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”WE FIX'EM ー YOU FLY'EM”〜空母「ミッドウェイ」

2017-10-07 | 軍艦

 

SDO、スコードロン・デューティ・オフィサーの動きを統括する
指令所、コミニュケーション・コンソールの見学が終わりました。

そこに接しているのは、航空機整備のオフィスです。
このオフィスには、シニアあるいはマスターの航空整備士(下士官)が
詰めており、空母の日常の飛行計画に基づいて行われる航空機の整備や
調達を責任を持って行うための仕事をしているのです。

ホワイトボードの右側には彼らの標語がありますね。

「We Fix'em〜You're Fly'em」

とは「我々が整備し、君たちが飛ばせる」

パイロットだけでは飛行機は飛ばせません。
自分たちがいて初めて飛行機は彼らを乗せて空に飛び立つことができる。

整備部隊の強いプライドを表している言葉です。

奥のホワイトボードには情報を書き込んでいる下士官がいますが、
ボードには飛行隊の搭乗スケジュールがあります。

【VFA-195】  

は通称「ダム・バスターズ」という名門飛行隊。
どこかで聞いたことがあると思ったら、「ロナルド・レーガン」の艦載部隊でした。
TBMアベンジャーから始まって、スカイライダー、スカイホーク、
この時代にはコルセアIIの飛行隊だったかもしれません。

【VFA-151】

ニックネームは「ビジランテス」
マスコットはナイフを咥えたガイコツくんで、名前は「オールドアグリー」。
大東亜戦争中はあのF4Fヘルキャットで日本とやりあった部隊です。

彼らが「ミッドウェイ」勤務になったのは1970年以降のこと。
その時の部隊使用機はF4ファントム IIでした。

【VAW-115】

早期警戒機の部隊なので上記二つの飛行隊よりは歴史が浅く、
1967年の結成です。
ニックネームは「リバティベルズ」。 
E-2「ホークアイ」で「ミッドウェイ」のトンキン湾、
湾岸戦争では「砂漠の嵐」作戦にも参加しました。

【HS-12】

ニックネームは「ゴールデン・ファルコン」
ヘリ部隊です。
1990年代からシーホークを使用しています。
トンキン湾ではSH-3Aシーキングに乗っていましたが、そういえば
あの「ファイナル・カウントダウン」にもこれが乗っていましたっけ。

この時代(ヴェトナム戦争時代)には、まだまだ通信、情報の集約方法は
電話と紙に頼っていました。

デスクには電話とノートの類しかありません。

ダイヤル式の電話の横にあるのは当時最新だった計算機。
デスクにマッチと灰皿があり、喫煙は普通に行われていたことがわかります。

ここで余談ですが、アメリカ軍とタバコの関係について少し。

第一次世界大戦の頃、アメリカ軍は兵隊を集めるための「エサ」として
紙巻きタバコの配給を行ったということもあり、

それ以来軍人とタバコは切っても切れない関係になります。

民間の喫煙率は世界的にも低いアメリカですが、軍隊の喫煙率、
特に戦闘状態にある時期には、
高い数値を維持することがわかっています。

紙巻き煙草は戦場の生活に調和するたため、簡単に快楽と安楽のシンボルになるのです。

第一次世界大戦で売り上げをあげて『味をしめた』タバコ会社は、
第二次世界大戦の勃発とともに無料の紙巻タバコを大量に部隊に送り、また

広告などで兵士の食糧品への紙巻タバコを同梱することを奨励したりしました。

軍の方でも、煙草で兵の精神状態が安定すると統率しやすいと考えたため、
1950年代には
、喫煙による有害な健康影響の証拠が上がっていたにもかかわらず、
軍は食糧品に紙巻タバコを同梱するという状況を変えようとしなかったのです。

その状態は、世間で喫煙の害が大々的に喧伝されるようになった75年まで続きました。


喫煙の問題に注目し、最初にその対策に取り組んだのは海軍です。

1993年にUSS「ルーズベルト」がアメリカ海軍初の禁煙軍艦になりましたが、
この頃でもまだ
軍人の喫煙率は42パーセントと民間より高い数字でした。

第二次世界大戦、朝鮮戦争に続き、ベトナム戦争でも
戦場にタバコを無料で送るという手で利益を上げたタバコ会社は、
4匹目のどじょうを狙って
湾岸戦争時でもそれを試みますが、
国防総省がこれを拒否しました。

現在の軍人全体の喫煙率は32パーセント。

一般の喫煙率が21パーセントですから、相変わらず高い数値ですが、
この理由はストレスや退屈感、周りの影響であるということです。
しかも、現役時代にタバコを吸っていると、退役後にもどうしても
その習慣を止めることができないといった問題が国防総省を悩ませています。

