「不可視の両刃」放射線に挑む ~或る医学者の英国留学記~

福島原発事故被災地での臨床経験がきっかけとなって放射線医科学を研究しています

日本をどう見て、どう評するべきか

2017-11-21 | 留学全般に関して
海外に居ると、日本の良い点、悪い点がよく見える時があります。国内からの視点とはまた違った位置から俯瞰出来るということなのかもしれませんが、確かに新しい発見に出会うことはあります。したがって、海外邦人による「日本」批判は比較的に的確であることが多いような気がします。あくまでも私自身の体験に基づいて、ですが。

とはいえ、正直、「あんたがそこまで言える立場か?」と感じることも、しばしばあるのですね。
たとえば私は、米国に在住する某医学研究者のブログを時々拝見していますが、東大から海外に移籍することになった経緯が悪かったせいか、日本の医療体制、医学界に対するコメントはメスのように鋭いものがあるものの、どうしても私怨が混じっているようにも見えるのですね。とても愛国的でいらっしゃるので、医学、医療においても日本が世界のトップ集団の一員であって欲しいという思いはブログ記事からもよく感じられるのですが、私に言わせれば「米国に移る前に20年くらい日本の中枢に近いところで研究し、多額の研究費を使って、政策決定にも携わる位置に居た貴方がどの面下げてそこまで言うのか」という気もします。日本をダメにした責任の一端は彼自身にもあるはずだからです。
つまり、何が言いたいのかと言うと、海外に居るからといって偉そうに「日本は~」というのはあまり良くないのかもしれないということです。

私もまた医療人であり、研究者でもあるので、やはり医学、医療の分野において日本には頑張ってほしいという思いはあります。そして、やはり国際的に日本の相対的な位置が徐々に低下していることについては歯痒い思いを抱いています。海外の研究拠点にいるので、当然ではありますが、米国、英国、中国などと比較して、日本の医学研究のどこが弱いのかはよく見えるようになりました。だから、「ここが駄目だよ、日本は」と言いたい気持ちもよく判るのです。
しかしながら、冷静に振り返ると、日本の弱点とはすなわち自分自身の弱点でもあることが多いのです。よく考えたら当たり前の話で、つまり、私もここに来るまでは日本でやっていたのですから。それが当然だと思いながら、毎日毎日、他の日本人と同じようにやっていたわけです。そして、それまで同じ側にいたから見えなかったことを、すこし離れた場所に立って「それってヘンだよね~」と指さすような行為は、あまり格好良いものではないような気がするのです。所詮は同じ穴の狢だったのだから。
気付いた者が「もしかしたら、これは変えた方が良いのではないかな?」と問題提起する必要性は確かにあります。外国に居るからこそ気付くことを海外邦人が日本に伝える意義は否定できません。要は言い方というか、批判の仕方というか、伝える過程が大事なのでしょうかね。「他人の振り見て我が振り直せ」ということで、私自身も色々と考えさせられます。

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アントリウム州の美しい光景

2017-10-29 | 留学全般に関して
本日は、北アイルランドでいつもお世話になっている方のお宅にお伺いしました。そして、アントリム州County Antrimの美しい景色を色々と見せて頂きました。上の写真はベルファスト湾を一望する景色で、カメラマン(私)の腕が悪くて恐縮ですが、本当は幻想的でとても綺麗な光景でした。今の季節も悪くありませんが、きっと夏にはもっと素晴らしいことでしょう。その他にも、様々な場所を案内して頂き、素晴らしい一日を過ごすことが出来ました。



もうすぐハロウィーンですね。そして、ハロウィーンの本場は実はアイルランドなのです。あちこちにジャック・オー・ランタンが飾られており、北アイルランドでも楽しい雰囲気に包まれています。
Trick or treat♪


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Belfastの玄関 George Best City Airportについて

