20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第1番

2017年06月14日 | プロコフィエフ
○エンドレス四重奏団(VOX)LP

プロコフィエフ屈指の美旋律に貫かれた曲である。殆どがファーストによって歌われるがゆえに(かといって非常にマニアックに作りこまれた内声部の独特の構造こそが聴き所でもある)「音質」というのは非常に重要で、これは室内楽とくに弦楽アンサンブル録音全般に言えることだけれども、アナログに勝るものはない(アナログに対してデジタル以外何があるかとかいう突っ込みは無視)。音の厚み、ざらざらした肌触り、柔らかさは絶対条件だ。弦楽器ならではの横の流れで有機的につながっていくべき音楽を、断ち切るようなエキセントリックな変化が要求されないかぎりデジタルの「断続的な音」はそぐわない。「音」が出来た上でアンサンブルとしての正確さにプラスアルファ解釈が伴えばいい。キンキン金属質の鋭く耳にきつい、つるつるした音で、ただ譜面からの正確さを売りにした「ように聞こえる」録音が増えてしまうのは、CDに代表されるデジタル音源の欠点の裏返しである。この盤は50年代までの雄渾で柔軟な演奏スタイルによるものであることに加えて、そういったアナログのよさを改めてわからせてくれる音を持っている。

この演奏は1楽章こそやや客観性が感じられるが、若々しさを越えて演奏精度と表現力の調和が板についているさまは聴き心地よく、ただでさえ凄まじいアンサンブルが弾ける2楽章において、絶頂的な表現が聴かれる。全般確かに強い個性は無いが、この楽章では細かく施されたアーティキュレーションが完璧に表現されており、この瞬発力が売り物のような楽章でよくもまあこんなに表情から音量から微細な変化、起伏をしっかり揃えて演奏できるもんだと感服する。しかも非常にアタックが強く、気合が感じられる(そうしないと揃わないんだろうけど)。この楽章の細部に至るまで完璧なアンサンブルは他には無いものに聞こえた。もちろん、これも旋律音楽ではあり、息の長い旋律を太筆で描くように、倍音を豊かに響かせつつうねらせていく有機性も必須で、その点でも素晴らしい。これこそデジタル音源化したら損なわれそうな美質だ。終楽章はどこがやっても似たり寄ったりになるほど素晴らしい挽歌だからここでも特徴的なものは聴かれないけれど、悪くは無い。2楽章だけだと◎でもいいのだが、○。

2番

※2008/7/10の記事です。
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