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映画「勝利への潜行」 前半

2017-01-09 | 映画

新春第一弾にお送りする映画のご紹介は、ロナルド・レーガン主演
「勝利への潜行」。

何かを検索していて知ったので取り敢えずCDを買ってみて、
もし面白かったらここでお話しする、 と予告しておいた、
レーガンとナンシー夫人の共演映画です。

 

年末、コーレルの絵画ソフトをアップデートしたので
初めてこれで冒頭の絵を製作してみました。


もっと言うと、本当は陸自降下始めに行く予定をしていたのが、
前日の雨の予報と、同行者が病に倒れたため参加を取りやめて、
その日一日が暇になったということもあります。

今年はグリーンベレーが参戦すると聞いていたので、
直前までは行くつもりしてたんですけどね。

 

さて、この映画、わたしにとっては最近見学したこともあり、
潜水艦の艦内シーンが見られて面白かったのですが、巷には

 
「潜水艦映画にハズレなしというジンクスを打ち破った」

(つまり面白くない)という評価すらあるようです。

 

 


もしそうだとしたらおそらくですが、それは俳優のせいだと思います。

たまたまこの顔がいいだけで、あまり表情筋の動かない主人公役と、
その俳優と5年前に結婚した比較的花のない女優が、
アメリカ大統領とファーストレディになるという未来がなければ、
おそらくこの映画も今以上に有名になることはなかったでしょう。

しかも、あのチェスター・ニミッツ本人が登場しているというのに、
「レーガン夫妻の共演映画」としてしか
映画史に名前を残していないというあたりが、
この映画の実際の評価と言えないこともありません。

 

さて、とっとと始めましょう。

驚いたことに、これがこの映画の冒頭シーンです。
ニミッツがカリフォルニアに住んでいたのは知っていましたが、
なぜかそのポストを映し出すという謎演出。

そしてポストに続き、予想に違わずご本人が出てきて、

「1944年にまだ日本列島が強固な要塞であったころ、わたしが指揮した作戦
(機雷で守られた日本海に侵入し、日本への物資の輸送を断ち
戦意を喪失させる)
には優秀な潜水艦長たちがいた。アボット艦長もその一人である」

てなことを言います。

元帥位には引退がないので、このころのニミッツはすでに72歳ですが、
郵便ポストにもある通り(笑)フリートアドミラルであり、軍服を着用しています。

その時にニミッツの口から紹介される潜水艦隊司令、ロックウッド中将。
この映画は、中将が1955年に著したノンフィクション、

「HELLCATS OF THE SEA」(海の暴れん坊)

をベースにしていて、映画には海軍が深く関与しています。

舞台はケイシー・アボット(レーガン)中佐が艦長を務める潜水艦、
「スターフィッシュ」。 

実際にありそうな名前ですが、仮名の潜水艦です。
イギリス海軍にはS級潜水艦にこの名前のものがあったそうですが。

まず登場するのはドン・ランドン副長
真面目で一途な軍人として描かれていますが、

「(本州に入ったら)ゲイシャガールでも拾いましょうや」

という部下の冗談に、

「ツノの生えたゲイシャ(機雷のこと)をな」 

と答えるような男(つまり面白くないギャグを真面目にいうような)
でもあります。 

「スターフィッシュ」は潜水隊を使って日本の機雷を採取しようとしていました。



時間になっても起きてこない潜水隊員、ウェスを副長が起こしに行くと、
女性の写真を抱いてまだ寝ていました。

その写真というのが・・いやいやいやいや(笑)

レーガン夫人、じゃなくって、この映画の上でもレーガンの彼女、
ヘレン・ブレア中尉。
実はウェス、艦長の彼女と知った上で ヘレンを好きになり、
彼女とデートまでしておったのです。
しかもウェス本人によると、

「She practically sat down in my lap and demanded attention.」
( 彼女俺の膝の上に座って気を引いたんだぜ。ちなみに字幕は
『デートするように俺に命令したんだぜ』となっていて間違い) 

二股かける魔性の女、ヘレン。恐ろしい子・・・!

・・・・にしては、いやなんでもない。

 

そう、この映画をつまらないものにしている原因の一つは、
ヒロインのイメージと女優のそれが一致しないこと。
後のレーガン夫人、ナンシー・デイビスはそこそこ評価された女優でしたが、
そのイメージ通り、役どころは大体良妻賢母的な人物がほとんど。

とても彼氏の部下の膝に乗って誘惑するような女には見えません。 

後の大統領夫人ナンシーは小綺麗で洗練され、若々しく、
絵になるファーストレディに見えましたが、この頃の彼女は
どういうわけか、36歳にして既に姥桜の風格すら出ております。

まあ要するに、俳優としては夫婦共々大したことなかった、
ということなんだろうと思います。 

ちなみに彼女が政治家に転身した夫がカリフォルニア州知事になり、
初めて「ファーストレディ」となったのはこの10年も後のことです。



出撃前、自慢げに「足ヒレ(フリッパー)だけで日本軍と戦った話」
を披露するウェス。 
仲間から途端に

「ヘイ、シンデレラ、お前の魔法のスリッパー(ガラスの靴のこと)だぜ!」

と足ヒレが投げつけられます。
字幕には全くこういうのが翻訳されていないので、面白くないともいえます。
(つまり評価が低いのは日本限定かも)

