ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

エクストリーム・ウェイトロス再び

2016-02-22 | つれづれなるままに

先日熱があるのに9時間飛行機に乗って、滞在時間のほとんどを
ホテルのベッドで寝て過ごしたアメリカでのことです。
熱はあっても一応テレビを見ながらシャッターを押すくらいに回復した頃、
人の家の内幕を覗き見るような番組ばかりをやっているTBCで、
またもや「デブ更正番組」を見ました。

前にも一度ここでお話ししたことのある「エクストリーム・ウェイトロス」です。

これは、悩めるデブの前に、ある日突然守護天使ならぬウェイトロス・トレーナーの
クリスが現れ、何ヶ月もかけて手取り足取り、励まし慰め、
時には叱咤し、時には心の痛みに一緒に泣いてくれながら、
痩せさせてくれるというビフォーアフター番組です。

番組を見つけた時にはすでに本日の主人公の前にクリスが降臨したあとで、
どんなシチュエーションで本日のおデブの前に現れたのか、
結局分からなかったのですが、まあとにかく参りましょう。



EXTREMEというのは極度の手段、とか過激なやり方という意味で使われ、
もし日本でこういうノリをタイトルにするならば、

「そこまでやるの!?究極のダイエット」

なんていう感じになるような気がします。 (たぶんね)



本日の悩めるデブは、ナイラさん。
クリスが目の前に現れた時には435lbs、つまり197キロでした。
先日ご紹介した、「My 600lbs life」よりかなり軽度で、
少なくとも自分で立って歩けるというレベルの人が、この番組の対象です。

「軽度で200キロ」って一体どういう世界なのかと呆れ返ってしまうわけですが、
歩けないデブよりも、こういう「元気なデブ」がゴロゴロいるのが 、
アメリカの震撼すべき肥満人口のすそ野の広さを表しているといえましょう。

最初から見ていたわけではないので、この写真はすでに97パウンド、
つまり43キロくらいは減らしたあとの姿だったのです。
日本人の成人女性の細い人一人分の体重を減らしたというのに、
全く毛ほどもそんな様子は伺えません。

ちなみに、冒頭の写真は本日のビフォーアフターの「アフター」、
つまりダイエット成功後ですので、念のため。



わたしが見始めたころ、彼らは一通りの、
浜辺でタイヤを引きずって走ったりシャドーボクシングしたり
というお約束のキビシイ特訓を一通り終えており、次の段階、
すなわち、彼女の心の問題を明るみに出すという段階に入っていました。



抱き合っているところを見ると、問題は解決したようです(笑)
どうもウェイトロス専門の医者にかかることを、
ナイラさんはためらっていたようです。

クリスはやっとこれで一歩踏み出せるね、などと言っています。



そこでドクターに診察を受けることになりました。



そこでこんなことを言われてしまうわけですが、
テレビの字幕が酷いので、肝心の「何が見えているか」がわかりませんでした。

苦心して、これがどうやら

「 Heart rate variability (HRV)」(心拍変動)

ではないかという予想をしたのですが。
日本では略語の「エイチ・アール・ブイ」といわれるこれは
自律神経の乱れによる不整脈だとこれも予想します。
(どなたか詳しいかたおられましたら間違っていた場合だけ教えてください) 

まあこれだけ太っていれば心臓に変調をきたしてもあたりまえですね。
ドクターには、

「心臓のことを考えればこれ以上体重を増やすのは自殺行為です」

みたいな、当たり前のことを言われてしまいます。
当たり前のことを言われるのが嫌で、つまり現実と向き合うのを
避けていたってことなんですかね。
 


次に番組としてはこれもお約束の、被験者の心の闇をえぐる、
というか、問題を明るみに引きずり出す試みを行います。

ここまで太るからにはきっと心の問題も抱えているに違いない、
という決めつけですが(笑)、よくしたもので、大抵のデブには
番組的におあつらえ向きの心的問題があったりするのです。