2017-10-01 | 留学全般に関して
「George Bestって、誰ですか?」

とまず言いたくなると思われますが、彼はBelfastが輩出した有名なサッカー選手です。上の写真は空港内に飾られているGeorge Bestのものですが、このような甘いマスクで1960年代の英国サッカーを盛り上げた、マンチェスターユナイテッドの伝説的人物です。史上最年少で「バロンドール」を受賞した彼は、英国フットボール史上屈指の名選手として高い評価を受けるとともに、身を持ち崩したスター選手にありがちなアルコール依存症、不倫、離婚劇などの悲劇的な晩年とともに、今もなお人々の記憶に深く刻まれているようです。
私自身は、マンチェスターユナイテッドの昔の名選手と言われても、あのベッカム(David Beckham, OBE)くらいしか知らないのでどう反応したらよいのか判りませんが、サッカー選手の名を空港に冠するのはなかなか興味深く思っています。日本には、おいしい山形空港、鳥取砂丘コナン空港など、「本当にそれでいいのですか?」とちょっとお聞きしたくなるような空港名があるので、それらに比べたらまだマシなのかなと思います。日本にはスポーツ選手の名前を冠した空港はないと思いますが、たとえば神戸空港あたりをイチロー神戸空港(オリックスで活躍したから)などにするようなイメージでしょうかね。

Belfastには空港が二つありますが、もう一つのベルファスト国際空港Belfast International Airportに比べると、シティー空港George Best City Airportはかなり小さい空港です。しかし、街中から近いし、ヒースローLondon Heathrow Airportからの便が多いので、もっぱらBelfastと日本との往復にはこの空港を使うことになるかと思われます。残念ながら、この小規模な空港にはお土産屋さんなどの設備はあまり充実しておらず、純粋な交通拠点という感じです。利用客はそれなりにいるようですが、やはりグレートブリテン島との往来に使われるのがほとんど、そういう意味ではある種の「駅」みたいな位置付けになるのかもしれません。

「まあ、僕は好きだけどね、あの空港」

と、以前、地元出身のKarl氏が言っていました。City Centreからのアクセスが抜群に良いので、たしかに重宝できます。地元に愛されているという意味では、幸せな空港なのかもしれませんね。
私も日本に帰る時はいつもこの空港を使っています。

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知人の来訪

2017-09-22 | 留学全般に関して
昨夜は、かつてサマースチューデント時代にお世話になった在英日本人研究者の方が、アイルランド共和国のDublinで開催された学会のついでに、Belfastに私を訪ねて来て下さいました。
パブで夜遅くまで懐かしい話や近況を伺ってしまいました。女性研究者として活躍されながら、3人のお子さんを英国で出産され、御主人と一緒に育てていらっしゃのには頭が下がる思いです。英国の方が働く女性に対するサポートが日本よりも手厚いのかもしれませんが、それでもやはり男性よりもdisadvantagesが多いでしょうから。
話が長くなりだいぶ夜遅くになってしまったので「今日はこのままBelfastに宿泊なさるのかな」と思いきや、日付が変わってからDublinへバスでお戻りになられたのでした。さすがプロの研究者はタフでした。

写真は、世界で一番爆破されたホテル(合計で30回以上)として名高い「Europe Hotel」のバーです。Belfast屈指の一流ホテルは、さすが落ち着いた雰囲気で、我々の2次会に場所を提供してくれたのでした。つかの間の楽しい一時でした。

遠い異邦の地に居る時に、わざわざ知人が訪ねて来て下さるのは、やはりとても嬉しいものですね。

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長かったような短かったような1年間~まだ夢の途中

2017-09-02 | 留学全般に関して
まず、今更ではありますが、フットボール男子日本代表の勝利とW杯出場決定、おめでとうございます!
2018年ロシアで開催予定のW杯への進出が決まったのは日本で4か国目とのことですが、来年W杯で母国チームを応援できる機会を得られて私も嬉しく思います。開催地が都市となるオリンピックとは違って、W杯は国家単位での開催ですからどうしても国内移動が多くて大変だと思われますし、とくにロシアは領土が広いですからなおさらでしょう。一体どんなW杯になるのか、楽しみですね。

