ドボコン
2010-10-02 | 音楽
「トラでビータ行ったんだけど初日ラフマのピーコンでゲネが押してみんなキレてさあ」
この意味が分かる方は、おそらくクラシック通、それもオーケストラ関係者ですね?
日本語に翻訳してみましょう。
「エキストラ参加で演奏旅行に行ったんだけど、初日ラフマニノフのピアノ協奏曲の演奏会前総練習で時間が延びたのでみんな怒ってしまった」
という意味です。
海軍隠語について時々書いてきましたが、音楽家隠語も負けてはおりません。
今日はクラシック業界隠語について。
クラシック音楽家に知り合いがいない方は、おそらく彼らは皆朝からウェッジウッドのカップでミルクティーなど飲み、クラシック音楽以外は耳が汚れるので聴かず、仕事のない時には美術館などに行って、仲間で高尚な議論を交わし・・・、と、美しい誤解をしておられるかもしれません。
しかし、知っている人は知っている。
彼らはある意味一般人よりワルです。
仲間同士の会話や行動も、時として一般人のそれをはるかに凌ぐ非常識だったりします。
真摯なのは音楽に対してだけ、後は破綻している人だっています。
ちょっくら(かなり?)頭のいい人、ただし自己顕示欲ありまくり、って感じの人が多いかな。
とてつもなく高潔な人もいれば、ヘンな人もいる。
つまり、普通の集団、ってことですが、普通の集団と違うことがあるとすれば、みな頭が良く自分に自信がなければやっていけない業界だけに、ひとへの批判は辛辣で、ジョークは辛口。
そんな人たちなので、当然のことながらその隠語にも、彼らのメンタリティの一端が現れている・・・かもしれません。
さて、作曲家の名前も、演奏形態も、他の省略形同じく4文字に縮める傾向があります。
日本人の血でしょうか。
本日タイトルのドボコンとは
ドボルザークのチェロ協奏曲のこと。
お池にはまってさあたいへんな感じの響きです。
これは、全ての現存するチェロ協奏曲の中でおそらくもっとも有名かつ名曲であるため、ドボコン4文字でこの曲を指すということになっています。
その他、省略形が特定の曲を指す例としては
メンコン―メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲
チャイコン―チャイコフスキーのピアノ協奏曲
ちなみにこの三つが「三大協奏曲」と言われています。
デートでクラシック通をアピールしたいときには
「ドボコン、メンコン、チャイコンの3コンの中で、キミが一番好きなのはどれ?」
と彼女の耳に囁いてみてください。
どんびきされてフラれても責任は持ちませんが。
チャイコフスキーはバイオリン協奏曲も有名なのでこちらを指すこともあります。
チャイコフスキーコンクールをこういう人もいるようです。
作曲家名もロシア系は「コ」止め省略です。
たとえばこのチャイコフスキーはチャイコ
ショスタコービッチはショスタコ
プロコフィエフはプロコ
ベートーベン、モーツァルトは、名前だけでは省略されませんが、曲名を言うときには2文字にされてしまいます。
ベトイチ―ベートーベン作曲交響曲第1番
ベートーベンの場合、交響曲はベトイチ、ベトニ、とベト+番号で表すのですが、何故か
5番はベトゴ、9番はベトキュウとは云いません。
「運命」「第九」(だいく)と言います。有名だからでしょう。
モーツァルトは
モツレク―モーツァルト作曲「レクイエム」
となり、頭に「モツ」が付くという、なんだか焼肉屋のような響きになってしまうのが問題です。
関西に「モーツァルト管弦楽団」というのがあるのですが、何故かみんなここを
モツカン
と呼びます。
モツ鍋をつつきながら熱燗で一杯、って感じの情景が浮かんでしまいませんか?
誰が言い出したか、なかなかの傑作に
タコハチ―ショスタコービッチの交響曲8番
というものがありまして・・・・(本日画像)
これなど、「つぼ八」の隣にある学生専門炉端焼き、あるいは関西出身たこやきデリバリーの店、っちゅう感じです。
ドボルザークの交響曲8番はどぼ八
マーラーの8番はまら八。
まさに交響曲8番は居酒屋の宝庫ですね。最後は違うかな。
ベトハチ(ベートーベンの8番)は居酒屋、というより蜂蜜でベトベトな熊のプーさん状態。
メルヘンです。
続いてコメントなし。
ひげじょ―ブラームス「悲劇的序曲」
青ダニ―シュトラウス「美しき青きドナウ」(ダニューブ)ともいう
青管(あおかん)―ブリテン「青少年のための管弦楽入門」
運チ、運リキ―ヴェルディ「運命の力」
機械的に短く言ってしまう、というもので
ハクチョウコ―白鳥の湖
眠り―眠りの森の美女
ティル―R・シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
などもありますが、わざわざおもしろいから長く言う、というパターンもあります。
オケメンは省略を時間の節約のためにしているわけではないってことです。
ひでおのいきがい―R・シュトラウス「英雄の生涯」
最も、マジでそのまま言うのが面倒なので強制的に短くしたに違いない、と思われるものが
トラガリ―メシアン「トゥーランガリア交響曲」
また、省略ではありませんが、ベートーベンのピアノソナタ「ワルトシュタイン」のことを我々は「大根切りソナタ」と呼んでいました。
出だしの音が大根を切っているまな板の音のようだからです。
ドルチェ&ガッバーナ=ドルガバは最悪、と以前ファッションの日に書きましたが、この中で響きが最悪なのはやはりドボハチ、モツレクが双壁でしょうか。
最悪なんだけど、何となく元からあるような気がする響きを持つのが
ダフクロ―ドビュッシー「ダフニスとクロエ」
どうしても森進一の声で歌が再生されてしまうんですが、これ。
この意味が分かる方は、おそらくクラシック通、それもオーケストラ関係者ですね?