もしなくても、テレビスタッフが無理やり問題にしてしまうので大丈夫。



実は彼女の亡くなった父というのは、刑務所に入っていたことがあり、
父の死に様というのを彼女は定かに知らないのでした。
(というか、こういうのテレビでやりますかね普通)

そのことが書かれた封筒というのをお節介にも番組は用意して、
「それを見るのも見ないのも彼女の決断」として渡すのですが、
ナイラはこの段階では中身を見ることができず、封筒を置いて立ち去ります。



その次の撮影で、何があったのか、(多分スタッフが説得)彼女は
封筒をちょうだい、とスタッフに要求し、受け取って中を見ます。





えーと・・・・・。(絶句)

ムショを出た後は「行いをクリーンアップした」ということなので、
どうも薬かなんかで収監されていたみたいですね。

 

「まさか彼女が封筒開けるとは思わなかったよ」

って、全く予想してなかったってかクリス(笑)



ナイラさん落ち込み中。
相変わらず何を言っているのかわからない字幕です。



次の企画は、彼女の親族一同で父のお墓詣り。
それはいいけど、どれがナイラかわかりません。
この一族の太り方はほぼ全員が同じです。

この子供も近々同じ体型になってしまうんだろうなあ。


 
今更、って気もしますが、感極まって天を仰いで泣くナイラ。
サングラスはどうもお母さんである模様。

想像したよりずっとお父さんは不幸だったってことですかね。



そこでお父さんのお墓に花を・・・・・・・
って、これお墓じゃなくね?
地面に石の棺桶がただ置きっ放しになっているだけのような・・。

いやー、アメリカでいくつも墓地を見てきたのですが、
こんなオープンな置きっ放し仕様は初めて見たわ。

いいたくないけどこれ、かなりの貧困層地域の墓地なのでは・・。
この辺じゃ父親がムショ出身なんて、結構普通のことだったりして。

日本の国会議員が大統領が昔奴隷だったといって大騒ぎになりましたが、
(何時もの通りマスコミと野党が大騒ぎして)
あれはもうヒエラルキーの頂点の特殊なであって、黒人の多くは
いうたらなんだけど、こんなのばっかりだったりするんです。

これは差別でもなんでもなく、現実です。



クリスはそんな彼女の心の葛藤をトレーナーとして理解し、
さらなるウェイトロスに勇気を持って挑戦させるのでした。



というところで270日、つまり9ヶ月が経過しました。
これだけ痩せました、というビフォーアフターの写真ですが、
右側があまりに太っているのであまり痩せたように見えません。

右側だけでも「ビフォー」の貫禄充分です。



ある期間、(それは大抵心の問題解決以降)、この番組では
トレーナーと被験者は離れて過ごし、久しぶりに会った時に
たいてい被験者が以前よりダイエットがうまくいってやせているので、
トレーナーはびっくりして喜び、被験者をほめるというお約束があります。



「わお!ゆーるっくぐれいと!」

これも毎回のほぼお約束の言葉。



ま、まあ、かなり痩せていることは確かですけどね。
左の写真に人面瘡が見える気がするのはわたしだけ?

そこで、番組から彼女にご褒美というか、今後の励みにもなる
サプライズがあります。



アメリカのスターにダンスの振り付けをしている有名な振付師、

トニー・ドボラーニ

ジェニファーロペスの出演した「シャルウィダンス?」で振り付けをした、
といいますから、我々日本人にも親しみがわきますが、とにかくその
すごい振付師が彼女の前に現れたのです。



実はこう見えて(失礼)彼女はダンスが大好きなのでした。
ってまじかよ。
200キロの体重のデブが軽やかに踊るなんて、怖いんですけど。



しかし、アメリカという国にはそういう人もいるんですねえ。
彼女はトニーと一緒にダンスを踊れるというクリスの説明を聞いて
喜色満面。
しばらくトニーの振り付けで練習した後、本番です。

 

