2006年度作品。日本映画。
日本犯罪史上最大のミステリー、三億円事件の犯人は女子高生だった。そんな大胆な仮説をもとに描いた中原みすずの原作を映画化。
監督は塙幸成。
出演は「NANA」、「好きだ、」の宮崎あおい。「パッチギ!」の小出恵介 ら。
目立って良くもないし、目立って悪くもない。普通としか言いようのない作品である。
本作で真っ先に気になったのは前半のテンポの悪さだ。
人物自体はいろいろな面々が揃っているのに、その描き込みは極めて中途半端で、物足りない。一応主人公のみすずは孤独であるということは伝わってくるし、主犯となる岸がなぜ権力に反発するのか、という理由も全体を見れば何とはなく理解できる。だがその描写は薄くて、心に響いてこない。
一番ひどいのはみすずの兄だろう。全く描きこみが足りず、一体彼は登場する意味があったのか疑問に思う。
良かった点は三億円を強奪するくだりだろうか。それなりに緊迫感もあったし、ハラハラしながら見ていることができる。
それにみすずと岸の関係の描き方も心に染み入るようだ。
ラストの詩はあざといというか、古典的で若干ひいたけれど、それでも全体を見たときにそこはかとなく漂う、「初恋」というタイトルの意味が伝わってきて麗しいものがあった。
パンチとしては弱い作品という気もする。まったり味わう分には良いのかもしれない、といったところであろうか。
蛇足だが、元ちとせの歌が心に響いた。この映画の雰囲気にマッチしていたと思う。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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