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掃海艦「はちじょう」除籍〜最後の舫を放す手

2017-06-15 | 自衛隊

調達艦、除籍艦のリストを見つけました。

本年度に除籍になる掃海艦艇は、今回お伝えしている
掃海艦「はちじょう」一隻だけとなりますが、ただし来年に就役予定の

「あわじ」型掃海艦「ひらど」

が今年進水を行い、ことしの調達にカウントされることになるので、
掃海艦艇の総数は23隻のまま変わらない予定です。

ここで今後10年の掃海艦艇の調達&除籍情報を書いておきます。

(ただし、お節介船屋さんのご指摘を受けて改めて中期防衛力整備計画の資料を見たところ、
掃海艦艇の増減には触れられておらず、護衛艦6隻、潜水艦5隻、その他5隻としか
記載されていなかったので、以下資料が防衛大綱からの引用でないことをお断りしておきます。
資料の確実性については、引き続き調査していきますので、とりあえずこのまま掲載します)


17年度 【掃海艦艇23+1-1】 就役:ひらど(除籍:はちじょう)

18年度 【掃海艦艇24-3】 就役:なし(除籍:くめじま すがしま のとじま)

19年度 【掃海艦艇21-1】  就役:なし(除籍:つのしま)

20年度 【掃海艦艇23+1-3】就役:29MSO(除籍:ゆげしま ながしま なおしま)

21年度 【掃海艦艇21+1-1】就役:30MSO(除籍:とよしま)

22年度 【掃海艦艇21+1-2】就役:31MSO?(除籍:うくしま いずしま)

23年度 【掃海艦艇20+1-1】就役:32MSO?(除籍:あいしま)

24年度 【掃海艦艇20-2】  就役:(除籍:あおしま みやじま)


この間、高松で乗った「つのしま」も、隣にいた「あいしま」も、
何年かの間には除籍することが決まっているわけですね。

掃海艦艇の寿命は、一般的に掃海艦、及び掃海管制艇で24年、
掃海艇ではそれより大幅に短い20年となっているようです。
FRP素材になって寿命が延びたと思っていたのですが、思ったより
掃海艇の予想寿命が短いのに少しビックリです。

この表を見て気がつくのが、調達予定とされているのが、
退役していくのが全て掃海艇なのに対し、「?」の部分も含めて
全てが MSO、掃海「艦」であることです。

これは、これからの機雷掃海は掃海艦が主流になっていくと考えていいのでしょうか。

この資料によると、今後の10年で掃海艦艇はこれまでの上限25隻から、
7隻も減少の18隻体制になっていくとのことです。

これは掃海という業務そのものの規模が縮小するということなのか、
艦艇一隻の掃海能力が向上したということなのか。

(この部分の数字については、中期防衛力整備計画のP31に記載) 

ところでついでに、皆さんも興味をお持ちだと思うので、この際
護衛艦の調達と除籍計画についても転載しておきます。

2017年度 【護衛艦46+1 】 就役:あさひ(除籍:なし)

2018年度 【護衛艦47+1】  就役:26DD(除籍:なし)

2019年度 【護衛艦48+1-2 】 就役:27DDG(除籍:やまゆき まつゆき)

2020年度 【護衛艦47+1-3 】 就役:28DDG(除籍:せとゆき あさゆき しらゆき)

2021年度 【護衛艦45+2 】就役:30DX×2(除籍:なし)

2022年度 【護衛艦47+2 】就役:31DX×2(除籍:なし)

2023年度 【護衛艦49+2 】就役:32DX×2(除籍:なし)

2024年度 【護衛艦51+2-1】就役:33DX×2(除籍:はたかぜ)

 
いかがでしょうか。
これからわかることは、掃海艦艇の縮小に反比例するように護衛艦数は増し、
現在の基本47隻体制から54隻までの増加を目標としているということです。

こちらも一般的な寿命を書いておくと、「はつゆき」型が34年、
それ以外が39年ということになっております。

少し時間を戻して、艦番号塗りつぶし作業の時に見守っている人々。
ほぼ全員がカメラ持ちでしたが、そんなにたくさん残っているわけではありません。

さて、艦番号の塗りつぶし作業が終わりました。
いきなり生気を抜かれたが如くの姿になってしまった(と感じる)「はちじょう」が
いよいよ最後に岸壁を離れる瞬間が近づいてきています。

燃料がほぼない状態で、岸壁から繋留地点まで引かれた「はちじょう」は
解体業者に引き取られる日まで、わずかな時間を港内で過ごしますが、
岸壁をそれで塞ぐわけにはいかないので、どこか邪魔にならないところに繋ぐようです。
確認はしていませんが、おそらく投錨せずに繋留するのでしょう。

 

前回ご紹介した横須賀海軍カレー本舗さんは、解体される前になんとか
木製の艦体の一部を欲しいものだとおっしゃっていましたが、それは
もはや自衛艦籍のなくなった艦のことなので、自衛隊ではなく、そのあとの
解体業者との話になってくるはずです。

