20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆ヴォーン・ウィリアムズ:幻想五重奏曲

2017年07月15日 | ヴォーン・ウィリアムズ
◎メディチ四重奏団、ローランド・ジョーンズ(Va)(nimbus)CD

大田黒元雄氏がロンドン滞在中に初演を聴き、その透明な美観を賞賛した曲である(氏はロンドン交響曲初演も聴き2楽章を賛じた)。氏は接いでサモンズのロンドン四重奏団他による演奏をも聴き、日本にも通じる感覚として「尺八のよう」ともしている。これは両国に共通する民謡音律が多用されていることからくる表層的な感想と思われる半面、ラヴェル師事後「フランス熱」をへてから極度に単純化していったRVWの書法を言い当てている部分もある。この曲にはまったく民謡ふうの旋律線と単純な響き、それほど特殊ではない変則リズムがある他にこれといって複雑な構造もなく(構造的ではある)、RVW特有のノンヴィブによる全音符表現がしんと静謐な田園風景の象徴としてあらわれる(これが「幻想」でもあり、オルガンやバグパイプの模倣と言われることもある)ところが最も印象的である。田舎ふうの音線も洗練された音響感覚によって下品さが感じられず、氏はフランスとロシアの影響を指摘してはいたが、寧ろこれはロシア→フランス→と変化進展していった室内楽書法のひとつの末なのである。この演奏は震えるようなヴァイオリンの音が美しく、ヴィオラが支配的な書法(RVWやバックスは室内楽で常にヴィオラを重用した)ではあるものの天空にひとり舞い上がる雲雀の滴らす一声のように高らかに哀しく響くのがあっている。ここまで装飾的要素が削ぎ落とされた作品はRVWでも珍しいが(しかも五本の楽器を使用しているのだ)、その意図がどこまでも透き通った「幻想」にあることを思うと、そこにささやかな感傷の震えをくわえた演奏ぶりは一つ見識であると思う。◎。

※2008/1/10の記事です
『音楽』 ジャンルのランキング
Comment   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ラヴェル:ボレロ | TOP | ☆ドビュッシー:三つの交響的... »

post a comment


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Related Topics

Trackback

Trackback  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。