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喫食体験と「えのしま」との邂逅〜MINEX・掃海隊機雷戦訓練@伊勢湾

2016-02-15 | 自衛隊


ミカさんの撮影が終わってからわたしたちは司令官室に案内されました。



部屋には縦長のテーブルと四角いテーブルが配置され、
奥の縦長テーブルの「お誕生日の人席」には掃海隊司令が座っておられました。
一人一人の紹介を受けましたが、幕僚の方々という感じ(適当ですみません)でした。
ここで初めてわたしは司令と名刺の交換をし、いよいよ喫食(というより会食)開始です。
さて、どのようなものが提供されたと思います?




・・・・カレーじゃねえええっ!)←わたしの心の中の声

てっきり「ぶんご」でいただける喫食はカレーだと勝手に思い込んでいたのですが、
金曜日ではないせいか、カレーではありませんでした。
司令とともにいただけるそのお食事とは、あのおなじみ金属トレイのものではなく、
ぬあんと、懐石弁当仕立ての豪華汁物付き。

メインはチキン南蛮風、クリームシチューになぜかもう一品鶏の酢の物、
デザートに果物までついた超豪華版。
あの「ぶんご」のキッチン、そう、前回副長が艦内案内の際、

「うちのキッチンはいい料理の人が来ているのでフネの雰囲気もいいんですよ」

とまでおっしゃっていた噂の腕利き厨房の料理がこれか・・・。
いや、さすがでございました。
作ってから時間が経ってしまっていたのが残念といえば残念でしたが、
掃海艇の隊員の皆さんが、テッパチにカポックをつけたまま、
甲板の風に吹かれながら冷え切った弁当を食べていることを考えれば、
クリームシチューが冷たいことなど、何の文句がありましょうか。

しかも、ご飯は各自小さなおひつに入っていたのが配膳され、
ほかほかの温かいのを、好きなだけよそっていただけます。

ところでこれ、もしかしたら前回の「うらが」にも
用意されていたわけかしら。
移乗ができなくて、結局あのときわたしたちのご飯は食べる人がいなくなった訳だけど、
それはちゃんと無駄にならないように誰かが食べて処分したのかしら。

そんなことをわたしが考えているあいだにも、和やかに食事は進みます。
聞かれるままに観艦式の時の話などで盛り上がったのですが、話しながら
チキン南蛮を2切れ食べたところで気づきました。

周りの方々がすでに食事を食べ終わっていることに。

は、早い。これが噂の海自の早飯というやつか。
もしかしたら皆、ちゃんと噛んで食べてないんじゃないか?
思わずみなさん早いですね、と思った通りを言ってしまったのですが、
任務中の自衛官というのは、将官であっても基本早飯なんでしょうか。

く、咀嚼せず食べるのが早い人は太る、なんていいますが、ここでは
たとえそうでも余計なものは食べないし、運動量が半端でないため、太っている人はいません。
EODにはどすこい級体型の人がいましたが、あれも贅肉ではなく、
プロレスラーのように体を守る脂肪をつけているといった感じです。



ところで、掃海隊訓練で地方に寄港するとき、地元でスポーツ大会を行うことが

恒例となっており、たとえばここ四日市ではマラソン大会が
艦艇対抗で行われますが、掃海隊司令は当たり前のように参加されるのだそうです。

ミカさんがいうには

「司令は嬉々として走ってます」

ということなのですが、この席でそのことをご本人に確かめると

「自衛官として体を使えるようにしておくのは当然のことですから」

と爽やかに、かつきっぱりと言い切られました。

自衛官が一般人に混じって参加したマラソン大会で上位に食い込むのはよくあることです。
あるマラソン大会は毎年自衛官チームが勝つので、別の大会を作って
体良く?追い払い、参加を阻止したという噂まであります。

