私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「サンシャイン・クリーニング」

2009-08-04 21:20:05 | 映画(さ行)

2009年度作品。アメリカ映画。
高校時代はチアリーダーでアイドルだった姉・ローズ。30代の今はシングルマザーで仕事はハウスキーパー。妹・ノラはいまだに父親と同居、バイト先はクビに。何事もうまくいかない姉妹に、転機は突如として訪れた――。恋人から「大金が稼げる」と聞いたローズは、ノラを誘って事件現場をクリーニングする清掃業を始める。その名も”サンシャイン・クリーニング”。人生にぶきっちょな家族が、新しいビジネスで生活を立て直そうとする。
監督は「シルヴィア」のクリスティン・ジェフズ。
出演はエイミー・アダムス、エミリー・ブラント ら。



映画の内容を一言で語るなら、姉妹の映画である。
姉はシングルマザーで、むかしの男と不倫を続けている。妹はバイトをクビになってプーだ。
そういう姉妹の映画――あんまり使いたくない言葉だが、世間的に見るなら、姉妹は(父も含め)負け組の部類に入る。

姉は鏡の前に立ち、「You are strong. You are winner.」とか自分に言い聞かせているけれど、そう言い聞かせている時点で、彼女自身、そんな風に自分を信じ切れていないことを示しているようなものだ。


そういう何をやるにもうまくいかない家族の姿をコミカルに描いているので、それなりにはおもしろい。
だが、ふうん、という程度の関心しか呼び起こさなかった。

その理由がなぜかはうまく言えないけれど、多分、引っかかるものの少ないからだと思う。
見ていて飽きるということはないのだけど、このシーンが良かったとか、そういうのは特になく、訴えるポイントには乏しい。個人の嗜好もあるとは思うけれど、全体的にどうもパンチが弱いように見える。


だがそうは言ってもこの映画には、いいなと思う面ももちろんあるのである。
それは先に触れた、コミカルな雰囲気に依るところが大きい。
テンポよく見せてくれるので、集中力は切れないし、コミカルなので人生に上手くいかず、失敗続きの姿を描いていながら、暗い雰囲気はない。
そのあたりの演出力はさすがだ。

それに失敗続きの姉妹の姿を、優しい視線で描いているのも良かったと思う。
人によく見られたいとか、もうちょっとマシな人間になりたいとか、金を得たいとか、そういう誰もが持つ感情を抱え生きながら、報われることのない普通の人たちを、突き放すでもなく描いている。
その描き方の暖かさは印象深い。そしてそれゆえに、さわやかな一品に仕上がっている。

何かが足りない感は否めない。だが映画自体の雰囲気はすてきな作品である。

評価:★★★(満点は★★★★★)


出演者の関連作品感想
・エイミー・アダムス出演作
 「ダウト ~あるカトリック学校で~」
・アラン・アーキン出演作
 「リトル・ミス・サンシャイン」

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