最後の木造製掃海艦の木の一部、ぜひこの世に残して欲しいものですが・・。

オレンジのカポックをつけた港湾業務の隊員たちがその準備中。
操舵室の上とかに立ってる人がいますが何をしているんだろう。

左舷側にはもう曳船がスタンバイしているようです。

先ほどまで艦名と艦番号の塗装作業を行なっていた隊員たちが、
番号がなくなった艦体の前で最後に集合写真を撮っていました。

 

撮っているのはミカさん(仮名)ですが、彼女に自分の携帯を渡して撮ってもらっています。

彼らの後ろの艦上では作業が進み、杭から舫が外されつつあります。

舳先から出ている舫の先には、女性隊員が確認のためか舫を外すためか、
(こちらは違うことがあとで判明)立っています。

向こうに立っている男性は、初回にもお話しした最初の木造製掃海艦である
「やえやま」の初代艦長を勤めた方で、昨年その「やえやま」が除籍になった日も
やはりこの同じ岸壁から、その最後の姿を見送ったと聞きました。

初代艦長は、ほとんどの来賓や関係者がいなくなってからも岸壁に立ち続け、
さらには全員で基地をでた後にも、フェンスの外から、引かれていく
最後の「やえやま」型掃海艦、「はちじょう」の艦影を見つめておられました。

まるで少しでも長くその姿を記憶にとどめようとするかのように。

艦上の曳航準備が整い、ついに最後の舫が放たれる時がやってきました。
塗装作業をした「はちじょう」乗組員が、それを行います。

この舫を外せば、残る陸との繋がりは艦首の一本だけになります。

「はちじょう」が最後に陸とつながっていた絆を放つ作業。
出航する時にはいつも艦上にいた乗組員にとって、岸壁から「はちじょう」の舫を外すのは
もしかしたら最初で最後のことだったかもしれません。

艦上の作業員は日常の任務としてそれを行なっているという様子でしたが、
地上から舫を離した隊員の左手に、わたしは万感の過る一瞬を見た気がしました。

そして最後の舫を乗組員二人で一緒に取り、同時に手離した瞬間。

さほど大きくない掃海艦(しかも燃料も機材も外した状態)は、
タグボートの索たった一本で軽々と岸壁を離れ、動き出しました。

艦上の人たちは繋留地点に到着したら・・・あれ?どうやって戻るんだろう。

1、タグボートに縄ばしごで乗り移る

2、輸送船がお迎えに行く

3、最後の力を振り絞って「はちじょう」が救命ボートを下ろす

4、泳いで帰る

あー、最後まで見ていればよかった。

ペンキを塗っていた人数からさらに減って、この3名が最後に舫を離しました。
正式に決まった儀礼ではないと思いますが、「はちじょう」を見送るようです。

もう自衛艦籍になく、艦名も艦番号も消された今、これは「はちじょう」ではなく、
そうであったところの除籍艦ですので、艦上からもなんの挨拶もありません。

見ている三人も、会話しながらとリラックスした佇まいです。

岸壁を離れてすぐ、敬礼しながらの記念写真を撮ってもらう一人。

「敬礼なしでも撮ってね」

 

こうしてこの日、わたしは掃海艦「はちじょう」の最後を見届けました。
最後に、元掃海隊指揮官だった方のメールの一部をご紹介して終わりたいと思います。

 

自衛艦は、艦旗を掲揚し、乗員が乗り組むことにより命を与えられ、
そして旗を降ろし、乗員が去るときに命を閉じるように感じます。

船の乗組員になることは、飛行機や車を操縦したり、乗り降りすることとは、
かなり違う次元のことだと思います。

宇宙船と同じく、そこは命のカプセルのように、外界から独立して自己完結する世界です。

海の上で勤務する者にとって、最大の“敵”は、海であり、大自然です。
陸棲生物である人間が、海で生活するのですから、当然です。

そうした感覚が、海軍軍人をして、国籍を問わず、敵味方を問わず、
「Blue Mafia」という信条の絆や、独特の共通した雰囲気や
面差しが生まれるのではないかと思います。

「スマートで、目先が利いて、几帳面で、負けじ魂」を持っていることは、
海の怖さを知り、海と共に生きるための知恵であると思います。



終わり。

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30DX (Unknown)
2017-06-15 08:19:22
3国(3年国債(国庫債務負担行為)足掛け3年で完成就役)なんですね。掃海艇並みです。護衛艦は普通5国(足掛け5年)です。

