私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「アーティスト」

2012-04-16 21:23:30 | 映画(あ行)

2011年度作品。フランス映画。
1927年のハリウッド。サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは、ふとしたハプニングで女優志願のペピー・ミラーと出会う。やがてジョージは、オーディションを受けにやってきたペピーと再会。その日を境にペピーはエキストラから少しずつ上位の役をものにする。1929年、トーキー映画が登場。しかしサイレントにこだわったジョージは、自ら監督・主演した映画が失敗し、失意のどん底に。一方、ペピーは大スターになっても、ジョージを思う気持ちは変わらなかった。アーティスト - goo 映画
監督はミシェル・アザナヴィシウス
出演はジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョら。




ストーリーは平凡だが、趣向はおもしろい。
それが「アーティスト」に対する僕の感想だ。


実際ストーリーはそんなに目新しいものでもない。
サイレント映画の売れっ子俳優が、トーキーの時代が来て場を失っていく。一方目をかけていた女優がトーキー映画の花形になっていく。
そういった展開は、ありがちと言えばありがちだ。
ただ俳優の悲しみや屈辱などがじんわりと伝わってきて、じんわりと心に届く内容にはなっている。

とは言え、そういった雰囲気作りも、全編サイレントということもあって、いくらか弱められているように、個人的には感じられた。
なんだかんだ言っても、声には場の空気を伝える力はある。
そのせいか、いいと思いながらも、いまひとつ、という感じがどうしても抜けなかった。
要は、僕の趣味の問題らしい。


でもサイレントという趣向で挑もうとした気概はすばらしい。
サイレントを生かした演出も見られ、アイデアを駆使しているのが伝わり、好ましく思う。

それにサイレントだからこそ、音が出るシーンには、強い印象が生まれるのだ。
実際、ラストのタップダンスシーンなんかは、見ているだけでテンションが上がった。このアイデアは本当に良かったと思う。


それに音だけでなく、犬の使い方もこの映画は良い。
前評判は聞いていたが、アギーという犬の演技巧者っぷりにはつくづく感心してしまう。
撃たれたときに倒れる演技はかわいらしいし、ちんちんするところはユーモラスだ。

それでいて飼い主思いだからかわいさは倍増だ。
警官を呼びに疾走するシーンの健気さは、犬好きでないにもかかわらず心に残る。


個人的には物足りない部分はある。しかし見るべき要素も多い。
「アーティスト」は受ける人には確実に受ける映画なのだろう、と思った次第だ。

評価:★★★(満点は★★★★★)

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