そんな体力自慢の若者に混じって参加するため、司令のチーム(当然年配の人ばかり)は
前回は最下位から二番目だったそうです。

しかし、それにしても、齢50過ぎた管理職が若い者と一緒になって

嬉々としてマラソンを行うのが当たり前の職場なんて、
おそらく
自衛隊、海保と消防署くらいのものではないでしょうか。

「そのとき最下位はどこのチームだったんですか」

「大湊から参加していたチームでした。本人たち曰く、あの地では
地面が見えて走りこむことのできる季節があまりに短いからと」



四日市ではマラソンですが、日向灘のときはソフトボール大会が行われるそうです。

日向市というのはもともと大変ソフトボールの盛んな土地柄で、
自衛隊チームは地元の女子チームや社会人チームと親善試合を恒例として行います。

「もと野球部なんかもいたりして、強いチームがあるんですよ」

なお、掃海母艦と掃海艇では乗員数は全く違いますが、それでも
「一つの船、一つのチーム」で対抗試合を行うそうです。

「その方が盛り上がるんです」


なるほど、船同士の対抗意識は大変強いものだと前回聞きましたが、
スポーツ大会においてもそれが発揮されるんですね。



テーブルから見えるモニターには甲板のライブ映像が映し出されています。
このときに機体番号「29」がもうすぐ退役であることを聞きました。
MH-53Eは次々と使用廃止になり、MCH-101に置き換わっていく予定です。



楽しくお話を伺いながらの会食は終わりました。
お礼を言って部屋を辞しましたが、部屋の入り口に
食べた後の食器がすでに片付けられているのも
抜かりなく写真を撮ってしまうわたしであった。



部屋を出たところに編成表が貼ってありました。
一緒にお食事させていただいたのは、この図の上の方の方々だったと思われます。

よく考えたら、自衛艦の士官室でご飯を頂く経験は、
わたしがこの世界に興味を持ち出して、今回が初めてでした。
掃海隊司令部の皆様のお気遣いと、そのおもてなしのきめ細やかさに
心から感激することになった感激の体験喫食となったことをご報告します。



先ほど乗り込んだクルーが乗り込んだMCHがヘローキャスティングを行っています。
この人たちはいったいお昼ご飯をいつ食べるのだろう・・。

ダウンウォッシュのなかに先ほどと同じように虹が出てきています。



甲板のこの部分はEODの待機所のようになっているらしく、
潜水服が乾かしてあったり用具が床に置かれています。
向こうの海面で行われているヘローキャスティングの訓練を全員が見守っていました。



「これはボートを乗せて移動するためのものです」

先日、掃海艇が載せているボートを「ゴムボート」といったところ、
正式には「複合艇」であるとお節介船屋さんから教えていただきました。
呼称は「複合型作業艇」通称「作業艇」となっているようですね。



さて、昼食後次に移乗する「えのしま」の入港(接舷のこと)が始まる、
ということで外に出たわたしたちの目に、「えのしま」さんのお姿が目に入りました。



こちらにもりもりと近付いてくる「えのしま」さん、お久し振りです〜。
といっても最後に乗ったのは2ヶ月前のことなんですけどね。



近付いてくる「えのしま」の舷からは海中に索が垂れています。
これ、どうやって「ぶんご」が拾うんだろう。




後ろからにじり寄るように接舷。
海中に垂れていた索が、いつの間にか「ぶんご」と繋がってる!



そして「えのしま」の皆さんたちのお姿が、艦橋に・・・。
おお、その赤いストラップは、忘れもしない第41掃海隊司令ではありませぬか。



前回は船酔いでご心配をおかけしたということもあって、わたしはミカさんに

「今回は司令にはお会いできるんでしょうか」

と何度もなんどもその可能性を確かめていたのですが、まさかまた
本当に同じ船に乗れるとは思ってもいなかったので、嬉しかったです。




今度は「ぶんご」の側からラッタルをかける作業を見ることになりました。
手前の人が首にかけている白いひもが気になるなあ。



全員が「えのしま」に乗り移り、一番最後に地本の人が
救命具のようなものを抱えて降りてきました。



かけるときには慎重ですが、外すときにはあっという間です。 



「ぶんご」でエスコートしてくださった方々。
短い時間でしたが、たいへんお世話になりました。



「えのしま」では瞬時の切れ目もなく出航作業が行われます。
画面手前の人はホイッスル吹いてますよね?


「ぶんご」の艦橋を見上げてみると、掃海隊群司令の姿が。
そのとき「帽振れ」の号令がかかりました。



「正しい帽振れの行い方」の見本のような司令の折り目正しい帽振れです。
そして横の白髪のサングラスの将官、渋いです。



なんか、満面の笑顔で帽子振ってる人がいますね。
ほとんどが喫食体験の部屋にいた方々でしょうか。



深いグリーンの海にバウスラスターの白波を立てて、
「ぶんご」が遠ざかっていきます。

・・・・じゃなくて、遠ざかっていっているのはこちらでした。
「ぶんご」もこの後移動をするのか、抜錨しております。



大きく左回頭をした「えのしま」の航跡がはっきりと海面に見えるくらい、
この日の海上は穏やかでした。

あとからミカさんに、わたしたち夫婦が前日に伊勢参りをして無事を祈ってくれたおかげ、
と言われましたが、単なる偶然にしても、その偶然に巡り合わせたことを
天佑神助といっても今回はさしつかえないだろう、とわたしは心のうちに呟いたのでした。