さて、また9月になり、私が渡英してから約1年が経過しました。
長かったような気もするし、短かったような気もします。途中3回帰国して、合計で約1カ月半は日本に滞在したのですが、基本的には英国に居たのでした。その間、現在投稿中を含めて5報の論文を書き、1冊の本を出版しました。また、幾つかの研究助成や賞も頂戴しました。研究は当初の予想を良い意味で裏切る形で二転三転しつつも前へ進んでおり、学業でも色々とありましたが進級を果たしています。こうして振り返ると、英語運用能力はあまり伸びていないものの、やはり自身の成長につながるような経験はそれなりに積むことが出来たように感じます。
海外留学は今回で3度目ですが、前2回はいずれも数カ月の短期滞在でした。今回のような年単位での長期留学はおそらく最初で最後になるでしょうか。私は福島で放射縁防護学体系の在り方に疑問を抱き、「先端研究成果をもって旧概念を駆逐し、新しい放射線防護の概念を樹立し、ひいては福島原発事故被災地の復興の一助となりたい」と思って、わざわざ英国の片隅までやってきたのでした。今のところ研究はうまく運んでおりますが、この留学を終えるまでに成果として結実できればと願っています。

ここ最近、研究の打ち合わせで根を詰めていたので、今日は自宅でのんびりと休んでいます。
ここBelfastを含めて北アイルランドは日本人が少ない地域ではありますが、この1年の間に幾人もの若き日本人学生が来て、そして去っていきました。私はいつも迎えて、そして見送る側になりますが、彼らとの思い出もまた、この1年で得た宝物といえるでしょう。ちょっぴり感傷的な気分になって、自室で本を片手に紅茶を飲みながら窓の外を眺めていると、流れる季節を感じます。

He who would learn to fly one day must first learn to stand and walk and run and climb and dance; one cannot fly into flying.
(いつか空を飛ぶことを覚えたいならば、まず立ち上がること、歩くこと、走ること、登ること、躍ることを覚えなければならない。一足飛びには飛ぶことはできない)

先は長いですが、ひとつひとつ進めていくしかありません。次の1年も頑張ります。

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北アイルランドの世界遺産 The Giant's Causeway

2017-08-09 | 留学全般に関して
先日、北アイルランドの誇る世界遺産「ジャイアンツコーズウェイ The Giant's Causeway」に仲間と行きました。
グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)を構成する北アイルランドの首都ベルファストから車で約2時間の距離にある海岸線に、六角形の石柱が無数に立ち並ぶ不思議な光景がありました。北の海へと続くこの石畳は、古の巨人が造った道として知られており、見る者すべてを圧倒する迫力があります。



夏休みだからでしょうか、多くの観光客がいましたが、石柱が並ぶ海岸線もそれなりに長いので、はしゃいでいても大丈夫でした。上の写真は、自分の足元の石の形に感動して、一葉撮ってみたものです。

ジャイアンツコーズウェイからすこし離れた場所に、迫力のある「キャリック・ア・リード吊り橋 Carrick-A-Read Rope Bridge」がありました。こちらも人気のスポットです。実際、観光客が多くいました。
幅は一人分しかありません。看板によると、8人までしか同時に乗れないとのことで、順番で交互に渡ったのでした。
その吊り橋を渡った先は北アイルランドの地の果てです。海の向こうにスコットランドが遠く見えました。

 


同じ海岸線には綺麗な古城として知られる「ダンルース城 Dunluce Castle」もあります。
周囲は断崖となっていて、かつて要塞として機能していた様子がうかがえました。時間の関係で内部にまで足を延ばすことは出来ず、遠景だけではありましたが、素晴らしい天気の中でひっそりと佇む城の美しさを感じることが出来ました。



私はウヰスキーをあまり嗜みませんが、コーズウェイコーストには世界最古のウヰスキー蒸留所である「ブッシュミルズ蒸留所Bushmills Distillery」があります。
試飲も出来ます。私はかつてウヰスキーを飲んで痛い目に遭ったことがありますし、当日はあまり体調も良くなかったので、試飲は避けてしまいました。しかし、次の機会には挑戦してみたいとも思います。
ウヰスキーの本場としてはスコッチウイスキーの方が有名な気もしますが、そういうことを言うとアイリッシュが黙ってはいません。「俺らの方が古いんだよ」という本家論争が始まりそうですね。



ブッシュミルズの近くにある木で出来たトンネル「ダーク・ヘッジ Dark Hedge」も観ました。
有名な観光名所らしいのですが、それほど大したことはありませんね。一般的にはあまり期待してはいけない場所なのかもしれませんが、好きな人は好きかもしれません。正直、日本にはこの木のトンネルよりも凄い並木が沢山あるような気がしましたが。