驚いたことに、ナイラさん、踊るのが実にうまいんですよ。
なんといってもリズム感がまったく違う。



これだけ踊れるのに、どうして太るのか、不思議なくらいです。
まあ、理由は体を動かす以上に食べているってことでしょうけど。

さて、ご褒美で素晴らしい体験をしたナイラ、より一層
ダイエットに弾みがつくんでしょうか。

ここで番組では、医師の診断を受けた上で、可能な人には
脂肪切除の手術(文字通り余分なところを切ってしまう)を
行うのですが、今回は。



背骨の模型が出てきたら、あまり良い結果ではありません。



脂肪切除できるほど痩せなかったってことかもしれませんが、
どうも膝の神経がどうにかなっていて押されているそうです(適当)



手術はしないまま、成果をお披露目する日がやってきました。
これではあまり「アフター」が期待できそうにないですが・・。



そんなことはおかまいなしに勝手に盛り上がるナイラの知り合い。



写っている人が全員太っているというのも突っ込みどころですか。



そこでスクリーンに映し出されるダイエット開始前の
ナイラさんの堂々たる立ち姿。
なんでわざわざ腰に手を当てて写真を撮るかね。

まあ、今場所が期待できそうというか、強そうではあります。



そこで現れるご本人。
いくら痩せたのか、指を折って数えております。
この日だけはプロのメイクがついて綺麗にしてもらえます。



そこで非情にも繰り返し映し出される以前の姿。
あまり変わりないといってしまえば身も蓋もありませんが、
こうしてみると、目の大きさまでかわって綺麗になっているような。



本人の回顧をバックに、白黒で辛かったトレーニングの思い出が
まるで走馬灯のように放映されるのでした。

というか、トレーニングでモールのエスカレーター逆行するなよ(笑)



エレベーターの上では知り合い(全員デブ)が総出で応援していますが、
彼女が逆行してかけ上げることができたのを喜んで、
みんなで盛り上がっております。



トレーニングの思い出の間にしつこく現れる過去の姿。
もうええちゅうに。



もしかしたらおちょぼ口したりしてますか。



提供はウォルマート。
ダイエット成功者には生鮮食料と(ウォルマートの野菜なんかいらない)
5000ドル分の商品カードがもらえます。
彼女が最も喜んでみせたのがこれを受け取る時でした。



というわけで、435lbs(197キロ)の人が・・・、



278lbs、126キロに体重を減らしたのです。
なんだ、それでも100キロ超えてるじゃん、などと言わないように。



これが彼女の自信と生きて行く勇気になったことには違いありません。
表情がビビッドになり、アヒル口をするまでに(笑)



そして現在。

200キロだった時にも「踊れるデブ」だった彼女、

スポーツクラブでダンスエクササイズのインストラクターとして
クラスを持って教えているのですから、たいしたものです。

120キロのインストラクター。
日本ならこういう人にはまず仕事は回ってこないと思いますが、
このあたりがさすがはアメリカです。



ジムの同僚によると、彼女はたいへん生徒からの評判もいいそうです。
恋人募集中の彼女は、もしかしたらこの人とうまくいくかもしれませんね(適当)



という番組のコマーシャルには、ザントレックス3!

日本でも輸入されていて買えるそうですが、本当に効くと思います?
たしかこれ、強力なカフェイン配合の錠剤だったと思うのですが、
カフェインで体重が減らせるなら、アメリカ人は誰も太ってないと思うぞ。

でも、この薬、わたしが住んでいた頃からずっと売っていて、
今でもドラッグストアには鍵付きのケースで売られていたりするので
(多分万引きが多いんだと思う)デブの多いアメリカでは、
効くかどうかわからないけど一応飲んでみよう、というような
「藁をもすがるデブ」が多いってことなんだろうと思います。

太った人の数だけ、それをあてにする商売(この番組も含む)が
後を絶たないってことなんですね。

前にも結論付けたところの「デブの経済サークル」は健在です。