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ヘリボーン〜平成28年陸自降下訓練始め

2016-01-18 | 自衛隊

ヘリボーンとはヘリコプターで敵地に部隊を派兵するという意味がありますが、
この語源は空挺作戦を意味する「エアボーン」からだそうです。
「borne」は「bear」からきた「運ぶ」という意味を包括する言葉と思われますが、
それに「ヘリ」をつけた造語というわけです。

エアボーンとの比較でいうと、気象条件によって部隊がバラバラになることもなく、
さらに重量に落下傘よりも制限がないため、準備が簡単であり、戦闘後は
再びヘリで移動することができるというようなメリットがある一方、
人員等を降ろす際にその場にヘリが止まらなくてはいけないという危険性、
対空砲火で狙われたら一挙に全員を喪失するなどという危険性があります。

作戦としてはどちらも適宜状況に応じて併用するという感じでしょうか。

逆にエアボーン作戦から見ても、空挺隊員は軽歩兵であるがゆえに
重装備の地上部隊と正面から戦闘するには甚だ不利となる、という理由から
やはり併用が望ましいということになります。

映画「遠すぎた橋」で描かれた「マーケットガーデン作戦」でも、
味方との合流に失敗したため、陸上の敵の反撃の前に敗北したというものでしたね。



さて、そんな縁起の悪い話はそこそこにして(笑)

一通り航空機による空挺隊員の降下が終わったところに、
「空飛ぶ戦車」ことアパッチ・ロングボウAH-64Dが侵入してきました。



アパッチが来ると盛り上がるのですが、この時は何もしませんでした。
状況を偵察に来てヘリボーンが可能かどうか報告するためではないかと思われます。



こういうときにはどのヘリも、とりあえず派手な動きを見せたがります。
アパッチくんも裏側を観客に見せつけるこれ見よがしの転回。
習志野の映像によると、このときのアパッチは例年特に暴れまわるようです。



続いて、もう一度ヒューイ、 UH-1Jが侵入してきました。
ハッチがどちらも解放されていますが・・・・。



ヘリ上から狙撃手が敵を攻撃しようとしております。

上官「だいたいあのへんを狙うのだ」

狙撃手「だいたいっすか?」

上官「空砲だから適当でいいんだよ」



しかし、今思ったんですが、これ、自衛隊員になりすましたゴルゴ13が
直前で本物と入れ替わって実弾を込めていたら、要人暗殺できますよね?



日頃は実弾訓練も行うんでしょうねえ。
使用しているのは狙撃銃だと思いますが、よくわかりませんでした。



航行中のヘリから狙撃するのは、相手が要人とかである場合難しいですが、
「だいたいあの辺」という目標ならばなんとかなりそうです。
ヘリの狙撃手は機上から3発射撃を行いました



フィールドにはカエルが駐機して口を開けています。



偵察のためのオートバイ部隊、「オート」がでてきました。
ギリースーツ着用でオートにも偽装が盛り盛りです。



せっかくなので一人アップ。
この人はギリースーツではありませんが、その代わり?ヘルメットに
まるでラスタなマーリーさんのドレッドロックスみたいな偽装を施してあります。

因みにこの鉄帽では、銃弾は防御できても、ヘルメットの規格を満たさないため、
このまま外に出たら、道交法違反でおまわりさんに捕まってしまいます(笑)

偽装の葉っぱは走行して抜け落ちることのないように、束にして黒いテープで
まとめてバイクの彼方此方に差し込んでいる模様。(拡大図による)



匍匐状態で膠着している前線(多分)まで情報を持って到達。
ちなみにオート隊員の訓練は、災害地で障害のある路面でも走行できるように、
ジャンプはもちろん、ウィリー走行やアクセルターンなどを習得します。 

両膝で車体を挟み、立ち上がって両手を離して射撃を行うなどという、
とんでもない離れ技もできるようにならなければいけないのだとか。 



バイクから降りるときもほとんど倒れ込むと同時。
隊員は戦場で車体を弾除けにするそうですが、オートの燃料はガソリンなので、
万が一弾が直撃したら、そのときは共に炎上する運命は避けられません。



