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98章解説

2010年08月19日 | ジュズ・アンマ解説
بسم الله الرحمن الرحيم
98章解説

1. 啓典の民の中(真理を)拒否した者も多神教徒も、かれらに明証が来るまで、(道から)離れようとしなかった。
2. またアッラーからの使徒が、純聖な書巻を、読んで聞かせるまでは。
3. その中には、不滅の正しい記録(掟)がある。
4. 啓典を授かっている者たちが、分派したのは、明証がかれらに来てから後のことであった。
5. かれらの命じられたことは、只アッラーに仕え、かれに信心の誠を尽し、純正に服従、帰依して、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさいと、言うだけのことであった。これこそ真正の教えである。
6. 啓典の民の中(真理を)拒否した者も、多神教徒も、地獄の火に(投げ込まれ)て、その中に永遠に住む。これらは、衆生の中最悪の者である。
7. だが信仰して善行に勤しむ者たち、これらは、衆生の中最善の者である。
8. かれらへの報奨は、主の御許の、川が下を流れる永遠の園である。永遠にその中に住むであろう。アッラーはかれらを喜ばれ、かれらもかれに満悦する。それは主を畏れる者(への報奨)である。

 預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)が召命された時代は、非常にアッラーのメッセージを必要としていました。大地の隅々に腐敗がはびこり、忘恩と不正が各宗教の信者たちに浸透してしまっていたのです。ユダヤ教徒、キリスト教徒がまさにその状態にあり、偶像をアッラーと共に崇めていたアラビア半島の多神教徒たちについては言うまでもありません。

 かつて、啓典の民であるユダヤ教徒はアラブの多神教徒に、「マッカの地から、そしてアラブ人の中からアッラーはやがて預言者を御遣いになるだろう」と言っていました。この預言者は真理を打ち立て、公平を実現するのだと。ユダヤ人たちは、彼らの啓典に載っている新しい預言者の吉報を根拠にしながらこのように言っていたのです。また新しい預言者が来た暁には、自分たちは彼を援助し、彼を頼りに君たちに対抗するぞ、とアラブ人たちを脅しもしていたわけです。そのため多神教徒たちはこの来たる預言者の出現を期待しつつ、「彼の出現は君たちよりも私たちにより相応しいぞ」とユダヤ人に言い返していました。

 アッラーがムハンマドを遣い給うと、多神教徒たちは彼にはばかっては敵対し、啓典の民も同じように振舞いました。ムハンマド(平安と祝福あれ)の預言者性と性質が彼らの書物にはっきりと記されていたにもかかわらずです。不信はしっかりと彼らの心を覆って真理を見えなくし、ムハンマドを追従すること、彼への信仰から離れさせてしまったのです。

 この事実の解明として、そして大地に起こった腐敗の払拭を望み給うたアッラーのご慈悲として、この尊い章は啓示されたのでした:
「啓典の民の中(真理を)拒否した者も多神教徒も、かれらに明証が来るまで、(道から)離れようとしなかった。またアッラーからの使徒が、純聖な書巻を、読んで聞かせるまでは。」

 意味:啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒)と多神教徒は、彼自身が決定的な根拠であるアッラーの使徒ムハンマド(平安と祝福あれ)を介してでしか、不信などから手を洗い、真理を追従することはなかった。彼(平安と祝福あれ)が持って来たメッセージは明解な真理であり、多神と不信から清浄なクルアーンの各ページから彼は読誦していたのである、ということです。「またアッラーからの使徒が、純聖な書巻を、読んで聞かせるまでは。」この書簡の中に、真理と不正を分け示す決まりごとが記されている、ということです。

 続けてクルアーンは、啓典の民であるユダヤ教徒とキリスト教徒は教えの統一におけるたくさんのはっきりとした根拠を携えた預言者が出現するまで、意見を違わせることはなかったこと解明しています:
「啓典を授かっている者たちが、分派したのは、明証がかれらに来てから後のことであった。」

 クルアーンはこの分派の原因を違う箇所で説明しています:「知識がかれらに下った後、間もなくかれらの間の嫉妬によって分派が出来た。」(相談章14節)彼らの指導者たちに生まれた嫉妬心が分派の原因ということです。アラビア語での「バギー بغي」は、高慢さ、真理から不正への傾倒という意味があります。

 ユダヤ教徒たちは、ムーサーという一人の使徒と律法という一つの啓典が存在するにもかかわらず、集団、派に分かれていきました。キリスト教徒もメシアの生態について意見を違わせ、彼を神としました。またユダヤ教徒とキリスト教徒の間に起こった相違は、苦い戦争を齎しました。

