20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆ルーセル:交響曲第1番「森の詩」

2017年04月20日 | フランス
○デュトワ指揮フランス国立管弦楽団(ERATO)1985/6・CD

ルーセルは漢。作風は所謂印象派、バーバリズムから新古典主義へ時代の流れに忠実に非常に明確に変化したが、変化の間にあいまいさは皆無に感じられる。但し、もともと理知的で無駄の無い単純さへの指向も強く、幾何学的な整合性がきっちりとれた作品を作る傾向があった。数学を好む合理的な人だったからカントゥルムの先生にうってつけでもあったわけだが、比較的初期作品にあたるこの作品においても、ドビュッシー=印象派の影響が濃いとはいえけして非論理的な構成構造はとっていない(そもそもドビュッシーが嫌った形式音楽である「交響曲」なのだ・・・表題はあるにせよ)。印象派の影響というのは主題と和声だけにあらわれ、精緻な管弦楽法への指向は寧ろラヴェルに近い。

極めて明るく透明で美しい音楽は前期ルーセルのメリットが存分にあらわれたもので、この時期だけをとっても非凡な才能であったことがわかる。個人的には一番素直な才能が発揮できていたのはむしろこの頃だと思うし、曲的に好きな時期だ。単調だがそれであるからこそ強い印象を与えるリズムへの指向は既に現れており、後期で濃くなりすぎたオリエンタリズムの曇りや構造起因の響きの重さが無いぶん聴きやすいのは曲のメリットだろう。

デュトワ盤はしばらく殆ど唯一の音盤として親しまれてきた。この人はいい意味で曲の個性の灰汁抜きができる人なので、後期作品の入門には最適なのだが、この曲のあたりは比較対象がもっとあれば「無難」とか言うこともできるんだろうけど、現時点では「最適」と書かざるを得ない。明るく繊細な表現はどこにも心を曇らせる要素が無い。フランス作品を爽やかに巧みに表現していた、いちばんいい時期のデュトワが聴ける。○。今は全集でも廉価でお得。
ルーセル:交響曲全集
デュトワ(シャルル)
ワーナーミュージック・ジャパン

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ルーセル:交響曲第1番>

1楽章 冬の森
2楽章 春
3楽章 夏の夕べ
4楽章 牧神と森の精

表題からわかるとおりバレエ音楽的で、言うまでも無くドビュッシーの影響が現れている。20世紀初頭の10年間に描かれた作品であることを考えると、実に「流行に乗りやすい人だった」と思える。ルーセル自身は1860年代の生まれであり海軍経験をへての遅咲きである。ドビュッシー同様、リヒャルトのような中欧音楽に感化された時期が既にあっての作品で、単なる浮ついた若者の初期作品ではないことは明らかだ。

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