前々回負傷してストレッチャーに固定されっぱなしの負傷者。
彼の手首につけられた認識票がご覧いただけますでしょうか。
救護のヘリが来るのを待つ間、どうも負傷者の状態が思わしくないようで、
心臓に耳を当てて様子を見ているようにも見えます。

「軍医殿・・・妻に・・伝言を・・・」

 
「傷は浅いぞ!しっかりせい!」 




方やこちら、ころがされっぱの捕虜とその見張り。



ふと気づくと、オート隊の偵察報告を待つヘリボーンのヘリが待機していました。




山の頂上の敵は、疲れたのか二人とも座って休憩しています(笑)



ヘリボーンの欠点として、車両の投入に物理上の制約がある、というものがありますが、

チヌークならこのように迫撃砲とそれを牽引する車両を一気に運ぶこともできます。
かつてこれで何度か車両を壊したという話もあるけど、訓練だからいいんだよ!



アパッチもその辺をうろうろ。

チヌークとのツーショットがなんかいい感じ。



そこに現れる陸自のもう一つの戦闘ヘリ、AH-1コブラ。

立ち位置的にはアパッチがコブラの後継として導入されたものです。



コブラは習志野のとき必ずと言っていいほどニコイチで現れ、

シンクロナイズドな駆動を見せてくれます。



アパッチのローターにコブラが止まっているの図(笑)




習志野は住宅街の真ん中なので、これら戦闘ヘリは銃撃の見せ場がなく、

その代わりに動きを派手にしているのではないかと思われます。

本来ならばここで戦闘ヘリ計3機が投入され、攻撃を行うはずなのですが・・。
せめてアパッチロングボウの先端のチェーンガンとハイドラ70ロケットガンをご覧ください。



そこにギリースーツの隊員を乗せたヒューイが飛来。




ドアは開けたまま、両側のハッチに二人ずつ腰掛けて、着地と同時に

走っていく構え。
この体勢でいるときには、座っている床に設置してある金具を体とつないで、
ヘリから振り落とされないようにしています。



もう1機のヒューイが、パイナップル偽装の隊員を輸送してきました。




せっかくなのでアップ。左側の隊員、楽しそうだ(笑)




わたしの見ているすぐ下に着地しようとしたのですが、ここでちょっとしたミス。




スキッドが地面に対して平行でなかったため、ヘリはスキッドの1部を地面に当て、

すぐにもう一度浮上しました。つまり、着陸に失敗です。

もう一度浮かび上がった衝撃で、隊員は思わず後ろにのけぞっています。



軽く小さな円を描いて着陸のやり直し。

何回か陸自の訓練を見てきましたが、こういうのは初めてでした。



ヘリを着地させる向きは決まっているらしく、もう一度宙を回って機首を敵陣に向けます。




安全金具はギリギリまで外さない模様。

ちなみに反対側のドアには人はいません。



自分の座っているところの後部にある膠着装置を外して用意。




着地と同時に立ち上がって・・・・・・、




同じドア(敵陣から見ると反対側)から全員が降り立ちます。




5人の1個小隊が乗っていた模様。




ヘリを敵からの盾のようにして降り、すぐさま敵陣に向けて射撃体勢を取ります。




彼らをここまで乗せてきたヘリはすぐさま離陸してその場を去っていきます。

着地から離陸までの時間は10秒もなかったでしょう。



自分たちが運んだ小隊を見送るヘリ搭乗員。


「戦闘が終わったら迎えに来るぞ。貴様ら全員生きてまた乗り込んでこい!」



そしてその場をすぐさま離脱。

地面にはもう1機のヒューイから降り立ったギリースーツの隊員が行動開始しております。



一旦銃撃体勢をとりつつ、彼ら5人は次の行動のために左手(敵陣から反対方向)に退場。
んー?皆さん、もしかしてこれで今日の仕事終わりですか?


続く。