日本語に翻訳してみましょう。
「エキストラ参加で演奏旅行に行ったんだけど、初日ラフマニノフのピアノ協奏曲の演奏会前総練習で時間が延びたのでみんな怒ってしまった」
という意味です。
海軍隠語について時々書いてきましたが、音楽家隠語も負けてはおりません。
今日はクラシック業界隠語について。
クラシック音楽家に知り合いがいない方は、おそらく彼らは皆朝からウェッジウッドのカップでミルクティーなど飲み、クラシック音楽以外は耳が汚れるので聴かず、仕事のない時には美術館などに行って、仲間で高尚な議論を交わし・・・、と、美しい誤解をしておられるかもしれません。
しかし、知っている人は知っている。
彼らはある意味一般人よりワルです。
仲間同士の会話や行動も、時として一般人のそれをはるかに凌ぐ非常識だったりします。
真摯なのは音楽に対してだけ、後は破綻している人だっています。
ちょっくら(かなり?)頭のいい人、ただし自己顕示欲ありまくり、って感じの人が多いかな。
とてつもなく高潔な人もいれば、ヘンな人もいる。
つまり、普通の集団、ってことですが、普通の集団と違うことがあるとすれば、みな頭が良く自分に自信がなければやっていけない業界だけに、ひとへの批判は辛辣で、ジョークは辛口。
そんな人たちなので、当然のことながらその隠語にも、彼らのメンタリティの一端が現れている・・・かもしれません。
さて、作曲家の名前も、演奏形態も、他の省略形同じく4文字に縮める傾向があります。
日本人の血でしょうか。
本日タイトルのドボコンとは
ドボルザークのチェロ協奏曲のこと。
お池にはまってさあたいへんな感じの響きです。
これは、全ての現存するチェロ協奏曲の中でおそらくもっとも有名かつ名曲であるため、ドボコン4文字でこの曲を指すということになっています。
その他、省略形が特定の曲を指す例としては
メンコン―メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲
チャイコン―チャイコフスキーのピアノ協奏曲
ちなみにこの三つが「三大協奏曲」と言われています。
デートでクラシック通をアピールしたいときには
「ドボコン、メンコン、チャイコンの3コンの中で、キミが一番好きなのはどれ?」
と彼女の耳に囁いてみてください。
どんびきされてフラれても責任は持ちませんが。
チャイコフスキーはバイオリン協奏曲も有名なのでこちらを指すこともあります。
チャイコフスキーコンクールをこういう人もいるようです。
作曲家名もロシア系は「コ」止め省略です。
たとえばこのチャイコフスキーはチャイコ
ショスタコービッチはショスタコ
プロコフィエフはプロコ
ベートーベン、モーツァルトは、名前だけでは省略されませんが、曲名を言うときには2文字にされてしまいます。
ベトイチ―ベートーベン作曲交響曲第1番
ベートーベンの場合、交響曲はベトイチ、ベトニ、とベト+番号で表すのですが、何故か
5番はベトゴ、9番はベトキュウとは云いません。
「運命」「第九」(だいく)と言います。有名だからでしょう。
モーツァルトは
モツレク―モーツァルト作曲「レクイエム」
となり、頭に「モツ」が付くという、なんだか焼肉屋のような響きになってしまうのが問題です。
関西に「モーツァルト管弦楽団」というのがあるのですが、何故かみんなここを
モツカン
と呼びます。
モツ鍋をつつきながら熱燗で一杯、って感じの情景が浮かんでしまいませんか?
誰が言い出したか、なかなかの傑作に
タコハチ―ショスタコービッチの交響曲8番
というものがありまして・・・・(本日画像)
これなど、「つぼ八」の隣にある学生専門炉端焼き、あるいは関西出身たこやきデリバリーの店、っちゅう感じです。
ドボルザークの交響曲8番はどぼ八
マーラーの8番はまら八。
まさに交響曲8番は居酒屋の宝庫ですね。最後は違うかな。
ベトハチ(ベートーベンの8番)は居酒屋、というより蜂蜜でベトベトな熊のプーさん状態。
メルヘンです。
続いてコメントなし。
ひげじょ―ブラームス「悲劇的序曲」
青ダニ―シュトラウス「美しき青きドナウ」(ダニューブ)ともいう
青管(あおかん)―ブリテン「青少年のための管弦楽入門」
運チ、運リキ―ヴェルディ「運命の力」
機械的に短く言ってしまう、というもので
ハクチョウコ―白鳥の湖
眠り―眠りの森の美女
ティル―R・シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
などもありますが、わざわざおもしろいから長く言う、というパターンもあります。
オケメンは省略を時間の節約のためにしているわけではないってことです。
ひでおのいきがい―R・シュトラウス「英雄の生涯」
最も、マジでそのまま言うのが面倒なので強制的に短くしたに違いない、と思われるものが
トラガリ―メシアン「トゥーランガリア交響曲」
また、省略ではありませんが、ベートーベンのピアノソナタ「ワルトシュタイン」のことを我々は「大根切りソナタ」と呼んでいました。
出だしの音が大根を切っているまな板の音のようだからです。
ドルチェ&ガッバーナ=ドルガバは最悪、と以前ファッションの日に書きましたが、この中で響きが最悪なのはやはりドボハチ、モツレクが双壁でしょうか。
最悪なんだけど、何となく元からあるような気がする響きを持つのが
ダフクロ―ドビュッシー「ダフニスとクロエ」
どうしても森進一の声で歌が再生されてしまうんですが、これ。