豆ポタ日記

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自転車の重量について

2007-01-07 15:49:42 | Weblog
自転車の重量が走行状態に及ぼす影響について
自転車を持運んだり、持上げたりする動作では当然軽い方が良い。
しかし「自転車が1kg軽くなっても、体重が1kg重くなれば、走行状態は実質的に変わらないのではないか」と言う単純な疑問が生じる。
検討の結果は下記のようになった。
1.終末速度(下記)より低い速度(85%程度)で走行するとき、車体重量が1kg軽く なったとしても、体重が1kg増えれば走行状態は殆ど改善されない。軽量自転車 を購入するよりも、体重を絞った方が良いと云う至極一般的な結論になった
2.ある人体動力に対して到達し得る速度(加速度ゼロの状態 以下終末速度と云 う)に近いところで走行するとき、車載重量が同一の場合、軽量自転車の方が有 利である。終末速度近辺で加減速を繰り返す走行をする場合、車体重量の影響が 大きい
3.リム、タイヤなどの回転体の慣性二次モーメントが加速度抵抗に与える影響  は、車体全重量に、回転体の重量を加えたものにほぼ等しくなる。従ってこの部 分の重量は極力軽いほうが良い
4.軽い走行を得るために軽い車体(10kg ±2kg程度)を選ぶことは余り意味がな いかも知れない
 むしろ軽い走行を得るためには、転がり抵抗係数の低いタイヤ用いること
 その上、風圧面積を減少する前傾姿勢が得られるハンドルを用いること
 の方が重要である

検討の詳細は以下の通り
以下の検討に用いたデータの一部は「鳥山新一著 サイクリング事典」から引用した。
走行抵抗には内部摩擦抵抗、転がり抵抗、空気抵抗、加速抵抗、登坂抵抗があるが、検討では平地走行のみを対象とし、また内部摩擦抵抗は他の抵抗に比べ微小であるので省いた
走行抵抗=転がり抵抗+空気抵抗+加速抵抗 となる。
走行抵抗  R (kg)
転がり抵抗 Rr=fr×W  (kg)  
     fr:転がり抵抗係数 タイヤの構造、材料、路面状態で大幅に変わ
       り、その値はアスファルトの道路で0.005~0.008である
       26×11/8w/oタイヤでアスファルト道路の場合0.007程度である
   W:車載荷重+車体荷重  (kg)
空気抵抗 Rf=fa×A×V^2  (kg)
fa:抵抗係数 0.056  ドロップハンドルの下を持つと10%小さくなる(注.訂正あり 最後尾)
        A:受圧面積 体格により違い 0.3~0.38  (m2)
V:走行速度  (m/s)
加速抵抗 Ra=(W+Wt)/g×α  (kg)
     Wt:回転部分相当重量  タイヤ、リムなどの回転部分の慣性モーメン       トによるもので、700×25Cに対するもので 2.35kgとした
     α:加速度 (m/s2)
    g:重力の加速度 (m/s2)
人の動力 Mp:0.2hp (15.2kgm/s) とする
これらを整理すると下式になる
Mp=(Rr+Rf+Ra)×V   ①
Mp=(fr×W+fa×A×V^2)×V  ②   Ra=0 のとき
加速出来なくなった時の最終到達速度(V0)を②式から計算する。
人体重量を含めた車載重量を60kgとし、車体重量を変化させた時の最終到達速度(V0)
自転車重量      8      9        10       12      15 kg
V0         30.45    30.40     30.36      30.27    30.14 km/hr
このように8~15kgの車体重量については殆ど差が無い。

終末速度(最終到達速度)に至るまでの状態を検討するには加速抵抗を考慮する必要がある。
Mp=(fr×W+fa×A×V2+(W+Wt)/g×α)×V
Mp=(fr×W+fa×A×V2+(W+Wt)/g×dV/dt)×V ③
③式の微分方程式を解いた結果を下記に示す。


下表は初速0から25km/hrに到達するまでの所要時間を示したものであるが、車体重量10kg±2kgの範囲では車体重量10kgを中心として1sec程度である。
車体重量(kg)    8      9     10     12     15
所要時間(s)   18.8   19.2    19.6    20.4    21.7  
回転部分相当重量Wtは車体重量に比例するとした。

下表は車体重量8kgと15kgの2車種について走行速度V(m/s)と、それに至る経過時間t(s)を示したものである。
走行速度が大きくなると、所要動力が大きくなるので人が発生する動力との差が小さくなる。従って、加速度も徐々に減少し、速度の増加に多くの時間を要する。
速度          1     2     3     4     5     6      7      8 m/s
車体重量 8kg    0.3    1.1    2.4    4.5    7.4   11.7    18.8    36.5 sec
    15kg     0.3   1.2    2.8    5.1    8.4    13.4    21.7    44.7 sec
終末速度の8.4m/s(30km/s)に近づくにつれて所要時間の差が大きくなっている。
ここでは計算結果を記していないが、20km/hrの走行速度では転がり抵抗と風圧抵抗はほぼ同等である。このことから、風圧抵抗と加速度抵抗を減少することは難しいが、転がり抵抗の少ないタイヤを使用することは有効である。
注)ドロップハンドルの下を持つと空気抵抗係数faが10%小さくなると記述しているのは間違いで、姿勢によっては抵抗係数は変わりません。ドロップハンドルの下を持つと受圧面積Aが10%小さくなります)
以上

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