、改めて、こんな粋な職人はもうい
ないだろうな、としみじみ思う。昨今の日本は、「早く安く」の経済優
先。職人技は、生きているというよりは、消えることがない程度に生か
されている状態で、この先も我々の感覚や生活からますます離れていっ
てしまうことが安易に想像できてしまう。
こう言うと、現場を知らない人に限って「いやいや、まだまだ日本の物
づくりの底力はこんなものではないから大丈夫です」、「日本の伝統は
世界に誇るべきもので、簡単には消えることはありません」などと返す
ので、話はいつも何となく途切れてしまう。しかし、そうして年月が過
ぎるうちに消え去ってしまった職人を、私はどれだけ見てきたかわから
ない。
こうした状況を何とかしようと、一流のデザイナーやプロデューサーの
中には、伝統的な技能者の技を取り入れた創作をしようとする動きもあ
る。確かに、世界情勢や生活スタイルがどんどん変わりゆく中で伝統を
残していくには、伝統の技と素材を用いながらも、常に現代的な表現を
提案していかなければならない。新しい表現が受け入れられていくこと
で、その奥にある本質に人々の目が向けられてゆくという期待もある。
しかし、企画自体は素晴らしくても、せっかくの機会をうまく活かせて
いないというもどかしさを感じることが多い。
例えば、ある仕事を要求されたときに、職人同士であれば、職種が違っ
たり、経験や技術の差があったりしても、「それは無理だ」、「それな
らできる可能性はある」という判断がつく。しかし、職人同士でない場
合には、要求している側にプロジェクトの実現可能性を説明しても、な
かなか理解されないことが多いのだ。デザイナーの場合、このデザイン、
この意匠をどうしても実現したいという気持ちに執着しすぎて、「その
ような材料、工法であれば、こういうリスクもあるだろうな」と想像す
る力が足りなかったりする。この不況のなか仕事を断ることもできず、
ついつい引き受けてしまう職人がいると、せっかくの挑戦が失敗に終わ
るだけでなく、クレームまでついてしまう。
そこで私は、職人の潜在能力を引き出せる人材、すなわち、作り手の技
能を理解し、ほんの少しだけ技量を上回る要求を出すことができる目利
き、いわば名伯楽とも言える存在こそが、日本の伝統を守っていくため
に今一番求められているものなのではないかと思うのである。こうした
視点は今まで見落とされがちだったのではないだろうか。
残念ながら、日本の美しさを担う技能者、腕のある職人ほど、ある日何
も言わずに身を引いていくのが現実だ。それが職人の最後の美学だなど
という悲しい国にしてはならない。
挾土 秀平(はさど・しゅうへい)
左官技能士。1962年、岐阜県高山市生まれ。1983年、技能五輪
全国大会左官部門で優勝。1984年、同世界大会出場。2001年、
14人を率いる「職人社 秀平組」を設立。近代的な建設物や個人住宅
から、日本伝統の土蔵や茶室まで、幅広く壁塗りを手がけている。天然
の土と素材から生み出される独自の世界観は、モダンかつ斬新で、日本
全国に活躍の場を広げている。
以前NHKプロフェッショナルを見て、その左官の技術に感動した
挾土 秀平さんのエッセーが掲載されてて、面白い内容だった。

これは、挾土さんの本の表紙↑
そういえば、今度3月4日にお招きする小沼さんのことも
構想日本のメルマガのコラムを読んで感動して、
「ぜひお招きしよう!」と思ったんだった。
気になった方はぜひ登録してみてください〜。
(別に、回しものというわけではありませんが)
〜〜〜〜以下、転載させてもらいます〜〜〜〜〜
職人リレーエッセー(17)
職人の能力を引き出す「目利き」が求められている
左官 挾土 秀平
時折、気の利いた骨董屋をぶらっとのぞくことがある。数年前、8枚セ
ットの漆塗りの皿に出会い、とても手技とは思えないほど緻密な銀の象
眼と、クドすぎず程よいデザインに惚れ込んで買い入れてしまった。家
に持ち帰ってまじまじ眺めてみると、改めて、こんな粋な職人はもうい
ないだろうな、としみじみ思う。昨今の日本は、「早く安く」の経済優
先。職人技は、生きているというよりは、消えることがない程度に生か
されている状態で、この先も我々の感覚や生活からますます離れていっ
てしまうことが安易に想像できてしまう。
こう言うと、現場を知らない人に限って「いやいや、まだまだ日本の物
づくりの底力はこんなものではないから大丈夫です」、「日本の伝統は
世界に誇るべきもので、簡単には消えることはありません」などと返す
ので、話はいつも何となく途切れてしまう。しかし、そうして年月が過
ぎるうちに消え去ってしまった職人を、私はどれだけ見てきたかわから
ない。
こうした状況を何とかしようと、一流のデザイナーやプロデューサーの
中には、伝統的な技能者の技を取り入れた創作をしようとする動きもあ
る。確かに、世界情勢や生活スタイルがどんどん変わりゆく中で伝統を
残していくには、伝統の技と素材を用いながらも、常に現代的な表現を
提案していかなければならない。新しい表現が受け入れられていくこと
で、その奥にある本質に人々の目が向けられてゆくという期待もある。
しかし、企画自体は素晴らしくても、せっかくの機会をうまく活かせて
いないというもどかしさを感じることが多い。
例えば、ある仕事を要求されたときに、職人同士であれば、職種が違っ
たり、経験や技術の差があったりしても、「それは無理だ」、「それな
らできる可能性はある」という判断がつく。しかし、職人同士でない場
合には、要求している側にプロジェクトの実現可能性を説明しても、な
かなか理解されないことが多いのだ。デザイナーの場合、このデザイン、
この意匠をどうしても実現したいという気持ちに執着しすぎて、「その
ような材料、工法であれば、こういうリスクもあるだろうな」と想像す
る力が足りなかったりする。この不況のなか仕事を断ることもできず、
ついつい引き受けてしまう職人がいると、せっかくの挑戦が失敗に終わ
るだけでなく、クレームまでついてしまう。
そこで私は、職人の潜在能力を引き出せる人材、すなわち、作り手の技
能を理解し、ほんの少しだけ技量を上回る要求を出すことができる目利
き、いわば名伯楽とも言える存在こそが、日本の伝統を守っていくため
に今一番求められているものなのではないかと思うのである。こうした
視点は今まで見落とされがちだったのではないだろうか。
残念ながら、日本の美しさを担う技能者、腕のある職人ほど、ある日何
も言わずに身を引いていくのが現実だ。それが職人の最後の美学だなど
という悲しい国にしてはならない。
挾土 秀平(はさど・しゅうへい)
左官技能士。1962年、岐阜県高山市生まれ。1983年、技能五輪
全国大会左官部門で優勝。1984年、同世界大会出場。2001年、
14人を率いる「職人社 秀平組」を設立。近代的な建設物や個人住宅
から、日本伝統の土蔵や茶室まで、幅広く壁塗りを手がけている。天然
の土と素材から生み出される独自の世界観は、モダンかつ斬新で、日本
全国に活躍の場を広げている。










