ゆがわいた

ラビブログが帰ってまいりました。

遠慮よりも先に

2017-04-06 05:39:54 | 日記

突然の来訪だった。

店をたたんだ「ひこうきぐも」のマスターが自宅にやってきた。

「自宅の庭でとれたタラの芽と伊予かんと夏ミカンを持ってきました」

 

2月いっぱいで閉店したマスターとは会う機会がなかなか持てないだろうな

そんな思いを引きずっていた矢先のことだった。

何の屈託もないかのように、あの人懐っこい表情で差し出すレジ袋の品ものを

遠慮の言葉よりも先に手が出てしまった。

 

通りに停めてあった車まで見送ったら、助手席には奥方がチョコンと座っていた。

「このたびはとんだことで」といった感じの言葉を彼女に投げかけた。

彼女の口から返ってきたのは「店を閉める数日前になって初めて打ち明けられたんですよ」と呆れ顔。

でも目は怒ってはいなかった。

「これからも、うちで取れたものを持ってきますよ」夫婦の口から同じ言葉が返ってきた。

「店を閉めたことを、あんたたちの担任には伝えたの?」と聞こうかどうか逡巡しているうちに車は走り去ってしまった。

(まっいいか。遠くの担任より近くの他人っていうではないか???)

 

その晩、さっそく連れ合いがタラの芽を天ぷらにしてくれた。

マイタケやピーマンと一緒に揚げたタラの芽の天ぷらはことのほか旨かったが、茎の部分に苦みが残った。

マスターのこれからの人生にも苦みが伴うのだろな。

満期まで勤めきれなかった男がまた一人増えた。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 五合目までだったら | トップ | 冬がすみ春がすみ »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。