○カガン(Vn)グートマン(Vc)(MELODIYA)
<ドビュッシーの想い出に捧げられた二重奏。いくつかの企画と同時進行し中仲進まず、 1楽章だけ先に雑誌発表されている。4つの性格分けされた楽章を持つが、どれもラヴェルらしい哀しく儚げな旋律に彩られており魅力的だ。しかしかつての「甘み」はそこにない(もう二度と無い)。ストラヴィンスキーよりミヨーを思わせる複調性が特徴で、独立した2本の旋律線が動きの上でだけ対位的に組み合わされ、剥き出しの尖鋭な響を獲得している。「ラヴェルの前衛」の或る意味最も先端に近い作品のひとつである。本人は同曲について言い訳めいた言葉を残しているが、量で比較されたミヨーの作品とは本質的に異なる性質のものであり(前衛としてのミヨーを意識していたことは間違いないものの)、同作の価値は言葉通りには低くはない。2楽章スケルツオのピチカートは弦楽四重奏以来の定番だが、比較的分かりやすい形でブルースが盛り込まれており、ジャズには聞こえないが、面白く聞ける。ここで噴出したリズム性は終楽章の「機械仕掛けの兎」で爆発するが、ヴァイオリン・ソナタより取り付きやすい。ロシア的終楽章の趣がどことなく感じられる。モランジュとマレシャルが初演した。>
繊細だがしっかりした音。しかも両者殆ど同じ音色で絡み合うのが面白い。さすが夫婦である。ただ、弓 圧のかけかたや音量に差はあるものの、最初から最後まで二人とも音色が変わらないから、けっこう飽き てくる。2楽章など力強く正確だが求道的すぎる。もっと軽音楽風に遊ぶべき楽章だ。終楽章もいささか 生真面目すぎる。折角の愉悦的な舞曲がバロック時代の頭でっかちな音楽になってしまったような感じす らする。この室内楽はラヴェルの実験的作品としてどちらかというとマイナー扱いされてきた曲だが、単 旋律に剥いてみるととても美しくラヴェルらしい抒情味たっぷりの名旋律だらけ。それが二本の楽器各々 にバラバラに振り分けられ、和声的な調和をほとんど考慮せずに単に律動の絡み合い(1楽章の後半など 二本が少しずつズレていくさまが気持ち悪い!!)だけで表現していこうとするから、結局譜面を見なが らでないとわけがわからない晦渋な曲という印象を残してしまう。ひたすらマニアックな、パズルのよう なアンサンブル(これをアンサンブルと呼べるのであれば)であるがゆえにここまでしっかり弾かないと 曲にならないと感じたのだろう、と邪推する。カンペキなんですけどね。。。技術的な面のみ、○。ステレオ。
※2004年以前の記事です。
<ドビュッシーの想い出に捧げられた二重奏。いくつかの企画と同時進行し中仲進まず、 1楽章だけ先に雑誌発表されている。4つの性格分けされた楽章を持つが、どれもラヴェルらしい哀しく儚げな旋律に彩られており魅力的だ。しかしかつての「甘み」はそこにない(もう二度と無い)。ストラヴィンスキーよりミヨーを思わせる複調性が特徴で、独立した2本の旋律線が動きの上でだけ対位的に組み合わされ、剥き出しの尖鋭な響を獲得している。「ラヴェルの前衛」の或る意味最も先端に近い作品のひとつである。本人は同曲について言い訳めいた言葉を残しているが、量で比較されたミヨーの作品とは本質的に異なる性質のものであり(前衛としてのミヨーを意識していたことは間違いないものの)、同作の価値は言葉通りには低くはない。2楽章スケルツオのピチカートは弦楽四重奏以来の定番だが、比較的分かりやすい形でブルースが盛り込まれており、ジャズには聞こえないが、面白く聞ける。ここで噴出したリズム性は終楽章の「機械仕掛けの兎」で爆発するが、ヴァイオリン・ソナタより取り付きやすい。ロシア的終楽章の趣がどことなく感じられる。モランジュとマレシャルが初演した。>
繊細だがしっかりした音。しかも両者殆ど同じ音色で絡み合うのが面白い。さすが夫婦である。ただ、弓 圧のかけかたや音量に差はあるものの、最初から最後まで二人とも音色が変わらないから、けっこう飽き てくる。2楽章など力強く正確だが求道的すぎる。もっと軽音楽風に遊ぶべき楽章だ。終楽章もいささか 生真面目すぎる。折角の愉悦的な舞曲がバロック時代の頭でっかちな音楽になってしまったような感じす らする。この室内楽はラヴェルの実験的作品としてどちらかというとマイナー扱いされてきた曲だが、単 旋律に剥いてみるととても美しくラヴェルらしい抒情味たっぷりの名旋律だらけ。それが二本の楽器各々 にバラバラに振り分けられ、和声的な調和をほとんど考慮せずに単に律動の絡み合い(1楽章の後半など 二本が少しずつズレていくさまが気持ち悪い!!)だけで表現していこうとするから、結局譜面を見なが らでないとわけがわからない晦渋な曲という印象を残してしまう。ひたすらマニアックな、パズルのよう なアンサンブル(これをアンサンブルと呼べるのであれば)であるがゆえにここまでしっかり弾かないと 曲にならないと感じたのだろう、と邪推する。カンペキなんですけどね。。。技術的な面のみ、○。ステレオ。
※2004年以前の記事です。