30DXは機雷回避ソーナーを搭載し、限定的な掃海(機雷探知)能力を持つので、掃海艇は減ります。

今でも中国に対抗するには船の数が足りないので、護衛艦、潜水艦は増勢になります。
艦艇の就役及び除籍 (お節介船屋)
2017-06-16 09:42:01
下記の大変良い資料が発表されていますのでこれによりコメントします。
その資料とは防衛基盤整備協会秦尉二郎主任研究員(元海将補)「艦船の就役期間について」です。
我が国の防衛力のあり方については「〇〇年度以降に係る防衛計画の大綱」が安全保障会議及び閣議によって決定されます。
その別表に護衛艦、潜水艦、その他の艦艇数が記載されています。
最新のものは平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」です。「26大綱」
護衛艦数は54隻、潜水艦数は22隻で掃海艦艇数は個別の数は分かりません。
いまだ達成されていません。
その前の平成22年に決定された22大綱で常時継続される警戒監視能力に強化のため護衛艦等に艦齢延伸が承認、実施されています。
ただ自衛艦等の製造修理の手続き等を定めた「船舶の造修等に関する訓令」には俗にFRAM言う延命修理は定められていますが艦齢延伸は定義されていないそうです。
この訓令で除籍を決定するのは老齢船舶調査が竣工後定める期間が経過した前後で実施されその意見を防衛大臣に報告するとなっています。老齢船舶調査は護衛艦20年、潜水艦、掃海艦艇は12年です。
定期検査は護衛艦5年ごと、潜水艦3年毎、掃海艦艇4年ごとですので良好であればその年数で伸びていくこととなります。
政府答弁は昭和51年三木首相から答弁された「艦艇の就役期間は、艦首別の命数基準をもとに、各艦艇の老朽度等を勘案して決める」となっており、一概に何十年だから除籍とはなりません。
また建造予定艦船は中防と呼ばれる5年間の中期防衛力整備計画が示されますが、国家予算は単年度の会計となっており、防衛省が案を作製し、財務省に提出、査定を受けますが、政府案となる前に相当の削減があります。
過去の中坊で計画とおり達成された事は皆無と思います。
一見隻数はあると思われても装備品、大きさが削減されたり、国会で承認されても予算不足で消滅したりします。
また近年はライフサイクルコストの考えから就役年数、維持経費、乗員数なども考慮されているものと思います。
よって記載された数値、建造、除籍艦艇とならないと思います。

範囲が大きいので掃海艦艇に限って上記資料によれば
木造の掃海艦「やえやま」クラスは就役年数は23年3か月、木造の掃海艇「かさど」クラスは掃海艇としては15年5か月、種別変更、区分変更で特務船
海洋観測艇等とされた艇は22年11か月、「たかみ」クラスは16年7か月、同じく22年2か月、「はつしま」クラスは16年12か月、同じく21年11か月、「うわじま」クラスは19年3か月、同じく23年5か月と平均就役年数が徐々に伸びています。
これからも老朽度、ライフサイクルコスト、防衛所要等を勘案されて就役年数が決められるでしょう。
エリス中尉がGFRP製について書かれていますがまだ掃海艦1隻、掃海艇3隻がGFRP製であり実績が出ておりません。いまだ18隻は木造船です。
決して掃海、機雷掃討所要が減少はしていないでしょうが、ただ防衛所要、掃海具の発達、30DXの多目的付与、予算、定員等色々な要素が加味され、掃海艦艇は減少していくでしょう。
護衛艦の就役年数 (お節介船屋)
2017-06-16 11:04:51
前のコメントが長くなりましたので追加です。
これも同じ資料からですが、「やまぐも」クラスが護衛艦として26年1ヶ月、種別変更で練習艦、特務艦として合計就役年数平均30年2か月、「たかつき」「きくづき」はFRAMで35年6~8か月、同じく「はるな」「ひえい」は36年3か月、ただFRAM未実施の「しらね」「くらま」は35年6ヶ月就役、「はつゆき」クラスはまだ在籍艦がいますが除籍された平均は26年11か月、種別変更された「しらゆき」で33年3か月です。
エリス中尉の記述の39年はFRAM実施でも困難ですが、新造艦が少なければ艦齢延伸の継続でそのようになる可能性もあります。
ただこの艦齢延伸は武器等の近代化ではなく、装備品の老朽化したものを製造当初の性能に回復する目的であり、予算状況で何度かに分けたりして実施はされるものの、最新の防衛所要には合わなく陳腐化したり、数揃えとなってしまう場合があると思います。
またFRAMは財務省の考えは新造と一緒と思うようであり、海自は今後、財務省の考え、予算状況が変わらない限り、FRAMの要求はないのではないでしょうか?
同資料の「おわりに」で現在の我が国の造船界の厳しい経営環境を憂いておられ、今後の先進的な艦船の建造基盤が不安定化することが予想される事からなんとか一体となって艦船建造基盤の維持を訴えられていますが、抜本的な手を素早く打たないと目の前の事と思います。
防衛産業の維持なくしては大綱で決めても艦艇の数は絵に描いた餅になってしまいます。

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