2011年度作品。アメリカ映画。
特殊な力を身に着けてしまったがために、その力に翻弄されていく3人の高校生の姿を描く、SFサスペンス。
監督:ジョシュ・トランク。
出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセルら。
低予算ながらアメリカでヒットした作品と聞いたが、それも納得のおもしろさである。
よくできたSFアクションと言ってもいいだろう。
物語は謎の穴に入り込んだ高校生三人組が、ひょんなことからテレキネシスを手にするといったところだ。
映像は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「クローバーフィールド」などのいわゆるモキュメンタリー形式で描かれており、なかなか見せ方がおもしろい。
宙に浮くときのシーンや、カメラを浮遊させて撮るところなど、凝った撮影が為されており、目を引いた。
物語ももちろんおもしろい。
能力を手にしたのが三人の男子高校生ということもあって、彼らは大いにはしゃぎまくる。
スカートめくりや、おもちゃ屋でのいたずらなど、ガキっぽい遊びはいかにも男子らしい。
空を飛んで遊ぶところなど、浮遊感が大変心地よかった。
見ているだけで楽しい気分になれるところが良い。
そんな三人のうち、主人公アンドリューは元々冴えない高校生活を送っていた。
同級生にはからかわれるし、父親からは理不尽な暴力も浴びている。愛する母は病気に苦しむなどそれなりに大変であるらしい。
そんな中でテレキネシスを手に入れ、希望をつかんだかに見えるのだが、結果的に女の子との恋も実らず、父親との関係もひどいままだ。
そうして彼は闇を抱えることになる。
その流れはいくぶんやりすぎじゃないかな、と思ったことは否定しない。
しかしその末に巻き起こるカタストロフィには、すなおに見惚れてしまった。
見ているだけでドキドキできるのがいい。
しかもラストは必然ではあるけれど、あまりに悲しく、その点にもまた感服してしまう。
アンドリューに必要だったのはまちがいなく愛だろう。
もっと彼を愛し、理解してくれる人がいれば、これはまちがいなく防げた悲劇だ。そう思うだけに何ともせつない。
ともあれ、高揚感と男子高校生らしい三人の姿と、最後の切なさが、心に残る一品だ。
個人的には結構好きである。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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