20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

☆チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

2017年06月02日 | チャイコフスキー
○パレー指揮デトロイト交響楽団(DA:CD-R)1963/1/9live

1楽章は雑な始まりかたでやる気を感じないが、緩徐主題の異常な素っ気無さは健在。ここまで新即物主義的な表現だとかなり変な感じがする。さっさと終わらせられるしっとりした場面のあと、テンペストってかんじのトゥッティに入るとオケの集中力が一気に凝縮され爆発。凄まじいパレーが聴けて、ここに持ってくるための布石か、と思わせる。このあたりの力強い揃い方は冒頭と同じオケとは思えない。緩徐主題の回想はスピードこそ速いインテンポなものの、弦の総力を結集して思い切り歌いあげる。こういう設計なのである。運命の鼓動がリズミカルに刻まれ爽やかに終わる。ほとんどおんなじ調子の2楽章も力強いテヌートで貫かれ、速いインテンポのまま音量変化で曲想を継いでいく。「チャイコの憂い」は足りないが無いわけではない。

3楽章冒頭からはさすがにこの高速でスピッカートが維持できず一流オケとの差が出てしまう。反面管楽器群のアグレッシブでスリリングな吹奏は拍手もの。ティンパニもダンダン響いて、音楽は恐竜パレーの独壇場になっていく。ある意味トスカニーニより新即物主義を貫いた演奏と言えるだろう。ここまでドライに突き通したスポーティなライヴはなかなか無い。雑味はあるけど、客席で聴いていたら間違いなく圧倒される怪演。ガシガシという軍隊行進曲のようなリズムに、黄金期デトロイトの自動車工場の機械音を聴け(謎)いつまでもスヴェトラとか言ってんじゃないよ。表現の幅ではミュンシュには及ばないけど。それにしても案外素晴らしいのは管楽器。アグレッシブな木管に拍手。いや拍手には早い。

4楽章はさすがにやつれた表情をきちんと出してくる。ある意味常套的でもある。やや即物的表現を保ちスピードもつんのめり気味なところもあるが、テンポ・ルバートが巧みに取り入れられていて違和感がない。意外と泣きの旋律に感情移入して、歌っている。フランスはチャイコ嫌い国と言われながらも結構好む指揮者がいるのだ。とにかくスピードが速いのであっという間に死の挽歌が低音ブラスから提示され、弦が入ると分厚くスピーディにちょっと盛り上げてしまうけれども、低弦が強く音量バランス的に突出はしない。余韻の無い演奏で心臓はあっさり発作的に止まり拍手も入りやすそうだ。独特の悲愴ではある。○。

(参考)パレーは協奏曲伴奏以外にチャイコの大曲を正規録音していない。かわりにこれまた独特のラフマニノフの2番シンフォニーを挙げておく。
フランク:交響曲
パレー(ポール)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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※2008/6の記事です
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