 続けてアッラーは、御自身の使徒であるムハンマド(平安と祝福あれ)に啓示し給い、ユダヤ教徒とキリスト教徒にかつて命じ給うた教え(宗教)は一つであり、そこに相違は起こらないことを説明し給います:
「 かれらの命じられたことは、只アッラーに仕え、かれに信心の誠を尽し、純正に服従、帰依して、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさいと、言うだけのことであった。これこそ真正の教えである。」

 つまり、彼らユダヤ教徒とキリスト教徒は、崇拝行為にどのような同位者も配置しないよう一心にアッラーに仕えることのみを命じられた、ということです。「純正に」間違った信条からアッラーの唯一信仰に傾倒する、という意味です。また彼らは完全な形で礼拝を捧げ、相応しい者に喜捨を出すことも命じられています。「これこそ真正の教えである。」これらすべては真直ぐで公正な共同体が信奉する宗教である、ということです。その宗教とはムハンマド(平安と祝福あれ)を通して齎された教えです。

 この事実が述べられた後、クルアーンはアッラーの導きを前にした二種類の人間を描写します:
「啓典の民の中(真理を)拒否した者も、多神教徒も、地獄の火に(投げ込まれ)て、その中に永遠に住む。これらは、衆生の中最悪の者である。だが信仰して善行に勤しむ者たち、これらは、衆生の中最善の者である。」

 アッラーを信じずかれに同位者を配しムハンマド(平安と祝福あれ)の預言者性を否定したユダヤ教徒、キリスト教徒、アラブの多神教徒は来世で地獄の火の中に永遠に留まり、そこから出ることも死ぬことも罰が減らされることもない、ということです。「衆生の中最悪の者」つまり、最悪の被造物だということです。なぜなら真理を認めず、導きに招かれることを拒んだからです。代わってアッラーの存在とかれの唯一性を心から信じ、かれの使徒ムハンマド(平安と祝福あれ)を追従し、善行を行った者たちは、「衆生の中最善の者」、つまり最善の被造物、です。

 ここで、クルアーンはいつも「信仰」を「善行」に結び付けていることを述べておきましょう。本物の信仰とは、心に落ち着いたものであり、行為が証明するものだからです。善行とは、アッラーが命じ給うたすべての崇拝行為、マナー、行為です。創造主をしっかりと信仰する人たちとは、自分たちの人生がアッラーの法の鏡となるような人のことを言うのです。

 続けてクルアーンは、信仰し善行に勤しんだ者たちの行く末について解明します:
「かれらへの報奨は、主の御許の、川が下を流れる永遠の園である。永遠にその中に住むであろう。アッラーはかれらを喜ばれ、かれらもかれに満悦する。それは主を畏れる者(への報奨)である。」

 至高なるアッラーは仰せになります:信仰し、善行に励んだ者たちが審判の日、主からいただく報奨は:「永遠の園」つまり、落ち着きと安泰が存在する木々の下を川が流れる園です。「永遠にその中に住むであろう」永遠にその場所に留まり、そこから出ることもそこで死ぬこともないということです。「アッラーはかれらを喜ばれ」現世にいたときに彼らがアッラーに服従していたことについて。このアッラーの御満足は信者たちの魂を安心でいっぱいにし、彼らは幸福の頂点に導かれます。「かれらもかれに満悦する。」アッラーからいただいた豊かな恩恵に。魂を癒す尊い心づくしに。信者たちはそれらで目をうるおします。「それは主を畏れる者(への報奨)である。」実にアッラーからのこの善なる報奨はアッラーを畏れる者以外は受け取らない、ということです。アッラーへの畏れとは、本物の幸福と来世における高位の勝利の獲得を意味するのです。

 アッラーを畏れる気持ちは、すべてのよいことへ急きたて、すべての悪や世界が遭遇してしまった数々の災難や災害を追い払ってくれます。しかし心がアッラーへの畏れを失い、不正と高慢が人間を独占してしまった場合は別なのです。

(参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーン(P147~151)
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2 コメント

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質問 (ebts)
2011-06-12 18:51:04
「本物の信仰とは、心に落ち着いたものであり・・・」
 心に落ち着いたものとは?
ご説明いただけたら幸いです。
本物の信仰 (伊曼)
2011-08-08 23:05:20
アッサラームアライクム
お返事が遅くなりすみません。

心に落ち着いているということは、逆に、ふわふわ浮いたり、落ち着きがない状態にない、という意味です。

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