潜水艦から潜航中水中処分員を出すときのやり方。
人が内側ハッチの外に出たら、中から紐で引っ張って扉を引き下げ、
海中に出る者は二重扉の外側のハッチから出ます。

あ、そういえばこの間見学した潜水艦も二重ハッチになってたっけ。

ところが、機雷採取の任務中浮上していて敵駆逐艦に発見されてしまいます。
しかも、まだウェスが戻ってきていません。

彼が海上に浮かんでいるにもかかわらず、一刻を争う事態と判断し、
潜行を命じるレーガン艦長。

ちなみに日本で「潜航!」というところを、アメリカでは

「Clear the bridge!」

と言っています。 

エンジンを止めて彼を助けようという副長の進言も拒否されます。

容赦無く魚雷戦を命じる艦長。
ちなみにこの時の命令は

艦長「ベアリング」「マーク」

副長「ベアリング2−5−0」

艦長「ファイア セブン(7番発射筒)

で発射、です。

「ファイア ワン」「ファイア ツー」

というたびに金属がはじかれたような発射音が聞こえるのが
「ライオンフィッシュ」を見学してきたわたしにはツボでした。

「スターフィッシュ」は駆逐艦に魚雷を当てることはできましたが、
高速艇は狙いを外し、逆襲されて命からがら逃げます。

戦い済んで日が暮れて。
副長が死んだウェスのベッドに残されたナンシーの写真を見ながら
しんみりしていると、レーガン艦長がやってきます。

「 一人のために85人の命を犠牲にするわけにはいかない。
君もいずれその選択を迫られる立場になればわかる」

とレーガンは言うのですが、副長はついついナンシーの写真を手に

「その時、その男があなたの彼女とワルツを踊ったということが
ベースにあったのではないですか」

と女性ネタで責めてしまいます。
恋敵だったから見捨てたんだろう、と暗に言っておるわけです。

艦内にも微妙な空気が流れます。
19歳になったばかりの多感な青年、フレディは、
艦長が乗組員を見捨てたことが許せません。

 

さて、「スターフィッシュ」はグアムに帰還しました。
ここで艦隊司令のロックウッド中将と会ったレーガン艦長は、

「日本の輸送船を追跡して安全な航路を発見する」

という作戦を具申します。 

そこでガールフレンド、ヘレン中尉(ナンシー)と再会する艦長。
この時すでに彼らは結婚して5年経っていました。
そのせいか二人のシーンは熟年夫婦のそれみたいです。

この時に彼女が説明したところによると、ヘレンは

●バツイチであり、前の結婚は「最悪」だった

●まだ離婚していない時に二人は知り合った

●戦争中ということであなた(レーガン)は踏み込んできてくれない

●あなたが出撃中、自分が現役であることを確かめたかった 

そこでレーガンが

「だからそれをバートン大尉(ウェス)で証明したかったのか」

と問いかけると、

「彼は女の子にモテモテで今まで見た中で一番イケてる男だったけど、
あれは愛ではなかったの。
お互い、どうしてもこの人でなければダメってわけじゃなかったわ」

と浮気がバレた奥さんのようなことを言います。
要は、

「愛してるのはあなただけ。あれは遊びだったの」

というわけですねわかります。
しかし二人にとっての目下の問題は、ウェスが死んだことで
ランドン副長が二人を責めていることかもしれません。

次の任務は済州島の日本軍基地を爆破することでした。

「爆発性危険物」という怪しげな横書きの看板を倉庫にかけた
日本軍基地に「スターフィッシュ」は上陸部隊を送り、
金網を乗り越えているのに音に気づきもしない間抜けな日本軍歩哨のおかげで
基地に忍び込んで爆破に成功しました。

ところがここで日本の商船を見つけたアボット艦長、
先ほどの日本軍の反撃で魚雷発射室が浸水しているというのに、

「機雷のない安全な航路を突き止めるためについていく」

と言いだし、案の定浮上したところを日本の潜水艦に見つかります。

何度リピートしても何を言っているのかさっぱりわからない
帝国海軍潜水艦艦長の命令のお言葉。

ていうかこれどう見ても日本人の顔じゃないだろう。

とにかく、この潜水艦の魚雷が命中し、「スターフィッシュ」は
あっさりと沈没してしまいます。 

これってやっぱり艦長の判断が悪かったってことなんじゃ・・・。

85人のうち艦を脱出できたのは60名、そのうち助かったのは
艦長と副長の乗った救命ボート一隻だけ。

ほとんどの部下を自分の采配ミスで失った艦長は、

「60名も死んだのにわたしは脳震盪か。
こいつはとんだ勲章ものだ」

と自嘲するのでした。

「彼らの家族も、彼らの人生設計も知っていたのに・・・
わかるか」

という問いかけに

「わかるわ。
わたしもあなたが任務中はもう二度と帰ってこないんじゃないかと
毎分毎秒そればかり考えているの」 

って、なんかこの答えピントが合ってなくね?

さて、命令に反して勝手なことをした結果、今度は艦と
貴重な60名の部下の命を失った艦長の運命(処分)やいかに。

 

後半に続く。 

 

 



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