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113章解説

2011年09月03日 | ジュズ・アンマ解説

(2011/9/3訂正・加筆)

بسم الله الرحمن الرحيم
113章解説
1. 言え、「黎明の主にご加護を乞い願う。
2. かれが創られるものの悪(災難)から、
3. 深まる夜の闇の悪(危害)から、
4. 結び目に息を吹きかける(妖術使いの)女たちの悪から、
5. また、嫉妬する者の嫉妬の悪(災厄)から。」

この章は、アッラーから預言者(平安と祝福あれ)と信徒たちへの、あらゆる恐れや悪からアッラーへ避難するようとの指導です。

マッカ啓示と言われていますが、正しくはマディーナ啓示の章です。ユダヤ人たちがマディーナで預言者(平安と祝福あれ)に魔法をかけたのがきっかけです。次に続く114章もマディーナで一緒に啓示されたと言われています:《ある夜、私にかつて見たことのないような章が啓示された。(それらは、)「言え,「梨明の主にご加護を乞い願う。」と「言え,「ご加護を乞い願う,人間の主」である。》(ムスリム、アッ=ティルミズィー、アン=ナサーイー他)

この章が啓示された背景を見てみましょう。真正ハディースに述べられたように、アーイシャ(御満悦あれ)によって伝えられた、ラビード・イブン・アル=アウサムというユダヤ人がアッラーの使徒(平安と祝福あれ)に魔法をかけた話の中にそれは見出せます。この男の娘である「結び目に息を吹きかける(妖術使いの)女たち」がアッラーの使徒(平安と祝福あれ)に11個の結び目で魔法を実際にかけたところ、アッラーは結び目と同数の11節の章である、ムアッワザターン(二つの加護を求める章、つまり113と114章)を啓示し給いました。その後預言者(平安と祝福あれ)は回復したということです。ここで、現代の学者の中に、この話をユダヤ人が人々に預言者(平安と祝福あれ)に対して疑いを持たせるためにねつ造したものだとする見解を持つ者がいることも付け加えておきます。その根拠は、「アッラーは,(危害をなす)人びとからあなたを守護なされる。」(5章67節)、「本当にわれは,嘲笑する者に対し,あなたを十分に守ってやる。 」(15章95節)です。

まずこの章は、「言え、「黎明の主にご加護を乞い願う」の言葉で始まっていますが、ファラク(فلق)は「黎明」の他にいくつか別の意味があります。何かが割れることや、何かからはっきりと現われることなど。黎明と呼ばれるのは、夜から朝が生まれる様子が由来であると言われます。「かれは、夜明けを打ち開く御方」(6章96節)他に、ファラクは被造物すべてや、すべての存在という意味を持つとも言われています。それらすべては、無という覆いの中に隠れていましたが、アッラーはそこから創造によって被造物の姿を現せ給いました。「穀粒や堅い種子を裂き開くのは、本当にアッラーである。」(6章95節)アッラーは枯れた種にひびを入れ給い、そこから緑色の草を生えさせ給い、固い種子を割り給い、そこから大きな木を生えさせ給うのです。

クルアーンは私たちに、黎明の主、もしくは万物の主に避難することを教えてくれます。「かれが創られるものの悪(災難)から」つまり、アッラーが作り給うたあらゆる悪から、ということです。この簡潔に表わされた節は、この世界に起こり得るすべての悪を描写しています。

「深まる夜の闇の悪(危害)から」は、暗くなる夜の悪を指しています。夜というものは、恐怖と震えが備わっているものですが、夜に起こると思われる盗難や事件といった出来事への恐れを多くの人に植え付けます。他に、危害を加える猛獣や毒を持つ虫への恐怖も含まれるでしょう。特に田舎などに滞在する人たちのそれらに対する恐怖はさらに大きなものです。そこで至高なるアッラーは、自己防衛のための準備を十分にしたうえで、アッラーに逃げ場を求めること、つまり自身の心をアッラーにゆだねることを信徒たちに命じ給いました。

「結び目に息を吹きかける(妖術使いの)女たちの悪から」の女たちは、魔法使いだと言われています。その理由は、魔法使いは危害を加えたい相手に呪文を唱える際、糸を使うのですが、それを結びながら魔法が成立するために、結び目に唾を吐きかけていくからです。魔法は悪魔によって指導されるものだとクルアーンの中で述べられています。

「また、嫉妬する者の嫉妬の悪(災厄)から」の言葉でアッラーはこの章を結び給います。嫉妬(حسد)は、他人が享受している恩恵が消え去ることを望む感情です。しかしその恩恵が無くなってしまうよう望まず、それと同じようなものが自分にもあればと望むことは嫉妬ではありません。それが服従行為であれば、より好ましいものです。イスラームにおける合法な二種類の嫉妬は、預言者(平安と祝福あれ)が次にお示しになったとおりです:《嫉妬は二つしかない。アッラーが財産を与え給い、真実においてそれを消費する権力を与えられた者と、アッラーが叡智を与え給い、それによって裁定し、それを教える者。》(アル=ブハーリー)

実はこの嫉妬が、天と地でアッラーに対して犯された最初の罪なのです。イブリースはかつて天上でアーダムに大きく嫉妬しました。彼の嫉妬は、アッラーによる「アーダムにサジダ(跪拝)する」という命令に背かせるほどのものでした。「彼(イブリース)は言った。「あなたが泥で創られた者に、どうしてサジダしましょうか。」」(17章61節)とクルアーンにあります。ここでのサジダは、崇拝的な意味を持たない、敬意を表するものです。そこでアッラーはイブリースを天国から追放し給い、審判の日まで続く呪いを彼にかけ給うたのです。代わって地上で起こった最初の嫉妬は、カービールがハービール(両人とも最初のの人間であり預言者であったアーダムの子。)に対して抱いたものです。ハービールを殺害させるほど激かった彼の嫉妬の原因は、アッラーが彼の供え物は嘉納し給わず、兄弟であるハービールの供え物を嘉納し給うたためです。

