九想話

ブログ以前から書き始めて、19年目になります。



俳句の「切れ」

2016年10月19日 | Weblog
今、「俳句的生活」(長谷川櫂著 中公新書)読んでいる。
「第二章 生かす」で下記の俳句が出てきた。
 
  わせの香や分け入る右は有そ海   芭 蕉
 
この句は、私がこの夏に富山に行ったときに、出会った句碑に書いてあった句です。

 
この句を最初に見たときにはそれほどいい句とは思わなかった。
しかし、長谷川櫂の文章を読んで考えが変わった。
 
 この句は「わせの香に分け入る右は有そ海」といっているのと同じに聞こえるかもしれな
いが、「わせの香や」と「わせの香に」とでは「わせの香」という言葉の働きが異なる。
「わせの香に」というと、「わせの香」という言葉は「わせの香に分け入るその右には有そ
海が見える」という散文の部品の一つにすぎない。早稲の香りを示す記号として使われてい
る。これに対して「わせの香や」としてここでいったん切ると、この「わせの香」という言
葉は「分け入る右は有そ海」と切り離され、早稲の香りを示す単なる記号であることをやめ
て早稲の香りそのものを表わす生きた言葉に生まれ変わる。
(略)
「や」という切れ字で「わせの香に分け入る右は有そ海」という散文を二つに切り意味の連
鎖を断ち切ることによって、早稲の香りを示す記号にすぎなかった「わせの香」という言葉
が血も肉もある言葉に変わる。言葉の中身が意味からまさに風味へと変容しているわけであ
る。

                    (「俳句的生活」 第二章 生かす )
 
正直なところ、私は俳句の「切れ」ということをあまりよくわかっていなかった。
そんな私が俳句を作ってきたのですから恥ずかしいです。
もっと俳句のことを勉強しなくてはと反省しています。


『本』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 黒田引退 | トップ | チューリップを植える »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。