20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

オネゲル:交響曲第4番「バーゼルの喜び」

2017年06月14日 | Weblog
ロザンタール指揮ORTF(ina配信)1956/3/23放送

前年11月27日に亡くなったオネゲルを讃えると称して催されたコンサートによる放送記録(恐らく一度のコンサートだと思われるが間隔があり、データにはメインの歌劇「ユーディット」しか記載されておらずこの計二曲がプログラムの全てだったかどうかもわからない)。優秀なモノラル録音で、ロザンタールらによる長い解説やコメントも入っている。追悼コンサートにしてはいきなり喜びなわけだが、逆にフランス、スイスの青空を思わせるこの曲が選ばれたのもわかる気がする。冒頭のコンマスソロから音程が狂っていてグニャグニャになるがそれがむしろ全体の暖かな調子に合っていて、バッハに倣えという言葉が解説にも入ってはいるがベートーヴェンを強く意識した構造的な曲であり、それを田園交響曲として仕上げたのである。峻厳さは殆ど表面に浮き上がらず高音の横の流れと響きの繊細さ、きらびやかさに重点を置いているのはロザンタールらしい。映画音楽的な、あるいはオネゲル得意のコード進行で気を煽るところはすこしヒンデミットのやり方にも似た微笑ましい常套手段である。とんだソロから始まってすぐ一楽章は僅かに他の交響曲群の晦渋な響きをくゆらせながらもかつての「夏の牧歌」の調子に、後期シベリウスのような手法まで交えながら進む。二楽章も重くならず民謡旋律を使い美しく、三楽章ときたらまるでルーセルの組曲のようなリズミカルで空っぽなところを晒しながらもマニアックに書き込まれたところを随所にしのばせ盛り上げたあとにウィットに富んだ映画音楽的な、まるでミッキーマウス映画の○が小さくなって消えるような締め方をする。このへんは千両役者のロザンタールの面目躍如である。逆にロザンタールはこの曲以外の交響曲は振れなかったかもしれない(心情的にも)。じつに気分のいい、人間的な演奏。拍手もそこそこにコンサートはそのまま進む。
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