北アイルランドは小さな国です。
面積は福島県ほどの大きさで、人口も200万人弱です。かの大英帝国の一角とはいえ、人々もどこかのんびりしており、穏やかな時間が流れています。はっきり田舎です。しかし、英国とアイルランドの文化が混在する不思議な場所でもあります。
こちらに来てから1年弱になりますが、此の地にはまだまだ隠された魅力がありそうだと感じていますね。

研究も大事ですが、社会勉強の一環として北アイルランドの地理、歴史、文化にもすこしずつ触れていきたいと思っています。それが留学の醍醐味なのではないかとも思うのです。

今回も拙ブログ記事を読んで頂き、ありがとうございました。

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ラーメン喰いてぇ

2017-07-31 | 留学全般に関して
留学生として英国に来て、困ることは沢山あります。たとえば英語、気候、金銭、そして食事です。

「イギリスってメシマズなんでしょ?」とはよく聞かれますが、私はそこまでマズいとは思いません。たしかに日本人の舌には合わないと思われる料理も散見されますが、それらはあくまで嗜好の問題の範疇であり、基本的には何でも食べられものばかりですし、味付けだって間違ってはいません。ただ、食材はあまり豊富ではないですね。とはいえ、英国の食事が全体的に美味しいというわけではないのは間違いないとは思います。したがって、英国の食事に耐えきれないというのは、あまり問題にはならないのです。問題になるとしたら、日本(故郷)の食事が恋しいということです。

もちろん、「自炊すればいいじゃん」という声もあるでしょう。似た食材を見つけてきて日本食を再現するという女子力の高さを見せつける人も知っていますが、私には無理です。私のような駄目人間コンテスト上位常連者には不可能です。

なにより最大の問題は、美味しいラーメンがないこと。
いや、カップ麵などが売られているのは知っていますが(買いませんけどね)、私ゃね、家系ラーメンが好きなんじゃ。時々、異様に食べたくなるのは、どうしてなのでしょうか?

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半旗

2017-06-09 | 留学全般に関して
今週は激動の一週間でした。
昨週末のLondonでのテロの動揺を引きずったまま、英国総選挙が実施され、与党が過半数を割る事態となり、Brexitに向けて懸念される政局となりました。大学関連では、副総長急逝や、それに伴う大学院行事の変更がありましたし、個人的には、転居や、親類に不幸がありました。
まさか、こんなことになるとは一週間前には思いもよらず……

副総長の死を悼んで、本学では、今日も半旗が掲げられました。
私の気持ちも塞がったまま。一刻も早く日本に帰りたいですが、来週の大学院中間審査まで、ここに留まらなくてはなりません。

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Belfastでお引越し

2017-06-03 | 留学全般に関して
さて、来週はついにお引越しです。

大学寮に住んで半年以上、食べ物や食器を盗まれたり、警報の悪戯で一晩に三回も真夜中に叩き起されたり、近隣住民の騒音に悩まされたりと色々ありましたが、ようやく静かに落ち着いた環境に移ることが出来そうです。以前にこちらで修士課程を学ばれていた方々から「大学寮の厳しさ」を伺ってはいましたが、やはり私には辛いものがありました。

学生時代を含めると、日本でもそれなりに転居を経験してきましたが、今回、ここに至るのにはちょっと疲れました。

引っ越しをするにあたっては、まず、生活背景が大きく異なる他者と空間をシェアするのがもう無理だったので、すこし高くてもいいからアパート(apartment)を選ぶという点は譲れませんでした。この微妙な高級志向からスタートしたのが、不動産屋(estate agency)から微妙に嫌がられる理由だったのかもしれません。
幾つか不動産屋を回りましたが、どこも「は? アジア人? フラット(flat)でもシェアしていろ」という態度を多少出してきて、正直、なんともやりにくかったのでした。定職がない外国人という設定が、ここまできついものだとは思いませんでした。とはいえ彼らも商売ですから、「この物件を観に行きたい」と言えば、しぶしぶ案内はしてくれました。案内すらしてくれない不動産屋もありましたが、流石に論外ですから、二度と行きませんでした。
英語が拙いのはたしかに私も悪いのかもしれませんが、案内してくれた幾つかの不動産屋も外国人相手にはかなり適当で、心配して一緒に付いてきてくれた友人が「おい、流石に失礼だろ」と若干キレ気味になるという体験を何度か繰り返しました。

