20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆ヤナーチェク:狂詩曲「タラス・ブーリバ」

2017年12月08日 | Weblog
◎ターリッヒ指揮チェコ・フィル(SUPRAPHON)

モラヴィアの作曲家ヤナーチェク。ロシア国民楽派に傾倒し、その手法をモラヴィア音楽に適用して独自の歌劇形態を確立した。その作品は歌劇のみならずバレエ音楽、純管弦楽や室内楽など幅広く、印象派以後の新しい音楽に対しても積極的に関心を示した。その音楽には前世紀的なロマン性と同時に鋭い現代性が感じられ、1854年生まれの作曲家とは思えない清新な作風を持っている。このタラス・ブーリバは代表作といってもいいだろう。ゴーゴリのテキストによる英雄叙事詩的な内容の作品だが、純粋に音楽だけを聴いても十分楽しめる。鐘やハープの効果的な響きがちょっとマーラーやスクリアビンを思わせる。私は表題音楽というものが苦手で、表題のついている作品でも音楽だけを聴くようにしている。この作品はテキストに沿って聴いても面白いかもしれないが、それがないほうが想像力をスポイルされずに楽しめるような気もする。

2曲目冒頭他の精妙な音世界は多分に夢幻的。前曲から続くテーマが意外な形で注意深く挿入されており、面白い。国民楽派的な表現も目立ち、一部ワーグナー的な感もしなくはないが、それらをあくまで手法の一部として吸収して、独自の緻密な作風にとりまとめているといったふうだ。きらめくように連なる音楽絵巻はグリエールのイリヤ・ムーロメッツを思い起こすが、それより数倍凝縮され洗練された音楽といえよう。ターリッヒの腕はここでは冴え渡っている。国民楽派的な表現は言わずもがな、静かな場面では印象派的な(もしくはシベリウス的な)精妙な音楽を紡ぎだしており、ターリッヒが意外にも繊細な感性の持ち主であったことに驚く(ターリッヒというとチェコのトスカニーニかムラヴィンか、というところがあるから)。録音状態もターリッヒにしてはかなり良い方だと思われる。明るく澄み渡った音はチェコ・フィルの独壇場。この盤は古典的名演として記憶に留めるべきものだ。

※2004年以前の記事です
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