20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆スクリアビン:法悦の詩(交響曲第4番)(1904-07)

2017年05月12日 | Weblog
◎ムラヴィンスキー指揮モスクワ・フィル、ユリエフ(TP)(BMG/MELODIYA)1945・CD

<押しも押されぬ20世紀初頭を代表する名曲。法悦という一種タブーな主題を構想しながらも作品はそんな卑近な枠など大きく飛び越えた汎世界的な存在価値を発揮している。単一楽章で、交響曲番号は便宜上つけられたもの。>

紛れも無い名演だ。漲る力感、クライマックスへ向けてのドライヴ感、ソロ奏者の極めて高い音楽性、音楽を弛緩させない集中力の持続、どれをとっても第一級である。むしろソロ性の強いモスクワ・フィルであるからこそレニングラードの手堅い演奏から一歩抜きんでた奔放な表現が可能となったのではないか。とくにソロのユリエフの演奏はロシア奏法の粋と言ってもよい美しいもので、扇情的なヴィブラートが確かな音程感の上に力強く響き渡るさまは、まったく予備知識なくして聞いても深く印象に残るものと思う。ムラヴィンスキーがお気に入りだったペット奏者ユリエフの同曲唯一の録音だそうである。ボリショイ歌劇場管とソビ響の首席をつとめた名手だとのこと。それにしてもムラヴィンスキーの「法悦の詩」の録音は案外多いが、ここまでのめりこんで聞ける演奏はなかった。いや、他は全て客観が勝っており、その冷静さが「あまり好きじゃないんだなこの曲が」と思わせるほどだった。それがここではまさにこれこそが「法悦の詩」だ!と膝を打つほど迫真味のある演奏になっている。録音の悪さなどどうでもいい。別の曲が混信してようが構わない。そういう演奏が世の中には確かに存在し、これもまさしくその一つといえる。最後、静寂の中ハープの煌くような音がきっちり捉えられていて印象的だった。美しい。確かにこれはロシア近代の名曲であり、19世紀のワグナーを前提に20世紀音楽の起点で輝く楽曲であると思わせるに足る力のある演奏である。◎。

※2004年以前の記事です
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