この章は、人間を「恐怖」からの解放へ導いてくれています。心理学でも理解されているように、「恐怖」は精神と身体に破壊的な影響を与えます。人々に「恐怖」が覆いかぶさると、彼らのモチベーションは低下してしまい、自信もなくなってしまいます。以上は精神に与える影響についてですが、「恐怖」が身体に与える影響に次のようなものがあります。心拍数の増加、筋肉の不安定による影響は胃にもおよび、痛みとなって現れます。また震えと虚弱感が生まれます。

至高なるアッラーは、かれに避難することで、人間から恐怖心を取り除きたいと望み給いました。誰でも、全被造物の主であるアッラーに避難する人は、すべての悪からかれに守ってもらえ、恐怖を取り除いてもらえるでしょう。そしてしっかり力強く生きるために十分な落ち着きと自信をアッラーに与えてもらえるでしょう。

またこの章は、悪口を言って歩いては社会にひびを入れる腐敗した者、他人に害を望む嫉妬する者たちに対する反抗と、そして彼らの望みが達成されることがないことを暗示しています。アッラーに対するイスティアーザ(加護を求める)は、このような者たちの害から身を守る手段をとる行動でもあるのです。

預言者(平安と祝福あれ)はこの章などを繰り返しお読みになっていたと、アル=ブハーリーが出典したアーイシャ(御満悦あれ)が伝えたハディースにあります。《預言者(平安と祝福あれ)はかつて、毎晩寝床に赴かれる際、合わせた両手に息を吹きかけ、「言え,「かれはアッラー,唯一なる御方であられる。(112章)」と「言え,「梨明の主にご加護を乞い願う。(113章)」と「言え,「ご加護を乞い願う,人間の主(114章)」をお読みになり、その両手で届く限りの体の各部分をお撫でになったが、まずは頭、顔、体に続く部分から始められ、三回同じことをされた。》

参考文献:①ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーン(P199~202)

②アッ=タフスィール・アル=ワスィート/ワフバ・アッ=ズハイリー薯/ダール アル=フィクル(第3巻P2961~2963)

③ファトゥフ・アル=バーリー、シャラフ・サヒーフ・アル=ブハーリー/イブン・ハジャル・アル=アスカラーニー(第一巻、http://www.muhaddith.org/cgi-bin/dspl_cgi.exe/form)

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4 コメント

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安心の素 (マリアム祐子)
2010-04-23 01:40:00
アッサラームアライクム、伊曼さん。
元気にしています、アルハムドゥリッラー

いつもみなに役立つ、ブログの更新、
ありがとうございます。
ジャザークムッラーフハイラー

就寝前の、手でぺったり体をなでるやつ、
私はとても安心します。
アルハムドゥリッラー

私たちには、頼れる最強のお方がいて、
本当に幸せですね、アルハムドゥリッラー
アッラーに守っていただけるように、身を正さないといけないですね。

この章の解説は、A先生のレジュメとなんだか関連して、いい感じですね、アッラーフアクバル

パキスタンでのあいさつですが、

☆手の甲にキス、はたまにされます。
ちょっとスペシャルな感じですかね~。

☆年配の方は、ヒジャーブの上から、頭をなぜてくれたり、頭にもキスしてくれたりします。
なんだかほっこりします。

☆握手ができない距離とか、異性間では、胸に手を当てて、にっこり挨拶します。
ダンナ曰く、『御意に…。』という意味合いがあるそうです。
これも見ると、さわやかな気分になります。
113章解説 (ナビラ)
2010-04-23 13:11:17
アッサラーム アライクム
伊曼さんお久しぶり。
名古屋のナビラです。
私はクルアーンの113章と114章が大好きです。
最初に覚えたスーラがこの2つだから、とても親しみ深いです。
また、クルアーンがこの2つの章で結ばれているのも、特に114章の人々章で終わっているところに、アッラーの人間に対する深い慈愛を感じます。今回の伊曼さんの解説はすばらしいですね。
マリアムさんへ (伊曼)
2010-04-23 13:35:02
アッサラームアライクム、マリアムさん
ご無沙汰しています!そしてブログを読んでくださりまたコメントをよせてくださりありがとうございます。

>私たちには、頼れる最強のお方がいて、
本当に幸せですね、アルハムドゥリッラー

そうですね~
アルハムドゥリッラー。
「最強」という表現が斬新でいいですね~
気に入りました。

>☆手の甲にキス、はたまにされます。
ちょっとスペシャルな感じですかね~。

たまにでもってことは、共通の敬意の表し方がそちらにあるってことですね。

>☆年配の方は、ヒジャーブの上から、頭をなぜてくれたり、頭にもキスしてくれたりします。
なんだかほっこりします。

いいですねぇ~。ハグなんかしていただけると、泣けるぐらい嬉しくなってきますね。
(許された間柄の)スキンシップを基調にしたお付き合って、
日本では敬遠されがちのような感じがしますが、いざその受け身になってみると
思っていた以上に心地よかったりしませんか?
え?私だけ?
ナビラさんへ (伊曼)
2010-04-23 13:38:05
ワアライクムッサラーム、ナビラさん
おひさしぶりです~!
お元気ですか。
解説を読むと、スーラが短くても、それが持つ意味の深さに圧倒され、感動して、親しみ度が上がりますね。
これからも頑張って続けてジュズ30の解説を分かりやすくご紹介していこうと思っています。
また近いうちにお会いできますように。

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