結局、2つほど物件を選んで安い方からオファーを申し込むことにしたのでした。

オファーに際しては、保証人を確保する必要があったのですが、それも大変でした。
うちの指導教官たちはそういうのを引き受けてくれないという話はラボメンバーから聞いてはいましたが、まさか本当にそうだとは……。結局、大学院メンター制度を利用して、メンターになって下さっていた英国人の先生に相談したところ、幸運にも彼が私の保証人を引き受けてくれることになり、本当に助かりました。

そして、なんとか必要書類一式を準備して臨んだ1件目のオファー、家主からなんかフツーに断られました。とくに理由なし。
「おいおい、まさか、外国人差別ってやつですかね?」と、疲れもあってイラっときましたが、保証人の先生から「まあまあ、そういうこともあるから、次の物件へオファーしようね、ね?」と宥められて、気持ちを切り替えて次にオファーしたのでした。
それが駄目だった場合、仕方なく大学院の事務に乗り込んでいって、「あの時は『契約延長しない』なんて生意気言っちゃって、ごめんなしゃい。あたくし、ホント、頭がどうかしてましたわ。海に沈んだタイタニックより深く反省しました。どうか、大学寮の賃貸契約期間を延長してくだちゃい」と、目薬を使ってウソ泣きしながら侍魂がこもった土下座を披露する必要があるやもしれぬと、覚悟はしていました。

しかし、天はどうやら私を見捨てなかったようでした。

家主と電話、面接をして、「日本では医者やってました」「クイーンズでは医学の研究を頑張っています」「ベルファストは良い街だと思います」「北アイルランドは良い国だと思います」「綺麗好きです」「タバコは嫌いです」「ペットいません」「うるさい友だちもいません」「ただ静かに暮らしたいです」「銭はあるズラ」とアピールしながら、なんとか大学から近い部屋を確保することができたのでした。

ああ、ホント、しんどかったのでした。

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引っ越しのハードル

2017-05-17 | 留学全般に関して
ただ、オレは静粛を求めているだけさ。
とか言うと、すこしはカッコ良く聞こえるでしょうか。しかし、引っ越しは切実な願いでもあります。

仙台に居た時はかなり静かな場所に住んでいましたが、こちらに来て薄壁の向こうに誰かが居るという環境にずっと曝されてきました。もう「勘弁ならんわい」ということで、apartmentに引っ越したいと思い立ちましたが、今の身分で借りるのはかなり困難です。日本でアパートというと、そこまで高級なイメージをもたれないかもしれませんが、英国でapartmentというと、どちらかという高級志向になってしまうのです。当然、要求(ハードル)も高くなります。

本日、助成金報告書の提出、指導教官とのミーティングの合間を縫うようにして、物件を見に行きましたが、一長一短がありました。私の仙台の住まいと比べて、価格的には1/3くらいですが、同じくらいの広さがありました。そして、古い。一緒に見に行った友達曰く「そこまで悪くないけど、決して良くもないね」とのこと。私も同感でした。

ということで、進退窮まっております。
研究やら何やらでこのくそ忙しい時に、引っ越ししようだなんて、全く我ながら何やってんだか。日本国内で引っ越しする時も「ああ、面倒だ」といつも思っていましたが、海外だとさらに面倒なことが多いです。
もう、日本に帰りたいよ、ホント

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北アイルランドにおける『地球の歩き方』問題

2017-04-02 | 留学全般に関して
みんな大好き『地球の歩き方』について、一言申し上げたいと私は常々思っていました。
一般に、海外旅行必携のガイドブックとして広く知られており、私もこれまでにアメリカ、スコットランドなどに短期滞在した時に観光する上でよくお世話になりました。しかしながら、こと英国領北アイルランドについては、私は『地球の歩き方』を断じて許すわけにはいきません。