続く。


 



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5 Comments

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もやいの受け渡し (雷蔵)
2016-02-15 18:24:41
なかなかご理解戴けないようなので、整理して見ます。

1 入港船(掃海艇)で、サンドレッドの反対側にもやいを結わえ、サンドレッドを岸壁(掃海母艦)に投げる。

2 岸壁(掃海母艦)でサンドレッドを受け取り、引っ張ると結わえられたもやいを引き込む。

12枚目の写真は、掃海母艦がサンドレッドを受け取り、これから引き込むところで、引き込むと次の写真のようになります。
何度も済みません (雷蔵)
2016-02-16 06:37:35
教育隊や江田島での教育期間は忙しいので、自然と早飯食いになりますが、多くの人が船に乗って見て、食べられる時に食べておかないと後悔するという経験をします。

戦闘配置や急な作業部署が掛かった時、食事は置いて行かないといけません。作業なら取っておいてもらえることもありますが、戦闘配置なら期待出来ません。大抵の人が「早く食べておけばよかったと後悔した」と言います。

遠洋練習航海中、実習幹部には輪番で士官室での会食をやらせますが、自然に身に付く?のが「最先任者(個艦なら艦長。隊司令以上が乗艦の場合は指揮官)のペースに合わせて食べる」ことです。

会食の時は、最先任者が着席する前に着席して最先任者を待ち、最先任者が箸を取ってから全員が箸を取り、ご飯をよそいます。

食事中は会話しながら、最先任者に合わせたペースで食べます。極端に早く食べ終わったり、最先任者が食べ終わった時点で「お肉二切れしか食べていない」幹部(笑)はいなかったのではないかと思います。

ちょっと堅苦しいですが、次の機会にまわりを眺めて見て下さい。
雷蔵さん (エリス中尉)
2016-02-16 07:42:14
うわー、なんというかちょっとしたカルチャーショックです。
あのとき、同席の方々は和やかに話に相槌を打ちながらお食事されていましたが、
実は絶えず掃海隊群司令の一挙一動に注目しながらスピード調整していたんですね!

まず、司令が食べ終わっておられることに気がついたんですよ。
あれっと思って周りを見回すと全員終わっていたと・・・。
自衛隊では食べることも任務の一環であり、「自衛隊流」なんですね。
私たちのテーブルの後ろ(写真に写っている入り口に近いところ)にも
テーブルが二つあって、そこでは比較的若い隊員たちが食べていましたが、
前に聞いた、「幕僚と一緒だとカレーが喉を通らない」という状況だったらしく、
後ろからは声ひとつ聞こえてきませんでした。
後で聞いたところによると、司令といえどもいつもこのような食事をしているわけでなく、こういう風にテーブルを囲むのは
来客(わたしたちのこと)があるときだけだそうです。

そういった、自衛隊の内部事情を垣間見たことも、今回の収穫でした。

首にかけている白い紐 (お節介船屋)
2016-02-16 09:25:50
>手前の人が首にかけている白いひもが気になるなあ。

サイドパイプを吊るしている飾りひもでは?
http://fuji.ue.shopserve.jp/SHOP/G0186.html
吉祥結びかな?
運用屋さんは結索と言って多くのロープの結び方を身に付けておられるので実用だけでなく、飾り結びも簡単にされます。
私も一つ貰った事があります。
スポーツ大会 (昭南島太郎)
2016-02-16 09:58:31
会食はカレーでなくて残念でしたね。
しかし、恐るべしと言うか、雷蔵さまのご説明になるほどと思った海自の早飯でした。

地方に寄港する際に地元でスポーツ大会開催って素晴らしいですね。
日頃から身体鍛えている自衛官の方々だったら確かに嬉々として参加しそうですね。
私など高校までスポーツ万能を(勝手に)自負していたので始末が悪く、プレーする前はやる気満々なのに、始まるとすぐさま体力の限界を感じ、翌々日ぐらいから筋肉痛に悩まされるという情けないおやじです。
まあ、10年ほど前から医者から激しい運動禁止されているので、今ではそんなことはありませんが。。。
学生当初の希望通り海自に入隊したとしても、絶対脱落していたと思います。

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