20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

フランク:ヴァイオリン・ソナタ

2016年12月24日 | Weblog
マカノヴィツキー(Vn)ノエル・リー(P)(meloclassic)1963/2/13ハンブルグ放送用スタジオセッション録音・CD

少しミルシテインを思わせる彩もあるが、落ち着いた澄んだ音が特徴的。ヴァイオリニストには珍しくないが子供期にすでにデビューしロシア系をはじめとした各楽派をまなんだようで、凝り固まったところのない比較的新しい人なので録音の良いのも含めて、雑味なくクラシックに疎い人に勧めても安心できる系統の演奏。いかにもフランス的な美学も感じられる点は伴奏のノエル・リーとの対話によるものか、リーについては言うまでもあるまい。このコンビの音は合っている。力づくであったり、旋律と響きの顕な曲にあって情緒をおおいにアピールすることも可能な曲である以上プロは、他者との差異を示すことはむしろ難しい。技巧的フレーズが無いわりにモダンさの表面にある和声の上において、音色変化をどう付けるか、「付けないのか」。このソリストは正直音色変化は付けないタイプで、しかもテンポ変化はかなり穏やかというかおおまかにはインテンポ感があるから安定感と裏腹のつまらなさを感じる向きもあるかもしれない。一楽章展開部でのリーとのアンサンブルはしかし、素晴らしい組物になっていて、これはヴァイオリンソナタではなくヴァイオリンとピアノのためのソナタなのか、と思わせる書法の的確な再現をなしている。二楽章は特有のゆったりとした歌が、揺らぐピアノの上で雄大な旋律の波を起こし、チャイコフスキーの憂愁を思い出させる点もある。この楽章つまんない、と流すのではなくフランクの形式主義をしっかり汲んだ優れた楽章となっている。その深い表現のためかそのまんまでも十分軽やかがゆえのコントラストをつけられる三楽章にすんなり入ってしまう。変わらぬ音色、安定感のサラサラはしかし、メロディのロマンティック過ぎる曲には悪くない。「偉大な芸術家の思い出」の長大な第二部変奏曲群を思い起こしていただきたい。まるきりあの感じがある(ここでは良い意味で使わせてもらう(たいてい私はあの曲を悪い意味で使う))。近視眼的な変化は一切つかない。終盤ほんのわずかにタメが入るだけだ。「若い」演奏ぶりとも言えるがこれはこれでいい。曲が若いのだから。清々しく若々しい。この曲はこのくらいがいい。
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