奴らは大変な間違いをしていきました!
北アイルランドに関する情報をアイルランド版に収載しているのです!
(写真は2015~2016年版です)

もちろん、確信犯なのでしょう。アイルランドと北アイルランドは別々の国であるというか、北アイルランドは英国だと知っていながらの狼藉であります。
あるいは穿った見方をすれば、「北アイルランドはアイルランド共和国に編入されるべきだ」という政治的なメッセージなのかもしれませんが、北アイルランド紛争(The Troubles)という一大紛争を抱える地域について、たかが日本の一ガイドブックに過ぎない『地球の歩き方』がそういう政治的な誤解を生むようなことをするのは色々な意味でやめてほしいものです。
下手すると、「日本のガイドブックでは北アイルランドはアイルランドと同じ扱いらしい」「日本人は北アイルランドをアイルランド共和国だと思っているのか?」と地元の方々に誤解されかねませんから。場合によっては、危険なことにもなりかねません。

とにかく、このせいで北アイルランドを観光しようと思って、イギリス版を買ってしまうという悲劇がたびたび繰り返されてきました。
とくにAmazonなどの通販で『地球の歩き方』を購入する場合、本の中を確認できずに買うことが多いので、たいへん恐ろしい罠になります。いわゆる初見者殺しです。まあ、どうせ北アイルランドに行くならブリテン島も観光するからいいかと、泣き寝入りするしかありません。
アイルランドと北アイルランドの違いさえろくに知らない方々ならばともかく、ちゃんと英国がイングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドで構成されていることを知っている人たちをも欺くという意味で、実に罪深い罠だと感じます。
つい先日も「『地球の歩き方』を買ったんだけど、北アイルランドが載っていなかったんだぜ?」という、実に辛く悲しいお話を聞きました。

北アイルランドは英国であります。
現在に至るまで数百年間にわたって英国領であり、近年も北アイルランド紛争や英国EU離脱(Brexit)で揺れるアイルランド島にあるとはいえ、それでも現時点では英国によって統治されている地域なのです。英国文化とアイルランド文化が混在する非常に興味深い地域となっています。本学も大英帝国ヴィクトリア女王によって設立された英国屈指の研究大学であり、公用語はもちろん英語になっています。地元住民も、色々と思うところはあるのかもしれませんが、英国の国籍を有している人たちです。
そのような現時点での事実に反して、北アイルランドがアイルランド共和国の一部と見做されてしまうかのように書かれているガイドブックの構成は、流石に、ちょっと問題があるでしょう。とくに旅行者向けのガイドブックで、そのような誤解を招きかねないことをするのは、いかがなものかと。

現在の地球の歩き方では、なぜかイギリス版(ブリテン島)、アイルランド版(アイルランド島)という構成になっているのですが、ちゃんとイギリス(ただし北アイルランドを除く)版(ブリテン島)、アイルランドと北アイルランド版(アイルランド島)と正しく表記するか、あるいはイギリス版(ブリテン島+北アイルランド)、アイルランド版(アイルランド島ただし北アイルランドを除く)として正しく収載し直すべきでしょう。

もしも北アイルランドまで足を運ぶ際には、どうか『地球の歩き方』にお気を付けて下さい。地球の迷い方になりかねません。


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ハンドサインとクロスフィンガー

2017-02-01 | 留学全般に関して
海外で写真を撮る時にピースサインは止めましょうというのは、時折、耳にします。そして、それは確かに英国でも誤解を招く恐れがかなりあるので、止めた方が宜しいかもしれません(あえて侮辱したい時に使うのは勝手ですが)。
このように国や文化によってハンドサインやジェスチャーは意味が異なります。

Cross your fingers(応援してください、幸運を祈っていてください)という表現がありますが、このクロスフィンガーが最近私のお気に入りです。なぜ中指を人差し指に重ねることで幸運を祈ることになるのかよく判りませんが、欧米ではかなり一般的なハンドサインですね。洋画のワンシーンなどでも時折目にします。

I'm crossing my fingers.
(幸運を祈っています)

私の留学の目的はあくまで研究推進であって、異文化交流や語学上達を主眼とはしていませんが、それでも海外に滞在していると色々な体験をすることになります。なかなか興味深いものです。
1990年代後半から徐々に日本からの海外留学者は減少してしまい、最近ようやく持ち直してきた気運があるようですが、中韓などのアジア諸国に比べると今の水準は低いといえます。たしかに科学・技術の面において海外から学ぶ必要がなくなって来た(日本が世界トップレベルの一角である)ということなのかもしれませんが、それでも「異文化に接する」という刺激は尊いものだと感じます。

世界は、思っていたよりも、やはり面白いものです。
Cross your fingers!

