「不可視の両刃」放射線に挑む ~或る医学者の英国留学記~

福島原発事故被災地での臨床経験がきっかけとなって放射線医科学を研究しています

日本をどう見て、どう評するべきか

2017-11-21 | 留学全般に関して
海外に居ると、日本の良い点、悪い点がよく見える時があります。国内からの視点とはまた違った位置から俯瞰出来るということなのかもしれませんが、確かに新しい発見に出会うことはあります。したがって、海外邦人による「日本」批判は比較的に的確であることが多いような気がします。あくまでも私自身の体験に基づいて、ですが。

とはいえ、正直、「あんたがそこまで言える立場か?」と感じることも、しばしばあるのですね。
たとえば私は、米国に在住する某医学研究者のブログを時々拝見していますが、東大から海外に移籍することになった経緯が悪かったせいか、日本の医療体制、医学界に対するコメントはメスのように鋭いものがあるものの、どうしても私怨が混じっているようにも見えるのですね。とても愛国的でいらっしゃるので、医学、医療においても日本が世界のトップ集団の一員であって欲しいという思いはブログ記事からもよく感じられるのですが、私に言わせれば「米国に移る前に20年くらい日本の中枢に近いところで研究し、多額の研究費を使って、政策決定にも携わる位置に居た貴方がどの面下げてそこまで言うのか」という気もします。日本をダメにした責任の一端は彼自身にもあるはずだからです。
つまり、何が言いたいのかと言うと、海外に居るからといって偉そうに「日本は~」というのはあまり良くないのかもしれないということです。

私もまた医療人であり、研究者でもあるので、やはり医学、医療の分野において日本には頑張ってほしいという思いはあります。そして、やはり国際的に日本の相対的な位置が徐々に低下していることについては歯痒い思いを抱いています。海外の研究拠点にいるので、当然ではありますが、米国、英国、中国などと比較して、日本の医学研究のどこが弱いのかはよく見えるようになりました。だから、「ここが駄目だよ、日本は」と言いたい気持ちもよく判るのです。
しかしながら、冷静に振り返ると、日本の弱点とはすなわち自分自身の弱点でもあることが多いのです。よく考えたら当たり前の話で、つまり、私もここに来るまでは日本でやっていたのですから。それが当然だと思いながら、毎日毎日、他の日本人と同じようにやっていたわけです。そして、それまで同じ側にいたから見えなかったことを、すこし離れた場所に立って「それってヘンだよね~」と指さすような行為は、あまり格好良いものではないような気がするのです。所詮は同じ穴の狢だったのだから。
気付いた者が「もしかしたら、これは変えた方が良いのではないかな?」と問題提起する必要性は確かにあります。外国に居るからこそ気付くことを海外邦人が日本に伝える意義は否定できません。要は言い方というか、批判の仕方というか、伝える過程が大事なのでしょうかね。「他人の振り見て我が振り直せ」ということで、私自身も色々と考えさせられます。

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