20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌

2017年06月09日 | ドイツ・オーストリア
◎シュヴァルツコップ(Sp)バルビローリ指揮ロンドン交響楽団(vibrato:CD-R)1969/9/28live

いまさらケミカルのStarGuitarを聴いたりm-floのベスト(こりゃいいです)聴いたりと無茶苦茶な音楽生活なわけだが・・・それでハウスマンの詩を訳したりしている・・・、楽器のほうはイベールやメシアンやマーラー、バッハなどこれまた無茶苦茶である。で、いきなり思いつきで滅多に聴かないリヒャルトなど聴いてみたりする。コントラストで心地いい。命と季節のうつろいにまなざした1曲目「春」2曲目「9月」に顕著な恍惚感・・・浮遊感のある生ぬるく明るい和声展開はワグナーより派生したリヒャルト独自のもので、同時代に幾多の追随者を生んだ。しかしリヒャルトにはどうしても量産家としての宿命、「消費者サービス」の過剰さがつきまとう。だから大衆におもねったような巨大な歌劇などはなかなか聴く気になれないし、初期から最盛期以外の作品がこの曲のようなものを除き余り現在俯瞰的に演奏されないのもわかる気がする。この曲のように小さな曲は端的に作曲家本来の姿を示してくれるのでわかりやすく、感情移入もしやすい・・・短い曲に慣れた現代の大衆音楽好きには。人気もわかる。リヒャルトがプロフェッショナルとしての能力技能を見せ付けることや世事の喧騒に巻き込まれることから離れて、もはや音楽的冒険なども意識しなくてもよく、名声も望むべくも無い晩年の末(1948)の作品、そこには先鋭さより素直で穏やかな感情があらわれ、ワグナーからの影響もてらいなく披露し、戦後になって初めてマーラーに接近したような諦念と陶酔の世界が展開・・・2曲目「9月」以降あきらかにマーラーの同時代者としての直接的感傷(意図しているようにも聞こえる)を掻き立てられる。暗示的な3曲目「眠りにつくとき」の古風な穏やかさから、圧倒的に終曲「夕映えの中で」が感動的であり、これはこの歌曲集で最初に着想され作曲されたものだが、非常に長い穏やかで美しい後奏にマーラーの終楽章・・・「千人」終盤の雰囲気の中に「大地の歌」告別のテーゼが織り込まれたようなもの・・・を連想するなというほうが無理な話だ。歌劇の終幕のように壮大でいながら歌詞は死を示唆しており、それは断ち切れた死ではなく薄く明るく消え行く死の一種の理想形である。このバルビとシュヴァルツコップによる「絶唱」は、バルビがなぜリヒャルトをそれほど録音しなかったのかわからないくらいの名演である。バルビは晩年様式に依っており、イギリス的な清浄で明るい響きを柔軟に操り透明感のある巨大な音楽を波打たせ、シュヴァルツコップは波頭に立つ海の女神のように崇高な声を解き放つ。ロマンティックであるにもかかわらず生臭くないのはバルビ特有の表現だが、ペシミスティックにならず満ち足りた表情をとるべき曲である、バルビにマッチした選曲でもあるのだ。穏やかで感情を抑制したシュヴァルツコップの表現もまたバルビの世界観と一致している。音楽のゆったりと波打つさまにただ漂いながら、時折不安な和声に心揺らしつつも、ただ消え行くことに身を委ねる・・・これはねえ・・・なぜ正規化しない?◎。

(なぜかメゾソプラノと表記してました、すいません)

ソプラノ歌手のシュワルツコップさん死去
 オーストリア通信などによると、1970年代に引退するまでマリア・カラスらと並び20世紀の最も偉大なソプラノ歌手の1人とされたエリーザベト・シュワルツコップさんが3日、オーストリア西部のフォアアルルベルク州シュルンスの自宅で死去した。90歳。死因は不明。

 15年12月、現ポーランドのヤロチン生まれ。ベルリンの音楽学校で才能を見いだされ、38年にベルリンでオペラ歌手としてデビューした。

 モーツァルトなどのオペラを得意とし、ウィーン国立歌劇場などで活躍。カラヤンやフルトベングラーといった名指揮者たちと共演し、ザルツブルク音楽祭といった欧州を代表する音楽イベントにも出演した。

 引退後、かつてナチスに関与した過去を認めたが、歌手生活を続けるためだった、などとしていた。

(2006/8/4 ニッカンスポーツより)

※2006/7/30の記事です
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シュヴァルツコップ死去 (20世紀ウラ・クラシック!<最新版>)
予感というのはたびたびあるものですが、記事を書いてまもなく亡くなられたというニュースを聞くのは悲しいですね。。 3日亡くなられたそうです。90歳。
眠りに就くとき (Wein, Weib und Gesang)
戦後ドイツのオペラ歌手を代表するエリザベート・シュヴァルツコップ女史が山岳観光で賑わうモンタフォン谷の拠点シュルンツの自宅で木曜日に亡くなった。90歳であった。そう言えばザルツブルク祝祭劇場で元気な姿を度々お見かけしてから大分経つ。 近年は、デヴ ...