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神話の中に立つ ~アルスター・サイクル~

2016-12-22 | 留学全般に関して
「クーフーリン(Cú Chulainn)」という英雄の名をご存知でしょうか?

ケルト・アイルランド神話の一つに『アルスター・サイクル Ulster cycle』と呼ばれる物語群があります。ゲッシュ(geis、禁忌)に縛られた英雄たちに関する一連の物語ですね。中でも随一の英雄として描かれるのがクーフーリンです。私はアイルランド神話に詳しくはありませんが、悲劇の英雄クーフーリンの物語を断片的には知っていました。

ここBelfastに来てから、とくに意識はしていなかったのですが、今日、たまたまクーフーリンの話題があって、「そういえば、ここはまさに神話の舞台であるアルスターだった!」ということに今更ですが気が付いたのでした。
英国領北アイルランドはアルスター州を含んでおり、Belfastはまさにそのど真ん中に位置する都市なのですね。つまり、Belfastにいるということは、今まさに、アルスター・サイクルの中に立っているわけです。
「決して犬の肉は食べない」などクーフーリンのゲッシュと逸話には面白いものが多く、もし興味がありましたら、ぜひ読んでみて下さい。私も改めてすこしアルスター・サイクルを調べて、勉強してみました。「教養」というカッコつけすぎかもしれませんが、民俗学的な知識は、地元の人たちとの交流など、いつか役に立つ時もあるでしょう。

写真は本学が誇る大学図書館の一つ「マックレイ図書館(The McClay Library)」の前にある謎の像です。ある意味キモカワイイです。
マックレイ図書館は、アルスター博物館(Ulster Museum)から数百メートルしか離れていませんが、北アイルランド屈指の史料や文化財を有しているそうです。つまり、半径数百メートルの範囲にはアイルランド文化を現代に伝える知識が集結しています。
私が英国に好意的なのは、このように「文化と伝統を尊ぶ気質」が日本のそれと似ているからです。ただ、日本文化の根底にある無常観と異なり、英国文化の根底には一貫した強さを感じさせられることが多い気がします。そのあたりの違いも実に興味深い。

留学の醍醐味の一つとして、研究だけでなく、このような身近な社会勉強もそれなりに楽しめることがあります。自分の視野を広げてくれるような思いがけない刺激と発見は、やはりいつだって楽しいものですね。

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日英間郵便事情

2016-11-29 | 留学全般に関して
先週月曜日に英国から日本へ郵送依頼した書類が、今週火曜日に日本に到着した旨の連絡がありました。
とても大事な書類でしたので、無事に届いて安心しました。英国から日本へ書類をお送りするのはいつもヒヤヒヤします。

私の知る限り、英国の郵便機関に対する評価は毀誉褒貶相半ばしています。
英国にはRoyal Mail(ロイヤルメール)とParcel Force (パーセルフォース)の二者の郵便機関があって、私はRoyal Mailで書類を日本に送っています。今のところ、私が送ったもので紛失したものはありません。利用するサービスと金額によって、1週間前後で届いたり、1~2カ月かかったりする場合に分かれることはありますが、ちゃんと届いてはいるようです。また、私宛の郵便物もおそらく全て届いていると思われます(こちらは紛失していても気付かないのですが)。
まあ、腐っても大英帝国の末裔の皆さんですし、Brexit(EU離脱)という離れ業をしたとはいえ、欧州列強の一角であります。郵便機関においても、ちゃんとした先進国のサービスという印象です。むしろ私個人としては、日本で郵便物の一時的紛失(配達員が別の家に届けてしまった)を経験しているので、日英比較すればどちらかというと、日本の郵便機関の方を信用していないかもしれません。

