人間になにかしてほしいことがあるとき、犬も猫もなぜかきちっとしようとする。
ご飯をくれそうな人間が近づいてきたとして、犬はぶんぶんと尻尾を振る。
尻尾を振るだけの方が自然なのにジタバタとおすわりしてきちっとしようとする。
なんならきちっとしている状態でもう一度座り直してきちっとしようとする。
きちっとしていることをアピールしようとしてなんだかジタバタしている。
人間からおすわりを教えられる犬は、 . . . 本文を読む
きのうの夜、外に出て近くの田んぼまで歩き空を見上げた。
空には無数の星がちかちかと瞬いている。
周りには誰もいない。心地よい風が体を冷やしてくれる。
宇宙がこんなにも近かった。
向こう岸からこちら側へ天空いっぱいに天の川が横たわっている。
そして北側から大きな流れ星が走り去っていった。
ペルセウス座流星群の母天体はスウィフト・タットル彗星で、彗星が地球に近づくたびに剥がれた塵が燃え上がり流れ星と . . . 本文を読む
ここからは私が自分の体験を通して感じたままを書く。
野菜や果物など、人が口にする植物を育て収穫するとき、その植物は夢をみている状態がちょうどいい。
植物には植物の次元があり、人の次元に最も近づく状態が、彼らが夢をみているときだと思っている。
彼らが夢をみているとき、人と植物がもっともわかりあえると思っている。
Aさんのオクラは、カッと目を開いて短い呼吸をし覚醒しているように見えた。
人が定めた . . . 本文を読む
Aさんの畑で見たあの暗闇の正体が何だったのか、今ではわかる。
…あれはオクラだ。
少しさかのぼるが、線状降水帯の大雨に見舞われた翌日からオクラの収量減が懸念された。
ダメージを受けると元気がなくなり、実をつける勢いが落ちるからだ。
であればかなり上部まで切り落としていた葉を多少残し、勢いを取り戻してもらいたい。
そう判断し葉を残しながら収穫した。
お世話になっているAさんのことを思い対処したつも . . . 本文を読む
今年の夏、Aさん畑のオクラ収穫のお手伝いをした。
農家さんは忙しいので私がオクラを収穫しているあいだ他の作業を進めている。
収穫しているあいだ、私は一人だった。
明けの明星が見える頃に家を出て、明るくなった頃に収穫をはじめる。
遅くとも午前中には終わらせる作業になる。
何列目かの途中で違和感があった。
違和感のある方向を振り向くと、オクラ畑の通路向こうに何かがいた。
なにか暗闇のようなものだ。千と . . . 本文を読む
朝、仕事へ行く前の準備をしていると人の気配がしたので外へ出てみた。
家の裏手に住んでいるミサオさんだった。
誰かを待っている様子で立っておられるが、高齢のためか私の車に寄りかかっていた。
これから仕事へ行くのに車を出さなければいけない。
「おはようございます。誰か待ってるんですか?」
「これからマラソンがあるんで待っちょるんよ。」
あまり詳しいことはわからないが、マラソン大会を見に行くのに迎えの車 . . . 本文を読む
20年以上使いつづけたマグカップがついに割れた。
落として割れたのでなく疲労骨折のように静かに割れていた。
飲み物を飲んで、テーブルの上に置くと静かに取っ手がとれた。
とても気に入っていたので残念だったが、節目のようなものも感じ、いいお別れができたようにも思えた。
腕時計のときもそうだった。
自転車でジーンズが破れるほど転倒したとき長年使っていた腕時計の盤面のガラスが粉々になっていた。
軽症で済 . . . 本文を読む
今年の夏は熱中症で大変な目にあった。
8月半ばの炎天下で作業したあと、フラフラしながら自動車に乗り込むが気持ち悪くて外へ出た。
草地で吐いたあとようやく運転をはじめるが、真夏にも関わらずクーラーが寒すぎてすぐに消す。
風に当たろうとして窓を少し開けるが、生ぬるいはずの外の風が氷のように冷たく感じた。
体調が普通ではないことがわかり、脇に車をとめて少し眠った。
時計を見ると1時間経っていた。汗だくに . . . 本文を読む
開運に興味がなく、その手の本を見かけてもまず手に取ることはなかった。
が、セブンイレブンで見かけた「勝とうとするな 負けの99%は自滅である」という本の題名が気になりパラパラとめくると面白そうな内容だったので、同じ作者で少し安い隣の本を買った。
それが今回紹介する本だ。
こちらの作者は裏プロとして20年間無敗の雀士だったらしい。
私の人生とはまるで関係ないような生き方をしておられる方なのに、その . . . 本文を読む
久しぶりに映画館で映画をみた。
足を運んでよかったと思える作品だった。
東日本の震災で受けた心の傷を乗り越える話であるとともに、記憶の中で風化しそうな出来事を観客が思い出し、それらを慈しみ、別れを告げることができるような内容になっていたと思う。
廃墟、田舎の風景、東京の雑踏、交通路、描くものが芸術的に美しかった。
扉を封印する際に祝詞を唱えるシーンも、日本人の魂が呼び覚まされるようだった。
「 . . . 本文を読む