計算気象予報士の「こんなの解けるかーっ!?」

ゆきぐに羽越(主に山形県・新潟県)のお天気学の難題に工学計算で挑み続ける熱き奮闘記

天候デリバティブのプレミアム

2017年04月21日 | お天気教室・公開講座
 天候デリバティブとは、将来の気象の変化に対して「保険」を掛けることにより、そのリスクをヘッジする手段です。これは、契約時に設定された一定の気象条件が実現した場合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された場合)に、その観測値(閾値からの差分)に応じた補償金が支払われる「金融商品」です(※厳密には保険商品ではありません)。

 契約の際には、利用者は「保険の掛け金」に相当する「プレミアム」を保険会社等に支払います。このプレミアムは、将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値を基に算出されるため、将来における天候リスクの経済効果の指標と理解することもできます。

 そこで、ここでは簡単な契約プラン例を挙げて、プレミアムの算出について考えてみたいと思います。


 この例は、降水日数を指標とするコール・オプション取引です。インデックス(補償金を決める指標)には、観測期間中の土日祝日かつ観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数降水日数)の合計値を用い、その値が7日(ストライク=閾値)を超えると補償金が発生する仕様となっています。ここで、単位支払額はインデックス1日当たり100万円、支払限度額は1000万円です.

 インデックスと補償金の関係を表すと、次のグラフのようになります。


 インデックスがストライク(7日)に達していなければ、補償金は発生しません。しかし、インデックスがストライクを超える場合は、その超過分に応じて(1日当たり100万円の割合で)補償金が増えて行きます。但し、最大補償は1000万円と定められています。

 それでは、気象データの分析に移ります。


 まずは、過去100年間における、土日祝日かつ日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を見てみました。ここで、ストライクを超える部分(補償金の発生に相当)を赤色で表記しました。

 この結果を基に、横軸にインデックス(土日祝日の降水日数)、縦軸にはインデックスの出現頻度(確率)という形に書き直してみます。

 このグラフから、インデックスは6日となる確率が最も大きいことが判ります。続いて、インデックス発生する補償金の関係のグラフを見てみましょう。


 上の2つのグラフを基に、インデックス発生する補償金の期待値を求めてみます。


 補償金と出現確率の積の総和=このグラフの面積が、天候リスクに伴う補償金の期待値となります。平均的に発生し得る補償金額に相当します。そして、この補償金はあくまで将来時点(満期)における価値なので、これを現在時点(契約時)の価値に換算します。この換算された金額を基にプレミアムが決まります。
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