日本と同じように、切手を貼ってポストに投函する、あるいは郵便局まで持っていくなどの利用の仕方があるのですが、実際には幾つか罠があります。慣れていないと混乱すると思います。私自身も「謎の自動サービス機」の前で困惑したことがありました。英語の問題もあります。
郵便に限らずとも、「旅の恥は掻き捨て」というか自分自身の不器用さゆえに最初から上手く行くことなんてほとんどなくて、いつも生き恥を晒しながら生きているようなものですがね。

イギリスの郵便ポストですが、私は赤いものしか見たことがありません。あるいは他の色のものが近所にあるのかもしれませんが、おそらくポストと気づいていないのでしょう。黒いポストもあるそうですから。上の写真のポストは、Belfastの中心部に設置されているものですが、赤いですね。ちなみに後ろのピエロたちは配達員ではありません、残念ながら。

渡英直後、お世話になっている方々へポストカードをお送りしてみました。喜んでくださった方、無反応な方、色々でした。たしかにE-mail、Line、Messengerなどの方が手っ取り早くて気軽ではあるのですが、しかし、手紙の温もりを大切にしたいと私は昔から思っています。
そろそろクリスマスカードもお送りしてみようかな

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ペンパイナッポーアッポーペンどころではない

2016-11-18 | 留学全般に関して
金曜日の朝になると、研究センターで隣の席の女性が「もう金曜日なのね、あっという間ね」みたいなことをいつも言うのですが、私は正直、彼女の発言の全てを聞き取れていないです。早口すぎるのですね。しかし、一応、なんとなく言っていることは判るので、この前、

Time flys like an arrow.
(光陰矢の如し)

と言ったら、真顔で「は?」みたいな感じでした。
おそらく、私の発音のせいでしょうね、ごめんなさい。

それにしても、ここに来て思うのは、ラボの皆さんの英語がとにかく早口すぎるのと、私からすると彼らの英語はすこし訛って聞こえている(日本人の多くはアメリカ英語に慣れてしまっている)ので、あまり聞き取れないのが困るということです。

ペンパイナッポーアッポーペンどころではありません。

例えば、

Have a nice weekend!
(良い週末を!)

という挨拶があります。
これは私には「ハバナスウィケン」みたいに聞こえるのですが、彼らはこれを小声かつ早口で歌うようにサラっと言うのです。0.3秒くらいで。さすがにこのレベルの聞き取りは出来ますが、油断していると「はあ?」と一瞬パニクります。

ラボには若い女性が多いので、きっと彼らの発話が小声かつ高音だから私の聴覚域から逸脱しているのだと信じたいところですが、地元の男の子のボソボソ発音も訳判らないことを鑑みると、単純に「私が英語を聞き取れないだけ」というとても悲しいシンプルな結論しか見えません。

研究センターの皆さんも、全然手加減してくれないというか、普通に通常速度のまま突っ込んでくるというか、むしろ私に話す時には発音スピード増しているんじゃないかと疑いたくなるほどです(おそらく被害妄想)。せめて、もっとゆっくり大きな声ではっきりと話して欲しいのに。そうしてくれるのは良くも悪くも日本人に慣れている私の指導教官だけです(彼は何度も日本に来ているし、以前に日本人と共同研究もしていましたから)。

旅行などにはほぼ困りませんし、お互いに英語が第二言語になる留学生同士の会話ならばそれほど困りませんが(お互いに発話スピードがしょぼくて、使っている単語レベルが幼稚なため)、所謂ネイティブスピーカーとは手加減してもらわないと仕事上の議論がまだまだ出来ません。単語はすこしは判るので、相手の発言の意味するところはなんとか拾えることもありますが、こちらから文法的に正しい長い発言を即興で展開するのはやはり至難です。それでも、なんとかしないといけないのが大人の辛いところですが。

私はIELTSでSpeaking 6.5しか取れなかったことを思い出しました。ラボにはEU諸国からの留学生たちもいるのですが、彼らがなぜあんなに英語でぺらぺらとおしゃべり出来るのか、私には全然わかりません。彼らの英語はおそらく中学生~大人レベルなのでしょうけれど、私だけ幼稚園児レベルですね。

英語、マジ、辛い

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