確かに喫煙は体に悪い。
しかし、軍がどうしてここまで躍起になって喫煙率を下げようとするのでしょうか。


その理由は、単純に健康問題だけではなく、軍独自の調査によって、

「軍人の喫煙率と軍隊内での自殺の発生には大きな相関関係がある」

ということがわかったからだと言われています。

軍の死亡理由の13%を占める自殺のリスクは、日々喫煙される紙巻タバコの本数ごとに
著しく増加している傾向があることが調査の結果わかったからなのです。

逆に喫煙率が下げて自殺者が減るかどうかの資料は見つけることはできませんでしたが、
少なくともアメリカでは、少しでも自殺(軍隊を実はもっとも悩ませる問題)に
関連していると思われる要因を排除する、という考えで禁煙プログラムに取り組んでいるのです。

閑話休題。

デスクの上部にあるフライトデッキの航空機配置図です。

こんなにごちゃごちゃとくっつけて機体を置くのかねえと思いますが、
実際は甲板の両舷にあるエレベーターで片っ端から片付けてしまうのでしょう。

緑のシャツを着ているのは「CAG」のサポートを行う下士官です。
サポートスタッフの中でキーパーソンとなるのは、
航空隊と密接な仕事を行う整備長と、航空機の運行を指示する

「ハンドラー」

です。
このキーパーソンは、各種機器の状況、武器のローディング、燃料の現在状況、
そして全ての航空機の所在と行動の状況を完璧に把握していなければなりません。

この情報に基づき彼らは航空機の割り当て、武器、搭乗員の分配などを行なっていきます。

この”グリーンマン”があまりにもいるいるすぎて・・・。
しかもどこがとは言えないけど漂う70年代の空気。

誰かモデルがいるんじゃないかと思わせるリアリティがあります。

机の上に広げてあるのは詳しくはわかりませんが航空機の設計図のようです。

展示にあたっては、実際のヴェテランの私物を持ち寄ったり、意見を聞き
監修をあおいだりしてできるだけ忠実に再現されていると思われます。

ところでわたしはこのデスクの上の「愛妻写真」がなぜか
島田に留袖の女性であるのに気づきました。

アップしてみましたが、女性が目鼻立ちのはっきりした日本人なのか、それとも
アメリカ人女性が着物を着ているのかはわかりませんでした。

1973年の日米合意に伴い最初の空母機動隊が日本に駐留することになったとき、
「ミッドウェイ」は他2隻の空母とともに横須賀港に入港しています。

乗組員の家族も日本に連れて来て一緒に住むことができるようになりました。
この和服姿の女性は、その時日本までついてきて結婚式を挙げた新妻か、
それとも日本で知り合って結ばれた日本女性か・・・・・。

 

整備のボスを「ビッグ・ボス」と言い、航空機搭載武器を扱う下士官のチーフは

「ガナー」(GUNNER、銃撃手)

と呼ばれていました。
航空機に航空部隊のミッションに応じて適切な武器を正しく搭載する任務です。

ガナーは攻撃隊から必要な武器の要請を受けます。
彼は武器を扱う「ハンドリング・オフィサー」とともに、適正な武器の格納場所を確認し、
それらを弾薬庫からフライトデッキまで運搬し、各航空機に搭載します。

彼の決定に従い、何百もの「オードナンス・メン」あるいは「レッドシャツ」
(赤シャツを着ているから)が24時間体制で弾薬庫とフライトデッキを往復します。

艦内でもグラサン姿の「ガナー」。
彼の後ろのホワイトボードには上に挙げた航空隊の他に、

VFA-192 通称「ワールド・フェイマス・ゴールデン・ドラゴン」

VA-185 通称「ナイトホークス」A-6Eイントルーダーの部隊

VA-115 通称「イーグルス」として知られる F/A-18Eの部隊

などの情報が記載されています。

こちらは打って変わった実務的な雰囲気の事務系軍人がお仕事中。

CAGオペレーションは、毎日の飛行計画を上から受け取り、航空隊に配る仕事です。
このドキュメントには、発艦と帰艦の時間、ミッション内容、燃料の搭載、
空中給油予定、そして武器搭載などが事細かに記載されています。

飛行計画は各部隊が毎日のスケジュールを確認する前に配られ、
それによって搭乗員の割当などが行われます。

部隊をオペレーションする者は”Air Intelligence Officer”
航空情報士官の助けを借りて、攻撃目標付近や作戦展開エリアのマップや写真を収集します。

それらを元にナビゲーションチャート、攻撃計画、偵察、そして救出計画などを
フライトクルーのブリーフィングのために作成するのです。

 

空母を見学したのはこれで3隻目ですが、パイロットを影で支え、
航空機を安全に航行させるために
欠かせないスタッフの存在を
ここまでクローズアップした展示は、「ミッドウェイ」が初めてでした。

 

続く。

 

 

 

 

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